哲学と人類 ソクラテスからカント、21世紀の思想家まで

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163913254

作品紹介・あらすじ

私たちは今、情報テクノロジーの発展や、あるいは遺伝子操作などのバイオテクノロジー革命など、目覚ましい技術革新の時代に生きています。

AIの発展や仮想通貨の登場のみならず、新型コロナウィルスの世界的流行では、中国を筆頭にスマートフォンの位置情報を利用した「データ監視」が現実のものとなりました。あるいは、ノーベル化学賞を受賞した「クリスパー」はゲノム編集にとって大きな発見です。私たちの社会や生命を変えうる「テクノロジー」と、どのように向き合うべきか――。

振り返れば、人類はその誕生からあらゆる「テクノロジー」を利用することによって生き残り、社会を形成してきた経緯があります。石器や言語、文字に書籍などあらゆるメディアのもとに、人類史は築かれてきました。同時に、哲学者はいつの時代でも「技術」について、「技術」とともに思考を展開してきました(アリストテレス、カント、ヘーゲル、フロイト、マルクス、ニーチェなど)。

人類史を形成したテクノロジーの歩みと、その考察を続けてきた哲学者の歴史を総覧し、21世紀以降、私たちが生きる未来を考察します。

AI、遺伝子工学、デジタル監視社会、ビッグデータ、ポスト・ヒューマン、仮想通貨、IoT、ポスト資本主義……人類はどこへ行くのか? 石器に印刷術、デジタル経済圏まで「技術の哲学」で読み解く人類全史。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学者の数が多すぎて難しい所もあった。
    数十万年やってる人間が、この200年で突然のデジタル化。
    強いネアンデルタール人より、弱いからこそホモサピエンスだけが生き残ってる。

    この本に出てきたソクラテスのせいで、逆ソクラテスを買っちゃった。

  •  AI・ビックデータ、アルゴリズムの進化、位置情報によるデータ監視。人間の生身を越えていくテクノロジーを、私たちは管理・支配できるのか。そして私たち人類はどんな未来へ向かうことになるのか。
     人類が直面しているこれらの問題に、哲学の視点から解答を与えようとする一冊。科学技術とメディアがはらむ現在の問題には、その原型ともいえる過去の問題がある。技術とメディアの誕生・発展・進化を人類史ととらえ、哲学的に読み解いていくことを試みている。
     この問題設定のなかで多くの思想家たちと対峙することになるが、その一人が、ベストセラー『サピエンス
    全史』『ホモ・デウス』で知られるユヴァル・ノア・ハラリ。彼は遺伝子格差社会による超人誕生と、そしてAIによるデジタルテクノロジーによる社会推進を語っていたが、本書はハラリの思想も吟味する。現在のテクノロジー上、遺伝子操作による超人誕生が1000年後であると冷静な筆致で批判。そのうえでハラリの問題設定を引き受け、岐路に立たされる人類の現在と未来の可能性を探る(第一部第二章)。最新思想動向を乗り越えながら技術・メディアの課題を探るだけでなく、普通の人には難しい哲学の歴史をメディアの発展史として平易に読み替えていくことも特色(第二部~四部)。現代を考えるための数々の材料を提供しているように思う。

  • 著者の書くものに興味があり何冊かたまたま図書館で借りて手にとった。

  • 「メディアの観点から200万年の人類史を哲学的に解説する」というもの。なぜ人類史か、それはホモサピエンスの終わりが見えてきているから。AIの支配によるホモサピエンスの終わりだけでなく、BTの利用でゲノムを改変することによるホモサピエンスの終焉、という2つのシナリオが書かれていた。メディア(自己拡張の技術)が、音声・絵画から文字、アナログ技術、デジタル技術と発展するにつれて、人々の考え方やあり方に変化を及ぼしてきた。例えば、マルクス、フロイト、ニーチェが発見した無意識と技術メディア(電話や蓄音機)は関係があるのではと例示があった。デジタル技術が発展し、SNSなどで各々がどんどん自己拡張しているこの先はどういう未来があるのだろうと思う。

  • 半分以上は伝達メディアの変遷や、その背景の哲学的なお話。

    哲学的な読み物としては文体も読みやすいです。
    メディアの変遷に興味があるならオススメです。

  • タイトルには表れていないが、哲学や人類の歴史をメディアや技術の面から辿る本。対象とする時間軸が長く専門書でもないため、記述の粒度が揃っていない面もあるが、大まかな流れを押さえるのによく面白く読んだ。石田英敬先生のお仕事とも共通する視点があるように思う。

  • 深みに至らず思いついたことを五月雨的に流れ書きしたような。通勤電車2日で読めたし、小ネタお楽しみ哲学エッセイとして。小難しい本の間に挟んでちょうど良かった。

  • メディアの観点から人類史を哲学的に解明するのが本書のテーマ。メディア↔人類↔哲学の関係性を歴史を追って解説するのは分かりやすい。しかし著者の主張や考えらしきものはなく、先人の理論の紹介と分析に留まっている。

  • テクノロジーやメディアを哲学に結びつけた大変参考になった一冊。ただ、書名からは想像できず、たまたま手に取って、あとから気づいた。このご時世だと、メディアを打ち出しても売れないからか、著者のこだわりかもしれない。

    いわゆる実務書ではないけれども、出版や情報に携わる、紙やウェブに問わない方も一度読むといいと思われる一冊。

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著者プロフィール

玉川大学文学部名誉教授。九州大学大学院文学研究科単位取得退学、博士(文学)九州大学。専門分野:哲学・倫理学。主要業績:『異議あり!生命・環境倫理学』(単著、ナカニシヤ出版、2002年)、『ネオ・プラグマティズムとは何か』(単著、ナカニシヤ出版、2012年)

「2019年 『哲学は環境問題に使えるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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