中野のお父さん

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903255

作品紹介・あらすじ

〈本の達人〉が贈る新名探偵シリーズ体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父が挑むのは、出版界に秘められた《日常の謎》!□「応募してませんよ、わたしは」 新人賞最終選考に残った候補者からの思いがけない一言は?(夢の風車)□「実は、扱いに困っている手紙がありましてね」 ある大物作家に宛てた女性作家の手紙には愛の告白が?(幻の追伸)□「わたしは殺人事件の現場に行き合わせることになったわけです」 定期購読者の話を聞いているうちに思いもよらない事態に?(茶の痕跡)ほか、大手出版社の文宝出版を舞台に繰り広げられる8つのミステリーの推理の結末やいかに……。〈円紫さんと私〉〈覆面探偵〉〈ベッキーさん〉シリーズほか、多くのファンを唸らせてきた名手による、新たな名探偵コンビが誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫の中野のお父さんを読みました。
    中野のお父さんシリーズの最新刊の紹介があったので調べたら、シリーズは4巻あるらしく、最初は中野のお父さんらしい。
    それならシリーズ最初の中野のお父さんさんから読もうと読み始めました。
    主人公は出版社の文芸部に勤める体育会系の女子美希。
    困ったことがあると、実家の父に相談します。
    父親は国語の先生であり、蔵書も凄く、ミステリーを瞬く間に解いていきます。
    人気の作品から色々読んでみたくなりました。

  • 頬が緩む一冊。

    ごく普通の定年間近のお父さんが、一人暮らしの娘が手土産がわりのように持ってくるちょっとした謎にパクリと喰いつき、スルリと解決してしまう日常の謎解き物語。

    ほのぼのな父と娘の時間、謎、この掛け合わせがなんとも心地よくて、何度も頬が緩んだ。

    鮮やかな瞬間マジックのような父の謎解きはお見事。

    ドラえもんのポケットのように出てくる、知識の数々もお見事。

    しかもちゃんと、娘に問いかけ一緒に考えさせる、これが実に高校教師らしくていいな。

    決して心穏やかでない謎解きもこの父娘の手にかかるとふんわり包まれるのも好き。

  • お父さんの謎解きは凄いと思ったけど、文学や落語に知識が少ないので少し難しかったです。

  • 「中野のお父さん」シリーズ第1巻目。
    主人公は出版社に勤める田川美希と国語教師の彼女の父。美希が運んでくる日常生活のミステリーを父は鮮やかに解決してしまう。
    ミス・マープルのようなアームチェア・ディテクティブ!
    本作では八つの謎解きがそれぞれのエピソードで語られる。
    中でも「闇の吉原」という作品が興味深かった。
    「闇の夜は吉原ばかり、月夜かな」という芭蕉の弟子、榎本其角の句が落語「文七元結」という落語の中に挿入されることが多いのだが見方(区切り方)によってその句の意味が二つの正反対に読める。
    泡坂妻夫、幸田露伴、三遊亭円生などの名前と蘊蓄が山盛りになって北村薫さんらしい。
    この一編だけは謎解きの匂いは無く、この句の解釈についての変遷を見てもわかるように、物事は視点を変えればいかようにも変化するかもしれない、という本作品の全部の謎解きに通じる著者の思いなのだろうかと感じた。

  • 「オール読物」の連載中で気になっていた本。シリーズ1で2013~2015年の作品だったが、この辺りは読んでいたと思ったら、読んでいなかったようだ。ジャンルは推理小説なのだろうか、それとも蘊蓄の本だろうか? 
    編集者の娘と国語教師の父の物語。珍しいくらい二人の仲が良い。仕事に絡んで疑問が出てくると父親に相談しに行くのだが、即結論が出てしまう。ドラえもんのポケットのように関連した本や書類が次々出てくる。この歳でこの記憶力は羨ましい。
    「冬の走者」では空白の時間の明快な推理まで。推理が凄いので何でも解決してしまう。歌舞伎、落語など、色々な分野の蘊蓄も勉強になる。

  • 出版社に勤めている美希。出版界に持ち上がるちょっとした謎を、定年間近の美希のお父さん、中野に住んでいるお父さんが解く。
    お父さんは高校の国語の先生だから?博識で、美希の持ち込んだ謎を解けるのだけど、その知識は半端ない。
    興味ある謎もあったけど、読書を趣味にしてるだけで文学について無知な私には、ウーンな謎も。文学に興味ある人には楽しいんだろうなぁ、

  • 北村さんお手のものの日常の謎
    読んでて安心

  • 内容もサクッとしてて、ときどきクスッと笑えて良いんだけど、ときたま小難しい古典文学や落語の深い話になって付いていけず飛ばし読みもしてしまいました。。。中野のお父さんの知恵とひらめきが凄い!

  • 北村先生お得意の「日常の謎」を解く新シリーズでしょうか、8編の連作短編集。

    内容的には少し日本文学よりで、「円紫さんと私」シリーズに近いでしょうか、”謎”とも言えないものを深読み、解説してくれる中野のお父さんが、最高です。
    ただ、連載雑誌の特長でしょうか、枚数制限のせいでしょうか、解決までが速い! じっくり考えさせるところもなく謎解きが終わってしまう。うーーん、時代が即答を求めているのか、な?

    『鏡の世界』
    ”反転画像・裏焼き”の妙。自分の最新の姿は、鏡の顔に慣れている?は、ちょっと強引かな?でも、私たちは意外とその通りかな。写真に写った自分の顔に違和感を感じるのは、そういうことだったのかも、と。自分のことを知らないのは、自分なのか。

    『闇の吉原』
    「解釈は色々あるから面白いんだ」と、語るお父さんに納得です。「闇の夜は~」でこれだけの話になるんですね。そちらの方が、もっと驚きです。「こうしてあれこれ考えること自体が楽しい」おっしゃる通り。かつて文学論の花を咲かせた、懐かしき学生時代はもう遠い昔になってしまった。

    『数の魔術』
    宝くじの謎は別として、「人は歴史に学ぶ」と称して、中学バスケットボールの試合で、双子の背番号を交換するくだりには、拍手喝采です。日の丸女子バレーの作戦も、納得です。情報戦が進むと、選手は人ではなく背番号になってしまうのですね。

  • 文芸書担当の美希の日常の謎を、国語教師の父が解いていく短編集。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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