- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163903675
作品紹介・あらすじ
小野さんは殺人犯を描き尽くすことで、我々の内なる「魔」の姿を、闇の中から掘り出してくれた。――重松清氏、推薦!人が人を殺す「その理由」を直接取材しつづけた、傑作ノンフィクション。週刊文春連載で話題。21世紀の10大殺人の深い闇に、事件現場と拘置所の面会室で迫る!CASE 1 北村孝紘 【大牟田連続4人殺人事件】CASE 2 松永太 【北九州監禁連続殺人事件】CASE 3 畠山鈴香 【秋田児童連続殺人事件】CASE 4 鈴木泰徳 【福岡3女性連続強盗殺人事件】CASE 5 宇野ひとみ【高槻養子縁組保険金殺人事件】CASE 6 下村早苗 【大阪2児虐待死事件】CASE 7 山地悠紀夫【大阪姉妹殺人事件】CASE 8 魏巍 【福岡一家4人殺人事件】CASE 9 高橋裕子 【中州スナックママ連続保険金殺人事件】CASE 10 角田美代子【尼崎連続変死事件】
感想・レビュー・書評
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週刊文春で連載していた、殺人犯を主題にしたノンフィクション。暴露話的なものではなく、犯人本人もしくは関係者との対話から事件の全容を明らかにする内容。
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涙なしでは読めない
大阪2児事件に想いを馳せすぎて病んでしまう。
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2022/2/25
色々な殺人事件の被疑者や関係者への取材。
後書きに「殺人者の共通項を探していた」とあったが、わたしも読みながら共通項を探してしまっていたので、人間って分からないものが怖いんだろうなぁと思った。
わたしは洗脳系が特に怖い。 -
著者に少し不快感が残った。
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殺人は、人が人の命を奪おうと意識し、奪う行為だ。
そこでの意識を知ることこそが、まだ起きていない殺人を予防し、自分自身が加害者にも被害者にもならなくて済むことに、繋がるのではないかと考えている。-P.315
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日本中を震撼させた10の殺人事件。死刑や無期懲役を言い渡されて服役中の犯人たちとその近親者、被害者家族らとの対話を通して、事件の真相に迫る渾身のルポ。
冒頭に引用した著者の考えに強く共感する。犯罪者の意識を知ることは、新たな犯罪の抑止力になる。私自身、そう確信するに至る体験を、つい先日した。
この本は、BRUTUS「危険な読書」の、取材力がすごい本という特集で紹介されていて知った。「危険なー」には副題があり、「人生を変えてしまうかもしれない読書」というものだ。そしてこれはえてして本当に危険な雑誌だった。というのも、あるページに詩集の特集があった。そこに引用されていた一遍のショッキングな詩をうっかり読んでしまったがために、私はその後の約三日間、放心状態に陥った。小児虐待をテーマとした詩で、タイトルや作者名を確認するために今そのページを開くことすらできないほど辛い内容だった。可能なら二度と思い出したくない。でもどう頑張っても忘れられない。洗濯物を干したり夕飯の片付けをしたりしている平和な日常のふとした瞬間に、急に脳裏に蘇ってきては私を窒息させようとするあの詩を、きっと私は一生忘れることができない。深く考えず雑誌のページをめくって、視界に飛び込んでくるがままに読んでしまったあのときの勢いを、ずっと後悔し続ける。
しかしそんな後悔や苦悩と共に、あの詩は私に「絶対に虐待はしない」という強い信念を与えた。生々しくて、絶望的で、息が苦しくなるほど救いのない詩だったけれど、そこに書かれていることは、ここではないどこかでは紛れもない真実だ。まさにその状況で苦しんでいる子どもの姿を、現実味を帯びた映像として想像してしまったとき、虐待は私にとって他人事ではなくなった。思わず目を逸らしたその映像に、恐る恐るもう一度ピントを合わせたとき、「絶対に虐待はしない」という、当たり前のようで実は非常に脆くもある信念が、私の中でより強固なものになった。
虐待について知ること。ショッキングな現実を知って、傷付くこと。そして自分の心にできた傷と向き合い、時間をかけてその衝撃の余波を受け止めること。そうすることが、直接的に被害者を助けることはできなくても、自分が次の加害者になってしまう可能性の大きな抑止力になると感じて、冒頭の著者の意見に強く共感した。 -
