- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163825908
作品紹介・あらすじ
デビュー20年を迎えようとしながら、常に文学シーンの最先端を疾走する阿部和重の最新作。米軍によるビンラディン殺害、若者による団塊世代おやじ狩り、津波、原発事故……現実をアグレッシブに取り入れつつも、誰も見たことないシュールでブラックな世界が広がります。映画を超えた映像的文体は、初出時から絶賛を浴びました。もちろん、バイオレンスと血のりも満載です。エンターテインメントと純文学が融合した、驚きにみちた超豪華版(ベスト・アルバム)です。12作のタイトルすべてが、マイケル・ジャクソン、プリンスなど著名なミュージシャンの楽曲名にちなんでいるのも読みどころの一つ。
感想・レビュー・書評
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珍しい感触と印象の作品であることは確かでなかには「おっ」っと思うものもある。響かないものがあるのは仕方がないことだからこうして数を提出することはこういう作風の人にとって大切なことかもしれない。新しさをどこまで楽しめるかがそのまま評価につながる。各読者にとってのそういった意味での最適解をひとりの作者がひとつの作品で提出することの難しさを思った。
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近年に起きた事件や社会事象を背景に描かれた短編集。
阿部さん、短編も面白い。
読むに堪えない異常な場面もあるけど、ユーモアと哀愁があって、可能性や微かな暖かみをチラリと見せてくるところなんかもにくい。
うまいなあと思ったのが「Bitch」でもこれ二次創作らしい。元ネタを知らないのだけど…じゃあ自分が感じた意味は含まれてないのかなあ。
「Man in the Mirror」「For Your Eyes Only」のようなショートショートも良いです。 -
阿部和重の描くものはとても映画的。読んでいてカメラワークがイメージされて、あとから思い出そうとすると、映画でみたんだっけ? と思うことが多い。
おもしろかった。でも読んでて気持ち悪くなる作品もあるし、意味が分からない作品もあるから、全体的には普通の印象。長編がいいなぁ。でも、なんか改めて最近の阿部和重の作品を考えてみると、私にとっては何のために描いたのかよくわからない作品が増えてきた気がする。初期の頃の方が好きなのかな、いま、気付いた。 -
独特の文体。
不可思議な展開。
静かな終結。 -
阿部和重は、長編小説において現実の出来事を絡めることが多々あったように思うが、12編から構成される短編小説集である本書でもそういう書き方をされているものが何本かあった。
例えば、映画の「猿の惑星」、中東の指導者の暗殺、特撮の「仮面ライダー」、団塊ジュニア、おやじ狩り、東日本大震災、ホームレス襲撃、婚活、スマートデバイス、SNSなんかを絡めた話が書かれていたんじゃないだろうか。
個人的には、仮面ライダーを下地にしたのかなと思われる短編で、最後の最後までそれに気づかなくてしてやられた感があった。
長編作家のイメージがあったけど、短編もサクッと読めてなかなかいいね。 -
短編集。
"Man in the Mirror"
"Bitch"
"The Nutcracker"
等々、有名楽曲のタイトルを付けられた各短編は、阿部和重流に悪夢化され、与太話化されている。
この換骨奪胎が成功しているのかはもちろん読み手の鑑賞の仕方ひとつだが、私は楽しめた。
昭和小説にあるような人物の内面を掘り下げる著述とか、あざとく思わせぶりに散らかして配置する象徴化などと、きれいさっっっっぱり切れていて感動的。
それら下卑て下世話で即物的な素材を駆使しながら、単純なピカレスクロマン的方向に行かせない技術というものが、ここにあると思う。 -
武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000124911
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阿部和重だよなぁというブラックなおち