- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163900179
作品紹介・あらすじ
本書は、前著『CIA秘録上下』(文藝春秋)でCIAの誕生から今日までの全貌を解剖してみせたティム・ワイナー(元ニューヨーク・タイムズ記者)が、もう一つの、そしてNSA(国家安全保障局)が最も頼りにする「FBI」の誕生から今日までを解きあかす衝撃の書です。「FBI」といえば、マフィアのギャングなど犯罪者を逮捕し、法の支配を守る警察部隊だというイメージを持つかもしれません。半世紀近くFBI長官を務めたフーヴァーのイメージも記憶に残っている人もいるかもしれません。しかし、著者は、FBIは、テロリストやスパイに対する秘密諜報こそが、第一の主要任務であり、それは発足時から今日まで変わらないのであって、そこに焦点を当ててFBIの歴史、功罪をみなくてはいけないと指摘しています。前著もCIAの元長官10人を含む300人以上のインタビューによって、CIA創設から今日までを解剖しましたが、今回も匿名の情報源や行き当たりばったりの引用ではなく、近年機密扱いを解除された7万ページ以上の文書にあたり、関係者への取材・証言を集め、書き下ろしたのが本書です。とりわけ、半世紀近く長官をつとめたフーヴァーを「米国のマキアヴェリ」とみなし、彼こそが米国の諜報活動の創始者であり、共産主義者やファシストや人種差別主義者などを相手にどのように戦ったのか、そのためにどんな不正なことや違法なことをしたのか、それに対して、アメリカの裁判所や政治家たちが、いかに抵抗もしたのか、そんなアメリカの民主主義国家としてのさまざまな矛盾や対立が鮮明に描かれています。1920年代の「赤狩り」時代からCIAとの縄張り争い、ルーズベルト、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、レーガン、ブッシュ…仕える大統領との協調と対立等々…。スパイ小説より面白い!
感想・レビュー・書評
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米国の諜報機関、FBIの誕生の経緯と近代史において果たしてきた役割を2011年に機密扱いを解禁された文書とインタビューから紐解く。映画等で何となく認識してきたFBIってそうだったの、と。しかし上巻を読むだけででかなりパワーを使って疲労困憊。
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文庫待ち。
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ポツダム宣言と原爆投下との関連があったであろうこと、ロシアに逃亡したアメリカ国家安全保障局の元職員の事件に類似したことが過去にあったことなど、興味深く読みました。
元は、思い入れタップリ俳優のディカプリオ主演の映画の主人公はどんな人物だったのかを本書で知りたくて手にとったのですが。FBIは反共諜報活動で組織ができ大きくなったのですね。 -
FBIの俯瞰には有用。ただし分析とか評価とか洞察とか、そういった読者を唸らせる類のものはほとんどない。とくにフーヴァーの情勢判断や公私混同のプロセスが、読んでいてもよくわからず、なにをもってして「確信」に至ったのか不明な点が多い。調べたことだけを羅列している感じで、わからないことや曖昧なことにももっと言及してほしかった。その方が読者に益する。いうまでもなくフーヴァーというなぞめいた人物に迫ることもない。
考察しづらい長いレポートを強制的に読まされている気分に陥ったので、原書にも一部あたってみたが、日本語でも英語でも大差はなく、読んでいて楽しいものではなかった。しかしながら訳者はたのしく訳せたようなので、問題意識はそれぞれであるし、人によっては読書を満喫できる本なのかもしれない。 -
【『CIA秘録』の著者が挑む「FBI」の全貌】盗聴国家米国の原点はFBI長官フーヴァーにあり。その膨張の軌跡を赤狩り、9・11テロ等を事例に解きあかすノンフィクション。
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ほぼフーヴァーの伝記の一つと言っても過言ではないほど彼の活動が入念に書かれている
これと映画のJエドガーを見ておけばフーヴァーについての理解はかなりの程度進むと思います
しかし淡々と似たような内容が続くので飽きそうになることもありえないことではない