藝人春秋2 下 死ぬのは奴らだ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907628

感想・レビュー・書評

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  • 上巻と合わせて、橋下・たかじん辺りを中心に読了。黒幕とされる制作会社ボーイズが、橋下徹偏向番組を作り、それが後に東京でDHC提供のネトウヨ製造番組を制作して沖縄在日米軍基地に関する騒動を巻き起こす流れも詳細に記されている。

    ※ボーイズはwikiによるとNewsPicksの番組も制作協力している様子...。

    橋下徹の言動はハシズムとも評されるが、トランプ的なるものの日本における病症の発現のようにも思われる。出版から3年、先日行われた町山智浩氏新刊宣伝のYouTube番組にて「この本はその線でもっと宣伝すべきだよ!」とけしかけられた博士だったが、戦うことにもうすっかり疲れてしまった様子で、それについては何か悲しい気分になった。

    仮想敵を立てて徹底的に痛罵し、分断を煽る戦術や性質に抗う術はないのか。バカにならないと人間はバカになる...ということをもっと実践できないだろうか?とにかく、本作はメディアの内側、出演者の立場から描いた衝撃のルポルタージュだと思う。

  • 水道橋博士が本当に戦いたかった相手とは?大阪の政治番組がどんどんいびつに過激になっていく様子は、ずっと大阪に住んでいる私でも違和感を覚えていました。

  • 上巻を読んだのですぐさま下巻を読破。

    武井壮VS寺門ジモンの件は必見。
    百獣の王と自称芸能界最強の男のマウントの取り合いから始まり、互いの筋肉を触りあいながら認め合う漢たち。
    やはり寺門ジモンどうかしているのである。

    他に猪瀬直樹など、他の方たちも面白いけど、この巻は武井壮と寺門ジモンで決まりだと思う。

    個人的感想です。

  • 選挙で知名度も上がりツイッターで身近になった水道橋博士の芸人批評文。時代毎に類書は例えば、赤めだかのようにあることはある。Aクラスの芸人のその芸風を語るのではなく、多種多様を追求する水道橋博士の見識の広さが暖かく感じ取れる。

  • 当時付き合ってた彼女がそこまで言って委員会を好きだというので俺も観てた。俺の同級生だった宮崎哲弥と仲良く画面に映る橋下徹に彼女と同じ好意を持っていたのだが…
    いつの間にか政界に進出し嫌な奴になってしまった。誰かに操られてると直感した俺はその黒幕を知りたくて、町山智浩さんの宣伝記事を読んでこのシリーズを読んでみた。
    確かに、番組制作者Aはたかじんさんを利用して橋下徹を政界に引き込んだのだろう。でも、Aを利用して橋下徹を政界に引込んだ黒幕は明かされていなかった。
    後は芸人の余芸ではなく筋金入りのルポライターの仕事なんだろうな…とは言え石原慎太郎や三浦雄一郎の懐に飛び込む技は水道橋博士にしかできない荒業だった。
    凄いな…

  • ついさっき読み終え、何かうまいこと書いてやろう!などと書き出してみたものの、数行書いては事実確認しようと調べ、進めるもなんだか納得いかずに消す。を数度繰り返すうちにハッとした。まだ咀嚼できてないわ、これ。
    いずれこれだけの熱量と想いと告白と愛の詰まったこの本を自分の血肉にできた日が来た際にはまたエベレストなのか高尾さんなのかわからないこの山にチャレンジしてみたいと思う。

  • 『藝人春秋1』の熱さのほうがよかったな
    死ぬ殺す
    というところではない一見どーでもいーところをエンタテインメントに仕立て上げるのがキッドさん、博士さんの素晴らしいところと思う
    本書ではネタの面白さが上がって文章の良さが薄まってしまっていると思う

  • 最強伝説に登場する寺門ジモンさんが面白いです。サプリ、プロテイン、ジムのマシンを使わず、己の体重だけを利用したトレーニングを30年間1日も欠かさずというしばりだけで精神面でも最強であると思います。与えられた肉体に人の手を加えず己の工夫だけでだけで最強になる。そうありたいです。

