- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163915258
作品紹介・あらすじ
腹が破裂して、緊急手術をすることになった。そこから連鎖するように、わたしのからだに不調が現れる。やがて世界には新型コロナウイルスが蔓延し始めた。
からだの痛みは、苦しみの歴史や数多の物語、宇宙の謎にまでわたしを導いていく。
恐るべき速度で世界が変化する分断と混乱の時代に、あらゆる束縛を小説で超越してきた山下澄人が投げかける、渾身の一冊。
感想・レビュー・書評
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時々あるやつ。
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S字結腸に穴が空いての緊急手術から始まって次々起こる体の不調。猫もまた年老いて同じく開腹手術。書き続けている小説と白鯨や赤毛のアン、アンネの日記等々の文学作品あるいは妄想と過去が現在に浸出してきて、山下氏の頭の中を覗き見るような具合だ。
そして表紙の絵が作品の雰囲気にぴったりだ。 -
「わたしがスマホを出してわたしに見せた」
引っかかって何度も何度もページをめくり戻して何度も何度も読んだ。自分の頭がおかしい?
こんな調子の文は読んだことがなかったから面白かったけど、作為的なのか?
とまどいながらもとにかく読み終えた。 -
何度も時空を立ち戻る文章が好きなので、ドキドキしながら読んだ。中上健次しかり、カズオイシグロの「充たされざる者」しかり。こまかく、視点を変えながら、記す者として正確にその場を表現しようという気持ちが、写実の絵画みたいでワクワクした。同じことを何度も、何度も、何度も書く姿勢が、私は好き。他の本も読んでみようと思った。 90