- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163901442
作品紹介・あらすじ
日本霊異記を通して、重なる古代と現代の謎奈良の薬師寺で働く明日香のもとには、数々の不思議が訪れる。古代と現代をつなぐ謎を『日本霊異記』から読み解く、著者の新境地。
感想・レビュー・書評
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初出 2012〜14年「文學界」の連続6話
高畑明日香は薬師寺の売店の売り子さんだが、地名好きで、『日本霊異記』の愛読者だ。
母親が殺されたという少年が会いに来て、日本霊異記の記述と地名から母親の行方を探しに行くが、行った先でわかったのは少年は10年前に死んでいたのだった。後日母親に会えたと絵馬に書かれていた。
同じ手法で次々と困りごとを解決していく。転任して行った地理の教師の教え子の飛鳥寺の鐘楼に関係する失踪。率川神社で偶然出会った明日香に近づいてくる男。この後この岩島さんと付き合うようになり、謎解きに協力してくれる。
停電復旧工事中に父親が目の前で落雷で死ぬのを見た桃ちゃんが、実は1200年前の復讐をしに来た雷を取り込んでしまった。明日香が雷丘で日本人の1200年に渡る罪を雷神に謝罪するのは、一番印象的な物語。
あとは母親の夢解きと乳癌の話。八角形が押し寄せてきて八尾の由義神社に行き、道教と称徳天皇の無念の思いにたどり着き、霊異記の作者の戒景が烏の姿で現れて自分に伝えてくれたことを悟る。
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テーマは面白かったけど、こじつけ?みたいな。あと関西弁と標準語が入り乱れて、読みにくかった。
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日本霊異記をネタに織りなす怪異ミステリー。イマイチ詰めが甘い。
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設定は面白い。でもそれを生かしきれていない。霊異記と現代を無理矢理くっつけている感じ。その無理矢理感が居心地悪い。
カラスの設定なんかはとても面白いのに、人間は薄っぺらい。展開に応じて都合よく物事が起こりすぎ。読み終わってとても疲れた一冊でした。 -
高樹のぶ子、2014年発表の短編集。現代の奈良を舞台にしたちょっと不思議な物語集。
まず、タイトルに偽りありで主人公は少女ではありません。薬師寺の売店に勤め、「日本霊異記」オタクで地名オタク、奈良の町中の古い民家に一人暮らしの二十歳過ぎの女性が主人公。不思議な事件に巻き込まれ、「日本霊異記」の挿話に強引に絡めて一応解決するという物語り集。主人公の設定は面白いし、舞台装置や取り巻く人々や餌付けしている野生のカラスも良いし、「日本霊異記」や奈良の地名に関する蘊蓄も(それほど深くはないけれど)興味深い。なのにイマイチ面白くない作品集です。最大の原因は主人公とボーイフレンドがどちらもピリッとしなくて魅力に欠けるってところでしょうか。特にボーイフレンドは不要。気色悪いだけの存在です。 -
手にとり辛い装丁ではありますが、ちょうど先頃から『日本霊異記』にハマっていた直後だったので”霊異記”の文字に目が反応してしまいました。高樹のぶ子作品は初めて。舞台は奈良、薬師寺に勤める『日本霊異記』マニアの妙齢の女性、明日香(少女ではないのでタイトルはちょっとナニな感じ)が普通の生活をして普通に恋もして、そして普通に謎を解くという、軽い古典蘊蓄ミステリという感じ。なにせ奈良は近かった事もあり土地勘もあるので読んでいて非常になじみよく、ちょっとした小話旅行本的。短く、なんせ非常に軽い挿絵のないラノベ本的なのでそれこそティーン向けに古典にちょっと興味をもってもらうに良い本かと思う。
烏のケイカイさんにもっと活躍してほしい。 -
奈良の薬師寺で働く女の子、明日香の愛読書は日本霊異記。地名フリークでちょっと変わった子。ミステリーいやファンタジー、いやいやオカルト?そんな感じのストーリーの全6編から構成されていました。私は2話目の飛鳥寺の鬼が一番怖かったかな。日本霊異記をもとに明日香が謎解きをしていくあたりは面白かったです。あとカラスもいい味だしてました。