  • 201805/

  • 藝人春秋2の下巻。本書も藝人よりも藝人外の政治家、ジャーナリスト、アナウンサーへの言及が多い。
    これはたぶん、著者本人の興味の対象が芸人よりそれらの人達へより向いている、言い換えれば、それらの人達の方がげそんじょそこらの芸人によりもよっぽど面白いからであろう。もしかすると、芸人だけでなく、それらの人をひっくるめて「藝」人としてるのかも。
    武井壮と小倉智明の章では、小倉に関する文章の中にちょくちょく、ハゲ、ヅラを連想させるワードをぶち込んでくるハカセ節がくどいほど炸裂。本人から怒られなかったのかしら。
    打って変わって、エピローグの「芝浜」では、著者本人の心の病の話と、泰葉と立川談志のエピソードがとてつもなく強烈。分量自体は少ないが、ここだけでも普通の本一冊くらいの読みごたえあり。
    あと、岡村ちゃんと著者の邂逅のエピソードもGood。

  • 下巻は主に橋下や石原といった連中の評価にあてられている。それもまぁ面白い(奇しくもこの本の前に読んだのも橋下を強烈に批判するものであった)のだが、上巻の方(タモリ・2:50・大滝さんetc)が面白かった。
    しかしTV等で見ていても、このように本で読んでみても、これらの人物から感じる人間性が同一なことに驚く。(芸能人だとTVと本で大分印象が異なる人が多いが)
    両名共にスーパーエキセントリックで負のエネルギーを撒き散らす。石原の思い込みの頑固さというか妄想と現実の区別の付かない様子や、橋下の尋常でない、敵対する人間への攻撃力が、博士の筆によって露になる。
    博士のうつ病との戦いもなかなか壮絶である。この戦いの本も書かれるかもしれないな。

  • 石原慎太郎・井筒和幸・三谷幸喜といった大物の回はさすがに読みごたえがある。特にシンタロー先生と三浦雄一郎との確執(と言っていいのか、微妙だが)について追求した回がおもしろかった。上巻に引き続き取り上げている橋下徹は、かつての(今でも)言動を思い出して、読んでいるだけで不愉快になってくる。やしきたかじんがキーマンだったというのはそうかもしれないな。

    対して、言うたらなんやけど「小物」の回は興味がつなぎにくいなあ。どうでもいいもんねという気持ちが先に立つ。最後の「告白」は、なぜかやっぱりと思ってしまった。博士よお前もか。

  • 徳田虎雄の話しが面白かった。猪瀬に金を渡してるだけの人かと思ったら、医師としての理念は素晴らしいのに金権的な政治姿勢はこてこての昭和のワルモノといったかんじ。著者の筆は、ダジャレ的な言葉遊びを執拗に重ねる時よりも、器は大きいながらもアンバランスな人物を茶化す時にこそ冴え渡っている。
    とはいえ、寺門ジモンと武井壮の回もやばかった。二人ともいかれてるけど、行かれてる2人が競い合うと本当に時空が歪む。
    たかじん絡みのボーイズの話は、なるほどーって感じ。あの周辺の人脈、ほんとにキナ臭いよね。極右、差別主義、金の臭い、権力の臭い。

  • (上)とは異なり、内容的にややハードな印象。橋下徹と黒幕、やしきたかじん、石原慎太郎、田原総一郎など政治とメディアの関係者のエピソードにも切り込む姿は新たな芸の姿とも言えよう。エピローグの談志の逸話と著者の告白に涙腺が緩んだ。‬

  • 上巻、下巻共に様々な有名人をターゲットにしていますが、下巻は一層と興味深い話になっています。テレビで見る姿と、実際の姿はどうなのか。そんな裏側が分かったりして、一般人では知り得ない事の数々。そこは著者の綿密な情報源が生きている印象があります。著者の作品が好きな人には堪らないと思うのですが、全く読んだ事がない人にもお勧めしたい一冊です。

  •  上巻に続いてとても面白かった。博士さんの本でおなじみの寺門ジモンさんと武井壮さんの対決は、寺門さんがマウントしようとしている感じがスリリングだった。その先が見たいような、見るのが怖いような感じがした。新潟は関西の番組がたくさん放送されていて、たかじんさんの番組はよく見ていた。たかじんさんが出なくなってだんだん面白くなくなって亡くなってからは全く見なくなった。そんな状況の舞台裏を生々しく描写してあって、腑に落ちた。巻末の博士さんの告白が非常に重くて驚いた。この上下巻に凄みがあったのはそれが要因だったのか。

  • なんか最後は遺言書みたいだった。
    そんなにうつ病歴が長いとは知らなかった。
    でも3人の子どもの父親だから絶対自殺はしないって。
    ビートたけしに芸人として生涯帰依していくってすごい。
    まずたけしありきなんだね。
    泰葉と談志師匠のエピソードが心に沁みた。

