- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163913827
作品紹介・あらすじ
★〈マカン・マラン〉著者が描く感動の家族小説
戦時中、近所から「非国民」と呼ばれる父親を恥じ、
立派な軍国少年となるべく日々を過ごしていた良彦。
それから終戦を経て約20年後、
良彦の元に父の遺品の日記が届く。
なぜ父は心を病み、非国民と呼ばれたのか――
本当に正しかったのは誰だったのか――
そして、良彦の家にまつわる数奇な運命とは――
激動の昭和を生きた親子三代の記憶が紐解かれる。
感想・レビュー・書評
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神経症に悩まされてた父が亡くなり遺品の中に日記があったことから始まる。
お父さんの知らない過去や家族のことが日記を読むことにより初めて分かる。
主人公から見ると意地悪でお母さんをこき使い、横柄な態度のおばあちゃんだったが父親に見捨てられたり旦那はお金を持って恋人のところへ行ったりと苦労人。
旦那にお金を持って恋人のところへ行けと言って、心の中では行かないと思ったのに行ってしまった…
お腹の中には子供がいたのに…可哀想
一人息子が結婚相手に選んだ相手を村の人達は、からかったりしたのを怒鳴って蹴散らす…お母さんには意外にも味方だった。
家を出てった旦那が作った血の繋がらない子供の世話もかげながらして心の広い人。
息子が非国民と村人に呼ばれても怒鳴り黙らせる。
すごい元気でパワーのある人。
そんな事は、孫たちは一切知らなかったが、おばあちゃんは嫁であるお母さんにだけは教えていた。
お父さんは神経症を患い単身で東京で教師をやってる時に書いてた日記には死ぬことばかりを考えていた。
でも、死なずに家族の元へ帰ってきて部屋からほぼ出ることも家族とほぼ会話することもなく。
死にたい父親、生きた父親どっちも本当の父親と言う終わり方。
そんなことを書かれた日記を主人公が遺品として預かると。
お兄ちゃんは、捨てれと言ったけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
じんわり沁み込む一冊。
遺された父の日記。
息子の良彦が父のあの時の心を紐解く物語。
戦中、戦後という時代の中、家族が抱えていた胸の内がじんわり心に沁み込んできた。
子供ながらの良彦の、家族と時代への目線、心情、父の行き場のない苦しみが丁寧に描かれせつなく胸を打つ。
世の中、その人との間でしかわからない心は星の数ほど溢れているに違いない。
秘められたかのような知られざる一面を垣間見る…それって心にキラリとしたものが瞬く瞬間かも。
知ることで自分の何かが変わる、相手のあの時も報われる…そんなことを温もりと共に感じた。 -
読んでいて、タイトルと内容の関係が「?」も、戦中戦後から昭和の東京オリンピックまでの家族の話が描かれており、その時代背景から個々の人物描写が上手く最後まで飽くことなく読ませていただきました。
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日本で戦争のあった時代が描かれていて、今のウクライナとロシアの争いがある中で、タイムリーに重なる話だった。
『自由や平和を希求する理想は、光年の彼方の星影のようにいつまでたっても手に届かない。』
この文章を読んで、本当に世界の全てが平和になることがあるんだろうか、とも考えてしまう。
自分ができることは、平和であることを願うことだけなのかもしれないけど…
そんなことを考えさせられた話でした。 -
253ページ
1700円
4月18日〜4月19日
幼い頃に戦争を体験した良彦。良彦のもとに妹の美津子が亡き父の日記を持ってやってくる。幼き日、父は神経症で部屋にこもっていることが多かった。祖母の多嘉子は、嫁の寿子に厳しく、良彦にも厳しかった。
戦時中の話は、読んでいて引き込まれた。父の神経症の話は気持ちが滅入ってしまうような真実があり、人間の本質が見えた。 -
作品の一番最後の一文が、この物語の全てを物語っていて、その一文とそれが表現している光景が、強く印象に残った。
***ネタばれ***
宮城県の田舎の夜空に、無数の星が明るく輝く光景が浮かび、その光景は、人生に例えられている。
『闇が深ければ深いほど、強くさやかに輝く』
なんて心強い言葉なんだろう。
でも、私も人生を振り返ってみると、そうかもしれない。闇が深いほど、晴れたときは凄くクリアで明るい。
古内さんの小説は、勇気づけられる事が多いです。
また、主人公の良彦は、戦時中、神経症を患い、近所から「非国民」と呼ばれていた父親を恥じていたが、父親の死後、遺品である日記がでてきた。なぜ父は心を病み、非国民と呼ばれたのかが明らかになるのだけれど、その日記は、幻覚に苦しみながらも、教師として、親として、懸命に道を探ろうとしていた一人の男性が誠実に生きてきた証だった。
情けなくなんかなかった。死を望みながらも死なずに戻ってきて、真面目に生きて寿命を全うしたお父さん。なんて深いんだろう。
人が人生を全うするのに大事なことが、たくさん詰まっている作品だった。
また読み返して、心に刻みたい。 -
今日はオリンピック開会式。
その直前に読めて良かった!! -
戦時中、「非国民」と呼ばれる父親を恥じていた主人公と、その家族のお話。父親の日記を軸に真実を知り、時代や人の見方が変わっていく過程が丁寧に描かれていた。私の祖父母も戦中のことはほとんど語らない人だったのだけど、お父さんのようにヒトに話すのも躊躇われるような、思い出したくないことが色々あったんだろうな…。誰にとっても、この世を生きていくのは「ご苦労さま」なことで、凡庸に見えても穏やかなだけの日々はない。喜びとそれに伴う苦しみを正々堂々生きていかなければいけないな、と思わされた。
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しみじみと良かった!
関東大震災、戦争を通して心を病んでいった教師だった父。
戦前戦後を子供として過ごした自分。
泰然と父を支える母。
矢面に立ち頑として生きた祖母。
其々の現実を受けとめ、誠実に生きていく家族の姿がとても良かった。 -
とても良かった。
特に多嘉子さん、すごいなぁ。