- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163916569
作品紹介・あらすじ
「すべての出会いは運命的だ」
35歳、9月。ロンドンで高校の同級生の結婚式に参加した。
仁と茜の夫婦は、茜の古い友達を訪ねてペルージャまで足を延ばす。
そして窓目くんは、結婚式でシルヴィに出会ってしまったのだった。
――言葉と記憶があふれだす、旅の連作短編集。
感想・レビュー・書評
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本の説明にはないけれど、「長い一日」のスピンオフ版かしら。
その友達たちの旅の連作短編集なんだな。
ロンドンやイタリアペルージャでの出来事、コロナで遠ざかった世界が懐かしい。
窓目くんが相変わらず飄々として達観している姿が愛しい。
結局、タイトルのラーメンカレーってなんだっけと思いながらも、居心地のよい空間にいた感じでした。
紹介されていたカレーの本は、しっかりブックマーク! -
滝口作品と言えば、記憶、思い出。
今回は旅が(大きな意味で)テーマ。
旅を描くという事は、記憶を辿ることは必定。
滝口悠生作品の髄を存分に楽しめる。
後半は窓目くんが主人公。
『長い一日』などで存在感を放っていた彼がついに。
なんだかやっぱり、いいキャラクターだ。 -
はっきりと、こんなお話で面白かった、と言えない話だった。
例えば、知らない誰かの独り言をずっと聞いているような、お茶しながら友達の話を聞いているような気分になる。
それが面白い時もあれば、ふんふん頷きながら眠たくなってしまう時もある。
そんなお話だなあ、と言う感想。 -
2023年2月
日常って人を癒す効果があるなぁと思う。旅行に行く"非日常"も含めて日常。事件も事故も起こらない。
普通の人が日常を振り返って書いたならばこうはならない。鮮やかさがすごい。まるでわたし自身がこの日常を体験したような気がしてきてしまう。そしてこの日常から浮き立ってくるものは幸福だなぁと思う。 -
どうしようもなく好き。いっしょにおなじ場所に行っても、思うことや思い出すことは違っていて、共有しようとしても100%完全に伝えることはできない。それがいいよね。記憶が記憶を呼んで、いまここにいないと思い出さなかったこともきっとある。いまこの瞬間も、いつかの未来で思い出すかもしれないし、思い出されないかもしれない。偶然すれ違ったアジア人に親しみを持つかもしれない。私たちは一瞬一瞬の選択の積み重ねで生きているけど、大きな時代や歴史の流れと無関係に生きることはできない。
あわせて読んだ文學界3月号の特集もとても良かった。 -
【35歳。もう、若かった頃のように若くはないのだ】9.11、日韓WC、貧乏一人旅、サークル同期のあの子――青春の記憶はあらゆる所で飛び出して、あらぬ所へ誘いだす。連作短篇集。
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それぞれの章を読むたびに、誰の目線で書かれているのかを読みながら整理していく感じ。そして、それぞれの章がつながっている。登場人物の生い立ちや経験や選択が出会いや旅先に反映されていて、無意識にこなしてきた人生のアレコレって案外うまく回収されるんだなと自分の現状と照らし合わせても感じる。
久しぶりに海外旅行に行きたくなったし、何と言ってもカレーが食べたくなる!そして人と関わりながら生きて行きたいと思った。