震雷の人

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912554

作品紹介・あらすじ

第27回松本清張賞受賞作
運命に抗う兄妹の、ロマン香る大河小説。

「書の力で世を動かしたい」。文官を目指しながら、信念を曲げず敵陣の刃に倒れた青年・顔季明。彼の許婚の采春は、興行一座に身を隠し、得意の武術を磨きながら、季明の仇討ちを計った。一方、采春の兄・張永は、季明の遺志を継ぎ、新皇帝のいる霊武へと向かう。いちどは袂を分けた兄妹の運命が交差するとき、唐の歴史が動き始める――。

戦乱中の人生観の変化が面白く、心に残る。――中島京子
歴史の大きさと非情さを内包した展開!――辻村深月

感想・レビュー・書評

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  • 「多様な経験が糧」清張賞の千葉ともこさん、公務員退職し専業作家に | 毎日新聞
    https://mainichi.jp/articles/20220331/k00/00m/040/034000c

    物語で救える感情ある 「震雷の人」で松本清張賞 県職員の千葉ともこさん:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/45230

    千葉 ともこ氏(TSUKUCOMM Vol.52より転載) - TSUKUBA JOURNAL
    https://www.tsukuba.ac.jp/journal/alumni/20210713114731.html

    新・松本清張賞受賞作家のデビューまで――『震雷の人』(千葉 ともこ) | インタビュー・対談 - 本の話
    https://books.bunshun.jp/articles/-/5913

    『震雷の人』千葉ともこ | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912554

  • 千葉ともこさんのデビュー作です。
    安史の乱に関わった張永と采春という兄と妹の物語でした。

    優しく人の為に動く張永と武術の達人の采春の対比が良かったです。
    采春の優美な見た目に反して脳筋なところが私は好きだなと思いました。
    旅の途中で出会う福娘という旅芸人と殿方を平伏す手立てについて話し合うのですが、手段の違いが過ぎることにちょっと笑いました。
    無骨なテーマかなと思いましたが意外と女性が活躍していて、読んでいて『いいぞもっとやれ』ってなりました笑

    1度は良い収まりになりそうなストーリーが最後の最後で急展開を迎えます。
    中国の歴史には詳しくなかったのでちょっとビックリでした。
    その時の兄と妹の選択はなるべくしてなったと思います。

    この作品は安史の乱をめぐる3部作となっています。
    私は2作目の『戴天』から読み始めましたが、どちらも楽しめました。
    戴天に登場していた人物もおり、これぞ姉妹作の楽しみだなと思いました。

  • これがデビュー作品⁈先が楽しみ。いつの時代も人は変わらない。歴史からも何も学べない。国とは、大義とは、それでも民はしたたかに生きる。一千年以上も前の唐の暮らしが目に浮かぶ。それにしても志は、厄介なもの。

  • 安禄山の乱を舞台に平原の男勝りの武術に長けた采春とその兄張永の生き方を描く.許嫁を殺されて復讐に燃える采春の遍歴と覚悟とその出会いにワクワクしながら読んだ.思うような結果にならなくても,思うように生きていけたらと希望を残したラストが救いだった.

  • 婚約者が死んでからが面白い。
    もう少し人を掘り下げていれば、感情こめられたかも。 文字が人の信念を変えるとは文壇受けはよろしかろうが、どこか借りものの設定の寄せ集めな感じがする。
    女性にしては戦闘シーンがうまく書けているが、群像劇にしては尖ったキャラがおらず記憶に残らない。

  • 中国・唐の時代。常山郡太守の息子・顔季明、その許嫁で武術が得意な采春、采春の兄で平原軍の第一隊長の張永。安禄山の謀反による王朝の危機に直面しながら、三人が辿る運命を描いた物語。

    帯に既に書いてあるのでここでも触れるが、この中の一人、顔季明は序盤で命を落としてしまう。しかし彼の残した一文字、一言が他の登場人物に与えている影響が最終盤で生きてくるところが面白い。その彼の仇討を狙う采春が初めて故郷を出て、宿敵との再会、そして故郷へ戻るまでの過程がドラマチック。武力では妹に敵わないと悟る張永も麾下の白泰や圭々らとともに叛乱軍と戦いながら、成長していく。

    さらに彼らの宿敵である安禄山、安慶緒親子や玄宗皇帝の次を担う建寧王らの姿を通して、「国」や「統治者」、「本当の平和」というものを考えさせられ、ただのエンターテイメントとして消化されるだけではないところはさすが松本清張賞受賞作といったところか。

    世界史を習ったことがあれば「安史の乱」といえばピンとくるだろうが、この歴史を実際に知らなくても楽しめる、すばらしい作品だった。

  • 史実は知らないので、知らないままに
    主観を持たず流れに任せて読み進む
    思慮深さは物語をより壮大に、動きはダイナミックで想像力が追いつかない

  • 第27回松本清張賞受賞作で著者のデビュー作。正直、ここまでの作品とは思わなかった。文章もこなれているし、情景描写もうまい。唐を舞台にした時代小説で、魅力的なキャラクターたちが大暴れする。特に主人公の兄妹(張永と采春)がいい。まあ歴史に詳しくないので「どうなんだ?」という箇所もあったが、作者の意図はあくまで“活劇”にあると思うので気にしない。次作が楽しみだ。

  •  著者のデビュー作。賀を献じたい。そして、作品に熱がある。
     唐の時代、安禄山の乱を舞台にした歴史小説。謀反を起こした安禄山の軍に、平原の太守・顔真卿と、張永・采春の兄妹、彼女の許婿・顔季明たちが抵抗した。混乱の中、「書の力で世を動かしたい」と語っていた顔季明は命を落とすことに。采春は女性ながらも武器を手に取り、敵討のため、信じるもののため戦乱に身を投じる。しかしながら安禄山の息子・安慶緒が「文字の力」を語ったことで、彼女はそこに季明の志を見て取ることになる――。
     文字(テキスト)、そして意志の力を信じる者達の物語。同時に、どことなく現代のコロナ禍と重なる部分もあるように思える。太平の世、ひとたび秩序と平和が乱されたとき、人は何を思い、考え、現実と相対するべきなのか? と。普遍なテーマに貫通している。

  • 字が人を説得し、人を動かすということを作品を通して学んだ。乱世の世、いつどこでどのように死ぬか分からない中で決断し行動していく登場人物達にいちいち感情移入してしまうとても良い作品だった。
    世界史を専攻したにも関わらず、すっかり歴史背景が飛んでしまっているので、歴史背景を知った上で読むことをおすすめしたい。

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