Iの悲劇

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2980
感想 : 394
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910963

作品紹介・あらすじ

一度死んだ村に、人を呼び戻す。それが「甦り課」の使命だ。山あいの小さな集落、簑石。六年前に滅びたこの場所に人を呼び戻すため、Iターン支援プロジェクトが実施されることになった。業務にあたるのは簑石地区を擁する、南はかま市「甦り課」の三人。人当たりがよく、さばけた新人、観山遊香(かんざん・ゆか)。出世が望み。公務員らしい公務員、万願寺邦和(まんがんじ・くにかず)。とにかく定時に退社。やる気の薄い課長、西野秀嗣(にしの・ひでつぐ)。彼らが向き合うことになったのは、一癖ある「移住者」たちと、彼らの間で次々と発生する「謎」だった-–。徐々に明らかになる、限界集落の「現実」!そして静かに待ち受ける「衝撃」。『満願』『王とサーカス』で史上初の二年連続ミステリランキング三冠を達成した最注目の著者による、ミステリ悲喜劇!

感想・レビュー・書評

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  • 題名から面白そうと読んだけど、自分が思っていたようなミステリーではなかった。

    米澤さんなので話の中に引き込まれていくけど、移住者たちのトラブルが結構地味。

    これは最後に何かあるよねと期待したけど、伏線回収というほど驚くものではなく、そうだよねという感じだった。
    つまらない訳ではないけど物足りない、テーマも自分には合わなかった。
    Audibleにて。

  • 地方の公務員の大変さが、よくわかった。都会と地方、何処にいても長所短所はあるもので、自分が何を大切にしてるか譲れないかで、住み心地も人それぞれなんだろう。
    ラストは、地方行政の深刻な問題を突きつけられて終わった感じ。

  • 甦り課に配属された主人公。
    廃村になった村に新しく人を定住させようというプロジェクトが始まる。
    新しい住民とのやりとりは、対人で働いていたらあるあるのような癖のある人ばかりでスムーズに行かない。
    その全てを無碍にできないのが仕事であるところの悲しいところ。
    話を読み進めるにつれ、段々と、ん?という違和感を感じてくる。
    最後はやっぱりかという結末を見て、それもある意味「お役所仕事」をしっかりと働いた結果なのかもしれないと思う。
    所々の伏線全てが綺麗に回収されていて読みやすかった。

  • 穂信氏読破の道程です。
    いや、不穏。イヤミス。なんか変、が全部伏線。表紙絵の暗さも、イメージ通り。
    犬はどこだ、と同じ読感。救いがあるようなないような。
    作者さんの出身県がモデルになってそう。嫌いじゃない。

  • 割と軽めのミステリー?と思ってたら、最後にこう来たか!一般的市職員の万願寺、新人で学生気分の観山遊香、就業時刻とともに消える西野課長の楽しい3人トリオ。だと思ってたら…。
    僻地に住むことの現実と市の財政難。役所のありがたさがよくわかる一冊でした。

  • 人が誰も居なくなった村に移住者を呼び込む甦り課で働く万願寺目線で、移住者たちのあれこれに対応していく。

    仕事をしない課長のどこか底知れなさ、軽薄だけどいつも明るい後輩女子の時折見せる頭のキレなど、物語が進むにつれてなにかがある、と匂わせてページをめくる手が止まらなかった。

    度々挟まる公務員あるあるがじわじわ面白かった笑
    オチも、ぞっとするけどリアルな話だった。

  • 山あいの荒廃した集落「簑石(みのいし)」。六年前に無人となり、一度死んだこの村に定住者を募るため、市長肝いりの「Iターン支援プロジェクト」が実施されることになった。 移住者を迎え入れる業務を担当するのは、新設なった「甦り課」。 定時退社励行、やる気の薄い課長<西野秀嗣>、左遷意識をもつ純粋公務員<万願寺邦和>、裁けた新人類<観山遊香>の三人。彼らが向き合うことになったのは、問題を抱えた「移住者」たちとの折衝、摩擦の緩和、「謎?」の解明だった! ・・・過疎化する地方自治体、留まらぬ限界集落の社会問題を背景に、小気味よいスト-リ-展開、怪奇とユーモア、ミステリ風味が醸し出す、直木賞作家・米澤穂信さんの連作短編の奇妙な味に舌鼓みを打つ!・・・そして、終章「Iの喜劇」に至っての、衝撃の大どんでん返し! ・・・ 「やられた!」 思わず膝を打つ!!

  • 感想
    なんだかんだで呪われた村的な?

    課長がトラブルに敏感で、住民を追い出す時だけやけにギラついているのが気になる。

    結論を見て限界集落の終末と地方行政の選択及びやるせなさを感じた。大いにリアリティがある話。

    あらすじ
    南はかま市の蓑石は、誰も住まなくなった集落。万願寺は、市役所の職員でIターンの移住を推進する課に勤めている。

    第一弾の移住者が二組入ったが、ボヤ騒ぎで1組が早速出ていく。もう一組はボヤを起こした疑惑で退去する。

    その後、10組の移住者があったが、養鯉をした男性は鳥対策をせず、鯉が食べられたことにショックを受けて退去。

    本好きの独身男性と近所に住む子供。事故があって両方退去。

    ヒステリックおばさんが起こした問題で2世帯退去。価値ある仏像の展示を巡って、さらに2世帯が退去し、この町は呪われているという噂が回り、みんな退去。

    万願寺は、全員が退去した後に、これらは甦り課の課長と部下が副市長と結託して、市長の思いつきで始まった無駄な政策費を減らすために仕組んだことに気づく。コンパクトシティか。。

  • 「平成の市町村合併」により無人となった集落へ移住者を呼び込むIターン政策。自治体の思惑とは違ってなかなか実を結ばない。過疎化した地域の町おこしは徒労に終わるイメージがあるけれど本当に難しいんだろうと感じた。お仕事小説の趣もあるのだけれど、最後の後味が悪すぎ。

  • Iターンの悲劇、アガサクリスティ風味
    かかった時間 2時間半くらい

    何の気なしに読み始め、冒頭とタイトルからIターン移住者が減っていく話だろうと思って読み進めながら、エンタメとしては話題が暗いし微妙だなあと思った。
    最後まで読んで、まあ個人的にはそうなるしかないし、フリも効いていたので作品としては面白いと思うが、まあ、話題が暗いわな、うん。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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