淀川八景

著者 : 藤野恵美

• 文藝春秋 (2019年4月22日発売)

感想・レビュー・書評

[黒い☆安息日さんの感想 · 2020年8月10日]

タイトル通り淀川にちなんだ８編の短編小説を収録。

人生の90％を淀川近くで過ごしてきた俺にとっては、とても身近に感じる作品ばかり。物語は平成末期から令和初期…つまり今のタイムリーな大阪の人々を描いている。家族同居者生活の描き方が実に上手くて読みやすい。

そして、淀川の切り取り方が絶妙。凡百の作家なら大阪湾との合流地点矢倉緑地やら十三大橋、毛馬水門、枚方宿、三川合流…あたりを使ってくるだろうと思ったが、それらの使い方もちょっとひねってあって、さらにはツウなテーマも使ってくる、まさか鵜殿のヨシ焼き、まさか淀川水系縦走、まさかワンドのざり釣り…これ使って人情小説描くんや。やるなぁ。

ぐっと刺さったのは、冒頭の作品での最後のセリフ

「人間って、弱いものいじめとかを楽しく感じるようにできてるんちゃうかなって思う。親が子供を傷つけて、暗い喜びを感じてしまうことがあるんだって、理解できてしもた…だから、そっち側へ落ちへんように、気をつけるねん。お姉ちゃんも、あたしのこと、見てて」

これ、すごい大事なことやから、淀川の堤防をジョギングするたびに思い出すことにしたい。

[猫丸(nyancomaru)さんの感想 · 2019年6月20日]

【今週はこれを読め！ エンタメ編】大阪が舞台のほろ苦い短編集〜藤野恵美『淀川八景』 - 松井ゆかり｜WEB本の雑誌
http://www.webdoku.jp/newshz/matsui/2019/05/29/182133.html

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嬉しい日も悲しい日も淀川の流れは変わらんなぁ
東京で働く私が年に一度だけ帰省する理由、独身を謳歌してるはずの俺の誤算…大阪に暮らす老若男女の日々をキラリと切り取る短編集。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163910123

[pokopoko0713さんの感想 · 2019年5月7日]

うーん。普通。

[よつばさんの感想 · 2023年2月14日]

「あの橋のむこう」「さよならホームラン」「婚活バーベキュー」「ポロロッカ」「趣味は映画」「黒い犬」「自由の代償 」「ザリガニ釣りの少年」
大阪を舞台に描いた8つの短編が収録。

登場人物は身近にもいそうな人達ばかり。

母のDVによって心に澱を持った姉妹、両親の離婚・再婚・離婚で気持ちが揺れ動く小学生、婚活にあえぐ33歳の女性、妻の流産で気持ちにズレを感じる夫、イジメに合いながらザリガニを釣る少年等

それぞれの心の機微が繊細に丁寧に描写されている。

お気に入りは「自由の代償」
生涯独身を誓った男性の心情にリアルを感じる。

[雄志さんの感想 · 2021年12月7日]

　淀川を舞台にした短編集。ほっこりかなと思ったら、割とすっきりしない感が多い。逆に淀川には人生の縮図が流れているとも言えるのかも……？
　婚活バーベキューの話が個人的にはぐっさりきた。そうなのだ！コロナだから今はそんな場合ではないのだ！！(

[momo0707さんの感想 · 2020年11月3日]

淀川を背景にした短編集。親から虐待を受けて育った姉妹、離婚を考えている夫婦など様々な人々が抱える問題を淀川が静かに見つめる。
それぞれ面白いんだけど、ちょっとあっさりしすぎかなぁ。もうちょっとひねりがあって欲しいのは、私だけ？

[都子さんの感想 · 2020年8月7日]

淀川を舞台にした短編集。読みやすかったけどほぼハッピーエンドじゃなくて何だかなぁ…といった印象。家族関係の話が多かったです。

[chocosenさんの感想 · 2020年1月19日]

淀川をよく知らなくても、自分の記憶にある川の河川敷でなんとなくイメージは浮かぶ。
さらさらと読み終わり、少し心に明かりが灯るような短編集。

[あおちゃんさんの感想 · 2019年7月13日]

淀川(とその近辺)を舞台にした
何気ない日常の一コマ。
身近なテーマだったが
これといったインパクトはない。

[hosinotukiさんの感想 · 2019年6月28日]

短編集８編
青春ものあり婚活ものあり家族ものありとバラエティに富んでいる．そして共通するのは生きることの静かな肯定，淀川を背景に優しい気持ちが流れる．新しく家族になった弟への気持ちを描いた「さよならホームラン」が良かった．

著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。2004年、第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞した『ねこまた妖怪伝』でデビュー。児童文学のほか、ミステリーや恋愛小説も執筆する。著書に、「2013年　文庫大賞」（啓文堂大賞　文庫部門）となった『ハルさん』、『初恋料理教室』『おなじ世界のどこかで』『淀川八景』『しあわせなハリネズミ』『涙をなくした君に』、『きみの傷跡』に連なる青春シリーズの『わたしの恋人』『ぼくの嘘』『ふたりの文化祭』などがある。

「2023年 『初恋写真』 で使われていた紹介文から引用しています。」