フォアビート・ノスタルジー

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 20
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903194

作品紹介・あらすじ

通夜に集まったのは昔の仲間たち。株屋、医者、実業家、冒険家……建築家の辰野が日頃は出会うことのない、ユニークな顔触れだった。誰もが恋したマドンナ・久美子の噂に、辰野の胸は痛む。一旦は彼女を手に入れながらも、理由も知らされず、別れを告げられた過去を固く封印して、辰野は生きてきたのだった。久美子が葬儀に現れたとき、運命の歯車が動き始める。ある者は未来を、ある者は生命を賭ける。己の愛を証すために。そして、辰野が知った真実とは?艶やかなエロス、海の魅力と死の恐怖、男同士の黙契。作家生活60年、石原慎太郎、最後の純愛長編小説!

感想・レビュー・書評

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  • 1970年代記という副題があり概ねそういう感じ。石原慎太郎の景色とダンディズム。嫌いな人はあっさり嫌いといいそう。少し上の世代の人の憧れの世界みたいなの。こういう風に生きている人も未だにいる。今の世代はこういう風景をどう思っているのだろう。そう思うと面白かった。ある種の徹底がある。私はこうだ。というのがある。こういう世界を臆面もなく描いてみせるのも小説家の仕事かなと思う。

  • 政治家でもある石原慎太郎がどんな純愛小説を書くんだろう、と興味しんしんで手に取った。

    知人が亡くなり久しぶりに集まった辰野と昔の仲間たち。
    仲間たちの憧れのチェリスト西条久美子と辰野は20年ぶりの再会を果たす。

    20年前愛しあっていながら、突然辰野の前から姿を消してしまった久美子。
    その理由と彼女の苦しかった思いを知り、若い彼女がいながらもう一度久美子を選んだ辰野。

    ハッピーエンドで終わるのかと思いきや、悲しみの結末に。

    ヨットレースやポーカーなど作者の若かりし頃の道楽が伺えて、その辺りは昭和を感じた。

    大人の男女の恋愛を教えられた気がした。

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著者プロフィール

1932年神戸市生まれ。一橋大学卒業。55年、大学在学中に執筆した「太陽の季節」により第1回文學界新人賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞受賞。『亀裂』『完全な遊戯』『死の博物誌』『青春とはなんだ』『刃鋼』『日本零年』『化石の森』『光より速きわれら』『生還』『わが人生の時の時』『弟』『天才』『火の島』『私の海の地図』『凶獣』など著書多数。作家活動の一方、68年に参議院議員に当選し政界へ。後に衆議院に移り環境庁長官、運輸大臣などを歴任。95年に議員辞職し、99年から2012年まで東京都知事在任。14年に政界引退。15年、旭日大綬章受章。2022年逝去。

「2022年 『湘南夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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