- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163917313
作品紹介・あらすじ
世界的ベストセラー『スティーブ・ジョブズ』評伝作家だからこそ描けた。
いま、世界で最も魅力的で、かつ、世界で最も論議の的となるイノベーターの赤裸々な等身大ストーリー。彼はルールにとらわれないビジョナリーで、電気自動車、民間宇宙開発、人工知能の時代へと世界を導いた。そして、つい先日ツイッターを買収したばかりだ。
イーロン・マスクは、南アフリカにいた子ども時代、よくいじめられていた。よってたかってコンクリートの階段に押さえつけられ頭を蹴られ、顔が腫れ上がってしまったこともある。このときは1週間も入院した。
だがそれほどの傷も、父エロール・マスクから受けた心の傷に比べればたいしたことはない。エンジニアの父親は身勝手な空想に溺れる性悪で、まっとうとは言いがたい。いまなおイーロンにとって頭痛の種だ。このときも、病院から戻ったイーロンを1時間も立たせ、大ばかだ、ろくでなしだとさんざどやしつけたという。
この父親の影響から、マスクは逃れられずにいる。そして、たくましいのに傷つきやすく、子どものような言動をくり返す男に成長し、ふつうでは考えられないほどのリスクを平気で取ったり、波乱を求めてしまったりするようになった。さらには、地球を救い、宇宙を旅する種に我々人類を進化させようと壮大なミッションまでをも抱き、冷淡だと言われたり、ときには破滅的であったりする常軌を逸した集中力でそのミッションに邁進するようになった。
スペースXが31回もロケットを軌道まで打ち上げ、テスラが100万台も売れ、自身も世界一の金持ちになった年が終わり2022年が始まったとき、マスクは、騒動をつい引き起こしてしまう自身の性格をなんとかしたいと語った。「危機対応モードをなんとかしないといけません。14年もずっと危機対応モードですからね。いや、生まれてこのかたほぼずっとと言ってもいいかもしれません」
これは悩みの吐露であって、新年の誓いではない。こう言うはしから、世界一の遊び場、ツイッターの株をひそかに買い集めていたのだから。暗いところに入ると、昔、遊び場でいじめられたことを思いだす——そんなマスクに、遊び場を我が物とするチャンスが巡ってきたわけだ。
2年の長きにわたり、アイザックソンは影のようにマスクと行動を共にした。打ち合わせに同席し、工場を一緒に歩き回った。また、彼自身から何時間も話を聞いたし、その家族、友だち、仕事仲間、さらには敵対する人々からもずいぶんと話を聞いた。そして、驚くような勝利と混乱に満ちた、いままで語られたことのないストーリーを描き出すことに成功した。本書は、深遠なる疑問に正面から取り組むものだとも言える。すなわち、マスクと同じように悪魔に突き動かされなければ、イノベーションや進歩を実現することはできないのか、という問いである。
感想・レビュー・書評
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最高だった!
イーロン・マスクとはどんな人物なのだろう、緻密な取材から作られたこの本で、それを知ることができる。
さらに、イーロン・マスクを通して様々なモノ・サービス・技術に触れられる。
ロケットや電気自動車の開発、ウクライナ戦争と衛星通信、Twitterの内幕、AIに関する話などなど。
最後にインタビュー取材先一覧が掲載されており、数えてみると計129人だった。
著者ウォルター・アイザックソンに拍手。
読後感は、自分も何かしたいな、と熱くなる気持ちにさせてくれる。
以下、心に残った部分を挙げる。
▼おもちゃからヒントを得る
不具合なく、安く、すばやく作られるおもちゃは参考になる。
従来は100個以上の部品を組み合わせていたが、シャーシ全体を80秒で作れるようになった。
▼シュラバ発動
ゆるんでいると感じると定期的にシュラバモードが発動。
良い点、悪い点がある。
良い点、現場に緊張感が生まれ、あり得ない期限を達成できることがある。
悪い点、ついていけない人間がどんどん辞める。しかも、そもそもできなかった結論になることもしばしばある。
やれなかったことで辞めた人が正しかったわけです。
▼技術の進歩について
「技術というのは、放っておいても自動的に進歩するものではない」
たしかに。実際、全体の科学技術の発展の割に、宇宙分野・電気自動車は止まっていたわけで。
こういった意識は大切ですね。
▼ポリトピアというゲームがしばしば出てくる
マスクの教訓は以下。
・共感は資源ではない
・ゲームのように人生を送れ
・敗北を恐れるな
・先を見越して動け
・ターンごとに最適な手を打て
・倍賭けする
・選んで戦え
・休むのも大事
一応、自分もポリトピアをインストールはしてみました。
▼ウクライナへの支援
スターリンクで協力。
しかし、軍事支援したいわけではないという、板挟みにあう。
国が中間に入って取引するというのは、たしかにと思わされた。
▼ゲイツと会う
ゲイツはマスクにスケジュール担当者がいないことにびっくり。
ゲイツは慈善活動に興味があるが、マスクは無関心。
あと、マスクはテスラの空売りが許せなかったらしい。
▼ツイッター
テック企業だから、テスラやスペースXに比べれば簡単に立て直してしまうのかと思いきや、すごく苦戦する。
たしかに、表現の自由と好ましくない発言の規制は相反しており。
さらに、広告収入も絡み合って、非常に難しい。
私もツイッターapiを使っていて、なくなると宣言された割にしばらく何事もなく、何がどうなってるんだと思っていたが。
この本で、内部はとんでもないシュラバが進行していたことがわかる。
▼ツイッターファイルでメディアについて考えさせられた
ツイッターも偏ったことをしていたことが明らかになる。
これだけ多くの人間が使うメディアが印象操作できてしまうのは、非常に怖いことですね。
