スクラップ・アンド・ビルド

著者 :
  • 文藝春秋
3.16
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本棚登録 : 4446
感想 : 672
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  • Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903408

感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞受賞作。
    一文一文で登場人物の心理の機微を表す感覚はあったものの、文章が下手で面白いとは思えなかった。平易な言葉なのに文に流れがない、自分の好みと真反対だった。作者への尊敬は持てなかった。

  • 私の父は難病で、少しずつ症状が進んで要介護になりました。でも車椅子になっても可能な限りは、と自分で車椅子に移動するし、箸が持てなくなってもフォークを握って自分で食事をとります。今後良くなる見込みがなく進行を遅らせるためだけに頑張る父の姿は私には神々しいほどです。私が同じ病気になったなら早くお迎えに来てほしいという考えてしまうかもしれません。足し算介護、過剰介護。でも介護側がつぶれてしまうわけにもいきません。この本に描かれたことは極端な一面かもしれませんが、介護とはなんだろう、とあらためて考えさせられます。

  • じいちゃんと無職の孫を照らし合わせ、無気力なようで、諦めていない二人の言葉のやりとりが、時に非情だったりもするんだけど、互いに気遣うような様子もあり、淡々としていながら、刺さるものがあった。
    じいちゃんの長崎弁が親しみやすい。

  • この少ないページ数だからこそスッと読み切れたかもしれない。って言うぐらいストーリーに起伏が無く退屈だった。介護に奮闘するわけでもなく、何か楽しみがあるわけでもなく無目的に体を鍛える健斗が体がどんどん弱っていく祖父とかぶる。

  • 祖父と孫による息詰まる介護の攻防戦。著者らしい「黒さ」が紛れ込んだ文は悪趣味に感じつつもどこかおかしみがある。全体の描写も見事で、身勝手かつ独善的、老いによるどうしようもない人間的な弱さを抱えた老人の姿や、家族ならではの罵詈雑言、当人の納得以外に報いのない、介護の先の無さ、未来の無さなど、介護の醜く汚い場面までちゃんと描いているのは好印象。口汚い母親や老人の客観的描写もさることながら、特に主人公の人物造形がとてもよく、カーディラーの激務の後に無職、その無職期間に一発逆転を狙って宅検の勉強をする辺りは非常にリアルな行動である。自身より弱い老人の姿を身近に置き、緩やかな尊厳死の手伝いをしながら、それを機に一念発起して勉学や筋トレに励むのも面白く、特に筋肉は老齢との対比になりつつ一種の信仰のようでいて微笑ましい。ただ、それらが祖父の掌の上という印象を最後には受けたが、祖父の手ほどきなしでも主人公は自発的に立ち直れたように思う。と、いうのも無職でありながら彼女持ちで、祖父が傍らにいようがいまいが、筋トレと勉強を根気よく続けられるような人間なら、そもそも誰かの作為なしでも十分やれるだろう。それだけの人間だからこそ、最後はそれなりにいい所に就職していくわけだが、現代の若者からの共感はあまり得られないかもしれない。また家庭内介護の実体や無責任な親戚等はよく描けているので家庭内介護経験者は共感する箇所は多かったものの、介護職は主人公の自意識の贄にされた感じがあり、公平性はやや欠いているため、介護職の人の共感は得られないかもしれない。そういう意味では作品としてのまとまりはあるものの、やや読み手不在な部分も感じ、現代性の捉え方に偏りがあるようにも思えた。

  • 長生きすることが幸せなのか、長生きしてしまい死にたいと思う大切な人のためになにができるのか考えさせられる作品

  • 延命治療が発達した今の世では、したいことなどなにもできないがただ生き長らえている状態の中で、どのように死を迎えるべきかを自分で考えなければならなくなってしまった。

  • 健斗の剃刀のような思考が興味深く、予想以上に面白かった。また、健斗の向上心と祖父と比較して自分の優位性を確かめる卑屈さに共感を覚えたのもこの本の評価を上げた一因である。

  • 芥川賞受賞作。
    30歳、休職中の健斗と、心身の不調を訴え毎日のように「早う死にたか」とぼやく祖父との話。
    建斗は祖父の介護をしつつ、肉体を鍛えたり、彼女とデートをしたり、就活に励んでいる。

    クールな筆致で描いているが、介護問題、生とは、死とは、と深い内容。
    著者の着想はすごいが、介護の話は苦手なため、どうしても面白く読めなかった。
    (図書館)

  • こうなる前に自分は死にたい。
    結局彼女とはどうなったんやろ。

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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