  • 石原慎太郎、井筒和幸、やしきたかじん。
    個性が強く、面倒くさそうで、近寄りがたい有名人。

    猪瀬直樹、みのもんた、徳田虎雄。
    かつては一世を風靡しながら、スキャンダルで世間のバッシングを浴び表舞台から消えているかつての有名人。

    寺門ジモン、武井壮、劇団ひとり。
    とりわけ傑出した個性眩い芸能人たち。

    どんな相手にも、著者は懐に飛び込んでいく。
    本人ですら気づいていない素晴らしさ、面白さ、そしてその奥底に潜む真実に迫っていく。

    読み進めていくうちに大きな疑問が発生する。

    この強さはどこから来るのだろうか。
    その答えは、著書の最終盤にあった。

    この連載の最中、著者は心の病と戦っていた。
    原稿を書き、仕事をこなし、闘病を続けた。
    そして、寛解を勝ち取った。

    私も分かる。うつ病を経験したものにしか分からない苦しみが。
    例えて言うなら、生命力が全く無いのに、ゴールの無いマラソンを走らされている感覚だ。
    寛解を勝ち取った者でしか見えない世界があるのだ。

    「うつは必ず治る病気です」
    「うつになったら元の自分には戻れないが、新しい自分になれる」
    「うつになったということは時代の先駆者。後から続く後輩たちの道を切り開いていく使命がある」

    この本を読みきった時、脳裏によみがえったのは、私がお世話になったカウンセラーさんの言葉だ。


    そして著者は語る。
    「ボクにとっては思春期の夏の闇を経て、ビートたけしの弟子になった時点で、そこはスタートであり、ゴールなんですよ。もう夢が叶っている」

    人生に勝利すること。幸せになること。これは、誓いを立てた瞬間に決まっている。


    師匠ありてこその弟子。
    弟子ありてこその師匠。

    人間賛歌とレジリエンスの勝利の大力作ここに。

  • 図書館の貸し出しの順番で、下巻から読むことになった。上巻も読み終わったら、感想を書くことにします。

  • 下巻の方が面白かった。
    まあ下世話なもので偉い人の裏話とかあの降板劇の裏話には、それは食いついてしまいます。
    関西のテレビの内幕話、政界との繋がり…
    そしてご自身の事
    時々独特の表現が読みにくい部分もありましたが、総じて興味深く読ませていただきました。

  • 若い頃の僕にとって水道橋博士はスーパージョッキーに出てくるたけし軍団の若手芸人という人でしかなく、その後もタモリ倶楽部等で見掛けるハカセにもその印象のままだったのだけど、おや、この人はちょっと違うなと思うようになったのは宮崎哲也氏とホストを務めた博士の異常な鼎談を初めて見たときからだった。
    番組ホストの構成からぱっと見で考えると、宮崎哲也氏がゲストに切り込んでハカセがいわば狂言回しの役になるのだと見始めたのだけど、実際には逆で、ハカセがゲストに切り込んでいって、宮崎哲也氏が狂言回しのようにそれの補助線を埋めていく展開でびっくりした。ハカセは無知な視聴者の代表を装いつつ、実際には恐らく沢山の時間をかけて「自分で」下調べしたことがわかる質問や話題をゲストに投げていき、うまく言質を引き出していく様に、この人は稚拙に仕事を進めるのではなく、慎重に仕事を積み重ねていく人なのだと印象が一変した。
    藝人春秋もそんなハカセが積み上げた仕事から抽出された週刊誌2ページのコラムの集積だ。その集積がつまらないものであるはずがないし、道化としての藝人の仕事が全うされている。

  • 【水道橋博士による芸能界での諜報活動の集大成!】水道橋博士生放送降板事件の真実、石原慎太郎と三浦雄一郎のミステリー、感涙のエピローグなど書き下ろしも。疾風怒濤の下巻。

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著者プロフィール

1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京するも、進学した明治大学を4日で中退。弟子入り後、浅草フランス座での地獄の住み込み生活を経て、1987年に玉袋筋太郎と漫才コンビ・浅草キッドを結成。1990年のテレビ朝日『ザ・テレビ演芸』で10週連続勝ち抜き、1992年テレビ東京『浅草橋ヤング洋品店』で人気を博す。幅広い見識と行動力は芸能界にとどまらず、守備範囲はスポーツ界・政界・財界にまで及ぶ。メールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』編集長。
主な著書に『藝人春秋3 死ぬのは奴らだ』『藝人春秋2 ハカセより愛をこめて』『藝人春秋』(文春文庫)、『はかせのはなし』(KADOKAWA)ほか。
浅草キッドとしても『お笑い 男の星座2 私情最強編』『お笑い 男の星座 芸能私闘編』(文春文庫)などの著書がある。

「2021年 『藝人春秋Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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