あまり、SNS使わないので意識はしてませんでしたが、操作されることがあるという前提知識を持つ必要を感じた。
▼細かい取材が素晴らしい
マスクの父が送った陰謀論めいたメールを紹介、しかし、マスクはメアド変えていて受け取っていなかった、とか。
締め上げられた人間のその後も確認でき、
イーロン、締め上げられた人間、その上司、3者の視点からの話もある。
ちなみに、数年はミッション達成のために良い時間を過ごす。
ただ、結婚や子どもができることで、ワークライフバランスを重視するようになると、たいていの人間はついていけず、退職しているようだ。
▼本書に対する態度がスティーブ・ジョブズと同じ
刊行前に、本書を読ませてくれという話はなく、マスクの手はいっさい入ってないそうだ。
不思議と、このスタンスはスティーブ・ジョブズと同じ。
他人との比較に興味ないから、ありのままを書いてくれて結構、ということなのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近読んだ中で一番 最高の本。
読んでいて未来へと一緒に飛んでいっている感じ。全部これが現実に起こっているだ、と言うことをニュースやXでも確認でき詳しい現場の臨場感が伝わってきた。
偉業を成す人は考え抜く力が半端じゃないな。
イーロンは目標に向かって極限近く無理強いし、自分自身も進化を続けてる。
そうやって考えると、人間はまだまだ脳を活性化させてないと考える。一人一人が脳を鍛えていけばもっと違う自分が出てくるのではないだろうか。
未来を描く。強く願う。失敗を恐れない。守りに入らない。常に挑戦する。それを教えてくれている。
火星移住は夢ではない。現実に向けて現在進行中。
イーロン・マスクから目が離せない。
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育った環境や生まれ持った特性も多分にありそうだが、狂気的な意思とエネルギーと知性で絵空事を実現していく様子が印象的だった。絶対映画化されるわこんな人。
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世界の中心はこの男!!
2年前くらいから興味を持ち始め、この渾身のルポではっきり分かった。破天荒ながら唯一無二の、現代版キングダムだ。ここから一体何を学べばいいか。
上巻でも思ったけど、常識を打ち壊し続ける、それを貫き通す意志。「きりもみして落下するロケットのエンジン交換をする」と表現されており想像力をかき立てる。イーロンの胆力ハンパない。先を見通すだけでなく、そこに命以上の全てをぶち込む力。
狂ったように仕事をしろ。
ワークライフバランスが叫ばれる中、完全な逆走だけどそれはそれで真実の一つかもしれない。
それくらいやれば、なんらかの答えは出せる。
死にそうなジジイになっても誰か話を聞いてくれるよ。
ワークライフバランスって、そういえば誰の幸せ?
トランプ大統領を、たわごと選手権の世界チャンピオンと評する所も笑えた。その男が再選される日がくるのかな…? -
上巻に続き、2023年までのイーロンを追跡した本。非常にクレイジーで面白かった。
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イーロン・マスクが何を意識し、どう進めているか一端を知れて面白かった。
アイディアを何がなんでも形にするのがワクワクした。
少しでも生かせるとこは真似してみたい。
ものを進めるのに共感はいらない、というのはそうかも。ずっとそのモードでいるとキツイけど仕事や1人でいるときはそうしようかな。 -
感情の起伏が二段階しかない。機嫌のいい時はアイネクライネナハトムジークのト長調を口笛で吹いたかと思ったら、悪魔モードに突入したら旧ツイッターの買収でとんでもない数の人員整理を容赦なくやってしまう。時に陰謀論に支配され、失敗しても次々と思いついたことを形にしていく。暇が嫌、一人が嫌。観客側としては宇宙事業の次は何に興味を示すのか楽しみではあるけど、、、あぁ本当に大変な人だなと思う。
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『イーロン・マスク 上&下』 - ビジョナリーな起業家の波乱に満ちた人生
『イーロン・マスク 上&下』は、ウォルター・アイザックソンによって書かれた、世界で最も影響力のある起業家の一人、イーロン・マスクの公式伝記です。この本は、ペイパル、テスラ、スペースX、そして最近ではXといった企業を通じてテクノロジーの極限に挑むマスクの姿を赤裸々に描いています。
伝記はマスクの幼少期から始まり、南アフリカでの困難な子供時代、家族との複雑な関係、そして彼が科学と技術に情熱を注ぐようになった経緯を掘り下げています。特に彼の父親との関係は、彼の人格形成において重要な役割を果たしており、読者に深い印象を与える部分です。
マスクのビジネスへの取り組み方は、非常にリスクを恐れず、時には破壊的でさえあります。彼の生き方は、革新的なアイデアと技術で世界を変えることに対する彼の強い決意を反映しています。この伝記は、そのような壮大な目標に向かって突き進む彼の精神的な闘いと、個人的な犠牲を浮かび上がらせます。
アイザックソンの筆致は、マスクの複雑な性格とその生涯の波乱に満ちた道のりを詳細に、そして感情豊かに描き出しています。読者は、マスクが直面した無数の挑戦と彼がそれをどのように乗り越えてきたかを理解することができます。また、彼の成功がどれほどの努力と時には過酷な犠牲を伴うものだったかが、鮮明に語られています。
『イーロン・マスク 上&下』は、起業家精神に興味がある人、イノベーションとリーダーシップについて学びたい人、または単に世界を変える野心を持つ人々にとって必読の書です。この本は、夢を追求する過程での困難と、それを克服した時の充実感について深く洞察を与えてくれるでしょう。