- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163916491
作品紹介・あらすじ
ー夢を叶えるために生きてきたんだー
あらゆるメジャー・レコード会社のディレクターやスカウトマンが集まった1990年代後半の下北沢のライブハウス。すべてのミュージシャンの目前に巨大なルーレットが置かれていた。
NONA REEVES 西寺郷太、初の自伝的小説!
僕は相変わらず大学や下北沢から家に帰ると寝る間も惜しんでダビングを繰り返していた。デモテープを配った相手にアンケートを渡し、そこに書かれた住所に美しくデザインされたダイレクト・メールを送る。お金に関して言えばまだすべて持ち出しだ。しかし、そんな日々を繰り返している中で「ファン」と呼べるような何人かが僕の周りに生まれ始めている。ようやく上京してから、いや音楽の道を目指してから永遠に続くかと思われた長い「スランプ」のトンネルを抜け出そうとしている実感が湧いてきた。
「やったるでー!」
ひとり暮らしの東中野ヒルズで布団にくるまりながら、僕は大声で叫ぶ。
(本文より)
感想・レビュー・書評
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青春ものの少し青くさい感じも90年代後半の空気感にぴったり。時折り差し込まれる時事ネタが、同時代を生きた人達の心をくすぐる。野茂はパイオニアになったし、メジャーでも背番号51はイチローのものに。マイケルも筒美京平もなくなってしまったな。
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現NONA REEVESの著者による90年代後半の5年間を舞台にした自伝的小説。
自分は重要人物である先輩・ワクイさんの方に近い世代だけど、いやもう、洋楽ネタはツボ過ぎて読んでて悶絶(笑)
その一方で地方在住の自分にはあずかり知らぬ、当時の下北沢の空気感が濃厚に再現されているのが素晴らしい。様々な人が目の前を通り過ぎるさまに戸惑いながらも、愚直に音楽を作り続ける一人の青年を描いた青春小説としても◎
2000年代以降の続編はあるのだろうか? -
ちょうど私がシーンから離れがちだった90年代後半の下北事情
懐かしくもへぇもあり -
自伝のような、自伝的小説のような…。
登場する人物(ミュージシャン)がほぼ実名で、言動もそれほど創作されたものではないようだけれど、話の中心はフィクションのように読める。
90年代に下北沢にいた人だけに向けている気がしてならない。
その境界がぼやけているのが小説としての味と言えば味なのだろうけれど、文体に色気がないので率直に言ってしまえば面白くはなかった。
自伝として読ませたいのか、小説として読ませたいのか… -
NONA REEVESのフロントマンであり、優れたポップスメイカーとして作曲家活動も行い、かつマイケル・ジャクソンやプリンスの音楽評論でも知られる著者が、アーティストとしてのデビューを目指してもがいた90年代を描いた自伝的小説。
自らの才能を信じつつ、ひたすらデモテープを作り、信頼できるバンドメンバーと出会ってデビューを果たしていく、という著者の生き様がとてもキラキラしており、音楽を愛する人であれば必ず共感できるシーンばかり。そして、登場人物はほぼ実名であり、当時の日本の音楽シーンを代表する様々なアーティストたちとの交流が描かれており、下北沢を中心とする当時のロックバンドの様子なども知れるのが非常に面白い。
寝る直前に数十ページだけ読もうと思って読み始めたらあまりの面白さに手が止まらず、結局ラストまで一気に読んでしまった。音楽ファンにはおすすめの一冊。 -
【ノーナ・リーヴスの西寺郷太、初の自伝的小説】バンドが群雄割拠する1990年代の下北沢ライブシーン。若きミュージシャン「ゴータ」はプロデビューという夢に向かって邁進する。