http://naokis.doorblog.jp/archives/inteview_with_murderers.html【書評】『殺人犯との対話』(その1)〜本書を読む意味、そして殺人犯に共通している部分
http://naokis.doorblog.jp/archives/inteview_with_murderers2.html【書評】『殺人犯との対話』(その2)大阪2児虐待死事件と福岡一家4人殺人事件
<目次>
CASE 1 北村孝紘 【大牟田連続4人殺人事件】
CASE 2 松永太 【北九州監禁連続殺人事件】
CASE 3 畠山鈴香 【秋田児童連続殺人事件】
CASE 4 鈴木泰徳 【福岡3女性連続強盗殺人事件】
CASE 5 宇野ひとみ【高槻養子縁組保険金殺人事件】
CASE 6 下村早苗 【大阪2児虐待死事件】
CASE 7 山地悠紀夫【大阪姉妹殺人事件】
CASE 8 魏巍 【福岡一家4人殺人事件】
CASE 9 高橋裕子 【中州スナックママ連続保険金殺人事件】
CASE 10 角田美代子【尼崎連続変死事件】
2015.11.20 HONZより
2016.01.24 読書開始
2016.01.29 読了 -
殺人事件10件を掘り下げるルポ。犯人との対話はほんの一部であり且つさほど深い話をしている(出来ている)わけではない。先日「暴力の解剖学」を読了したせいで感じるのか、真の事件の要因に迫る取材と分析にはなっておらず話題になった事件のまとめで終わっている感がある。
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『週刊文春』に連載された犯罪ノンフィクション・シリーズ。21世紀になってから日本で起きた主だった殺人事件について、著者の取材をまとめたダイジェスト集のような内容だ。取り上げられたのは、下記の10ケース。
CASE 1 北村孝紘 【大牟田連続4人殺人事件】
CASE 2 松永太 【北九州監禁連続殺人事件】
CASE 3 畠山鈴香 【秋田児童連続殺人事件】
CASE 4 鈴木泰徳 【福岡3女性連続強盗殺人事件】
CASE 5 宇野ひとみ【高槻養子縁組保険金殺人事件】
CASE 6 下村早苗 【大阪2児虐待死事件】
CASE 7 山地悠紀夫【大阪姉妹殺人事件】
CASE 8 魏巍 【福岡一家4人殺人事件】
CASE 9 高橋裕子 【中州スナックママ連続保険金殺人事件】
CASE 10 角田美代子【尼崎連続変死事件】
このうち、殺人犯当人と著者が対話を重ねたのは3つだけ(北村孝紘・松永太・ 魏巍)である。
ほかは、「面会を申し込んだが、拒否された」などというケースばかり。なので、『殺人犯との対話』というタイトルにはいささか羊頭狗肉の感がある。殺人犯に近い当事者への取材は重ねているので、「タイトル詐欺」とまでは言わないが……。
私が以前読んだ長谷川博一『殺人者はいかに誕生したか――「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く』や、ジャーナリスト・清水潔が自らの事件取材を振り返った『騙されてたまるか』の類書といえる。
だが本書は、臨床心理士である長谷川に比べると犯人の心理の掘り下げが浅いし、清水潔と比べると“真実に食らいついていく迫力”で劣っている。
とはいえ、取材は丹念だし、読み応えのある犯罪ノンフィクションには違いない。
10のケースのうち、松永太、角田美代子、宇野ひとみあたりは明らかにサイコパスで、「どう見ても救いようがない」という印象を受ける。
しかし、それ以外のケースでは、「この犯人が人生のどこかでもう少し真摯に向き合ってくれる人に出会っていたら、事件は起こらなかったのではないか」と思った。
「福岡一家4人殺人事件」の犯人・魏巍が獄中から中国の両親に送った手紙には、ただ一文字「悔」の字が大書されていたという。そのような、印象的なエピソードも多い。 -
殺人犯との交流を交えながら、その経緯や感情を追ったルポ。でもやはり、どんな事情があろうとも、どれほど反省しようとも、相容れない事実。
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10件の殺人事件を加害者に焦点を当てて描くノンフクション。いずれもおぞましい事件ばかりで、読みながら眩暈がした。
このような事件が起こると、メディアで爆発的な報道がなされ、あっという間に消えていく。10年以上経って今更、という気もするが、底なし沼のような恐ろしさは決して消えない。