- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163822600
作品紹介・あらすじ
ちょっとおかしな新シリーズ始動!いまや事業認定された超能力で、所長の増山ほか、能力も見た目も凸凹な5人の所員が、浮気調査や家出人探しなど依頼人の相談を解決!
感想・レビュー・書評
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もし自分が超能力者になれるなら、どんな能力が欲しいだろう------。
一時は、透明人間になれる能力が欲しいと思ったことがあった。
まあ、他人が陰で何を言っているか、或いはやっているかを知りたいという好奇心からだ。
ただしよく考えると、透明人間は唯一最大の欠点がある。
誰にも見えないのだから、道路を歩くときには信号などを見極め最大限の注意を払わなければならない。
横断歩道を渡っていても、左折する車などはスピードを緩めずに私に向かってくるはずだ。
結果、なんの容赦もなく私を轢き殺してしまうだろう。
それが怖い。
歩道を歩いていたって、スピードを出した自転車に思い切り追突されるかもしれない。
常に集中力を途切らすことなく、周りを見ながら動かなければならないのだ。
一瞬でも神経を休めたら、お陀仏になるかもしれない。
それが恐ろしくて、透明人間にはなるのは怖い。
常識的に考えれば(超能力に常識などという言葉を使うのも変だが)テレポーテーションかな。
どこにでも移動できるというのは良い。
熱いなあ、と思ったら、涼しいカナダあたりへ。
寒さに耐えられなくなったら、ハワイあたりへひとっ飛び。
名画が見たくなったら、パリのルーブルへ。
オーロラを見に行こうなんていうのも良いな。
まあ、そんな非現実的な妄想はさておいて、この作品。
超能力が社会的に認知されるようになった時代の超能力師を抱える事務所のお話。
彼らは今まで私が言ってきた高度な超能力ではなく、人に触れることでその人の心や過去を読み取るような、言わば手品師に近いような程度の超能力師たちだ。(それでも一つ間違えると他人を殺めてしまうほどの能力を持ち得る者もいるが)
彼らはその能力を駆使して、人探しや殺人事件の容疑者探しなどの、言わば探偵事務所のように問題解決に当たる。
超能力師の存在が認められることによって、その能力を犯罪などに使わぬように、その能力には規制がかけられる。
彼らは彼らでその境目で悩むことにもなる。
さらには、自分が超能力者と気づいていない者もいる。
それを上手くリードして世の中の役に立つようにしたいというのが、この事務所の所長増山の願いだ。
様々な事件の解決に当たり、彼らの能力が活用されるのだが、最後に明らかにされる増山自身の過去の事件とその償いへの思いへは読者を少しほろっとさせる。
単なる面白可笑しいだけの小説ではない。
誉田哲也の新しい一面をまた見た気がする。
読了後、この物語のシリーズをもっと読みたいと思った。 -
超能力が存在し、現実社会に適応したらどうなるかを描いたSF小説。視点人物が代わりながら徐々に超能力師の内面や、SF世界のディテールが描かれる。そして、所長が抱える問題が徐々に浮き彫りになっていく。
超能力というSFなんだけど、その超能力の使い方や登場人物の受け止め方・心の動きは、妙に現実的で、人間や社会というものを浮き彫りにする様な小説。
所長の抱える問題に、ハードボイルドのにおいが漂う。これからどうなっていくのか、次回作に期待。 -
☆4つ
こりゃわたしにとってはとっても面白い本です。結論としては、早く続巻を出してもらいたいと思います。
そして、あの『ストロベリーナイト』や『武士道シックスティーン』シリーズを書いた誉田哲也がまた新しいジャンルに挑戦。で、見事に成功してベストセラーに!って感じがします。ですが、これはホントに個人的感想であって、たぶんこの本はそんなベストセラーにはならないでしょう。「超能力」って流行ってませんからね。
そういえば「超能力」でわたしが最近強く思うことは、昔あった「テレパシー」という超能力はとっくの前に「ケータイ」によって滑稽な物になってしまったなあ、ということ。遠く離れた人といつでも好きな時にお話ができる能力なのです! と言われても、それがどーした、でおしまいですよね。
あとはサイコキネシスとテレポーテーションと・・・って、こっちはまあそんなに簡単ではないですよね。でも「3Dプリンタ」などをみていると「こいつがどんどん進化していくと一種のテレポーテーション的なものに成りはしないかい」と思うのです。人間をこっちで全部Dataにしちまって、そんであっちでそれを3Dプリントする。 なんだかあと20年くらいで実現しそうな気がするのはおいらだけ? -
【読間】
連作短編集の1篇目時点。
超能力師……(笑)。
タイトルも表紙の装丁も、帯に書かれたあらすじも……全て、自分の守備範囲外。
筆者が誉田哲也でなかったならば、とうてい手に取ることなど無かったであろう一冊(苦笑)。
1篇目を読んで……。まあ、【可もなく不可もなく】未満、【大きな不可あり】以上・・・ってところか。
誉田哲也のストーリーテリングが、自分の“ライトノベルチックな設定や展開に対する拒否感”を上回ってくれるのか、はたまた誉田作品初の“ハズれ”となってしまうのか。。。楽しみでもあり、怖くもある(笑)。
2016.02.25.書。
【読了】
なんとまあ。
驚いた。
7編中の5編目までは、↑に書いた通りの感想だったのに。。。最後の2編で、本作全体を通じての評価がひっくり返った(苦笑)。
5編目途中で示された“謎”に、ほんの少し興味を引かれるまでは、「ああ、ついに誉田哲也の“ハズレ”を引いたか…」という気分だった。
で、6編目。
「半陰陽」などというこれまたファンタジーな設定にガッカリしかけるも、作中人物の苦悩の描き方やらエピソードの落とし処の置き方やらに、いつもの誉田節の片鱗が表れ……。
終章などは、間違いなく“黒の誉田”だった。しかもどうやら、こいつが本丸だ!
↑に書いたような“一見残念な誉田”の全ては、この1編を描くための舞台設定
であり、かつ長大なプロローグだったのだと気づかされた。
てか、明かされてない謎が、まだまだあるし。。。。
もはや、この本一冊丸ごと、彼が“超能力”という題材をもって描きたかった物語のプロローグなのでは……とまで思える。
つまり、続編に期待、ということ(笑)。
★4つ、8ポイント。
2016.03.01.図。
※続編に期待……とは書いたけど……たしかにどう見ても続きがあるような終わり方だったけど……果たして続編、書かれているのかしら??? -
信頼と実績の当事務所が、超能力で人助け!
ここは、超能力が事業認定された日本。
日暮里駅から徒歩10分のちょっとレトロな雑居ビルの2階に増山超能力師事務所はある。
所長の増山率いる、能力も見た目も凸凹な所員たちが、浮気調査や人探しなど悩み解決に奔走。
メンバーは……
「面倒臭い」が口癖なのに、女にめっぽうモテる所長・増山
才色兼備で気が強い、元女番長 悦子
エロいことを考えては怒られる見習い脱出の篤志
見た目は不細工、おなかも弱い健
制御不能な能力が玉にきず、美形の見習い明美
超能力より年の功 経理担当の朋江 -
超能力が日本で認められ、増山超能力師事務所の人々が超能力で依頼を解決していくお話。事務所の関係者が各章ごとに語り手てとなる。ドラマになったら面白そうだな〜と思ったら、ドラマになってる模様。著者の本は色々読んだけど、今までとは全然違うテイストだけど面白かった。次作もあるようなので早く読みたい!