- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163917689
作品紹介・あらすじ
頭が先、手は後。一流の仕事のカギは順序にある。――楠木建(経営学者)知的生産へのリスペクトがイノベーションの源泉だ。――落合陽一(メディアアーティスト)「怠惰であれ!」「早く失敗せよ」――米マイクロソフトの現役ソフトウェアエンジニアの著者が、超巨大クラウドの開発の最前線で学んだ思考法とは?“三流プログラマ”でもできた〈生産性爆上がり〉の技術!・試行錯誤は「悪」。“基礎の理解”に時間をかける・より少ない時間で価値を最大化する考え方とは?・「準備」と「持ち帰り」をやめて、その場で解決する・マルチタスクは生産性が最低なのでやらない・“脳の負荷を減らす”コミュニケーションの極意・コントリビュート文化で「感謝」の好循環を生む……etc.仕事と人生を「自分の手でコントロールする」最高のスキルがここに!
感想・レビュー・書評
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世界一流エンジニアの思考法
著:牛尾 剛
どうやったら不得意なことでも効率よく人並みのことができるのか
この本の核心にあるスキルは、AI時代を生き延びる思考法といってもよい。
気になったのは、以下です。
■世界一流エンジニアは何がちがうのか
・障害を調査するときに、いきなり手を動かして、試行錯誤していろいろクエリを投げてはだめなんだ。
・ログを見て、自分で多分こういうことが起こっていると推測して、その推測にあったクエリを投げてそれを証明するんだ
・どんなに頭がいい人でも、理解には時間がかかるもの
・頭がいい人が理解が早いように見えるのは、時間をかけて基礎を積み重ねているので、既に理解していることに関して頭ノメモリに文脈が載っているからだ
⇒ 理解に時間をかける を実践する
⇒ 理解とは、①説明可能、②いつでも使える、③応用可能
⇒ 基礎練習は誰でもできることだが、習得には時間がかかる
⇒ 初歩の学習を、簡単だ、と馬鹿にせず、本当に一からやり直してみた
・理解は時間がかかるもの、として、急がず、徹底的に理解する習慣をつける
⇒ 圧倒的に試行錯誤が減って問題を一直線に解決できるようになってきた
⇒ 感覚で、これが問題だろうと決めつけてしまったのが今回のミスで、あくまでもファクトを積み重ねるべきだった。
⇒ 自分でログんどを検証して、問題解決するようにしないと、思い込み、の穴に落ちてしまう
・ドキュメントはコードを書く前に書くんだ、だって、コードを書いた後にドキュメントだけ書くなんて退屈だろう
⇒ ドキュメントを書くことで頭を整理することができる、抜け落ちていた視点などに気づくことができる
⇒ 考えているときに書けば、自動的に、ドキュメント、になるので、それをシェアするだけですむ
・自分に抵抗がある仕事に取り組むときには、メンタルモデルをつくる
⇒メンタルモデルとは、さまざまな思考のフレームワークを集めたものだ
⇒メンタルモデルとは、人々が世界を理解し、予測し、解釈し、新しい状況に適用するための、自己の心の中のイメージや理論のことだ
⇒私の場合、システム思考、というフレームワークを独自にアレンジしたものを採用している
⇒なぜなぜ分析、とは、問題を発見したら、なぜ、を5回繰り返して、根本原因をあぶり出していくトヨタの手法のことだ
・まずエキスパートにたよる
⇒既存システムがある場合は、あれこれ考えて調べる前にまず、エキスパートに頼る、というのはベストプラクティスだ
⇒偉大な習慣を身につけたプログラマになる
⇒どんな人も最初は難しく、理解には時間がかかる
⇒自分が仕事をコントロールできているという感覚、何かわからないことがあっても、自分ならやれると思える感覚だ
⇒私は偉大なプログラマではなく、偉大な習慣を身につけたプログラマだ
・アジャイルとは何か
⇒ソフトウエアを機能毎に小さく分割し、優先順位の高いものから、要件定義・設計・実装・テスト→リリース、を行き来しながら、1つのサイクルを短いスパンで頻繁に行う開発主要だ
⇒アジャイル開発手法の中にスクラムというものがある。5~10名からなるこの体制では、メンバー全員がオーナーシップをもって開発をすすめるため、チーム内のコミュニケーションが非常に重要になっている
■アメリカでみつけたマインドセット
・怠惰であれ
⇒よりすくない時間で価値を最大化するという考え方だ
⇒最初の1つをピックアップしたら他はやらない。その1つにフォーカスしよう、という感覚だ
⇒20・80の法則、20の力で80の成果を上げる
⇒一番大事な1つだけをピックアップする癖をつける
⇒時間を固定して、その中で価値を最大化する
⇒準備、持ち帰りをやめて、その場で解決する、会議の場だけで、完結する
⇒物理的にやることを減らす
・FallFastの原則
⇒①挑戦、②失敗、③フィードバック、④修正、そして、①挑戦
⇒検討をやめて、時間をかけずに、さっさと検証を行う
⇒シンプルに早く始める、あるいは、既に動いているものを、リリースする
■情報整理・記憶術
・いかに脳の負担をへらすか⇒脳に余裕を与える
・自分にとって難しすぎると感じるときは、脳の使い方が間違っている
・人に説明しようとおもったら、書いてみる
・人が記憶するために有効な手段は、シンプルに思い出そうと頑張る
・頭の中だけで整理する⇒理解・記憶・反復⇒目的は脳の負荷を減らす
■コミュニケーション
・情報量を減らす、大切さ
⇒情報がたくさんあると消化できない
⇒最初から全部説明しない、しようとしない
⇒準備する、いきなり伝えない⇒情報を最小にして、簡単なことをしっかり説明する⇒理解してもらうために丁寧に時間をかける
⇒メモをとる、習慣
⇒手を動かす前に、変だとおもったら、すぐオフラインで話す
⇒クイックコールを頻繁につかう
⇒音声のほうが100倍以上情報量があって、インタラクティブ性があり、フィードバックが速い
⇒知らないことは簡単に聞く
⇒気軽に聞ける仕組みは、気軽に断る空気とセットになっている
■チームビルディング
・サーバントリーダシップ リーダはKPI&ビジョンを提示するが、実際の対応はチームが主体的に考えて意思決定する
・従来はコマンド&コントロール、リーダが部下の状況を把握確認管理⇒マイクロマネジメントという
・アジャイル、DevOps 自己組織チームという
⇒生産性が高い、チームの満足度が高い、よりよいソリューションを選択されやすい
⇒おおきなプロジェクトは、少人数からなるスモールチームの集まりで構成される
⇒もとめられればアドバイスを行う、もとめられなければ何もいわない
⇒作業量をへらして、インパクトのあるものに集中する
■仕事と人生の質を高める
・生産性を高めるためには、学習だ。自分のやりたいトピックを勉強したり、試したりする
・朝型の生活にシフト、夜の22時に休む ⇒ 頭が冴えて生産性が上がった
・しっかり睡眠をとる 脳を十分に休めることは、生産性を上げる絶対条件だ。
・コンピュータの整理のポイント とは ⇒ 必要なものをいかに簡単に取り出せようにする
・自分がどこに情報を置いたかを記憶する癖をつける
・物理的に整理するのは時間がかかるが、頭の中も整理さて、細かいこと、への目配りが利いている
■AI時代にどう生き残る
・時流に惑わされず「専門性」を追求する
・誰もやったことのないものに取り組んでいる専門家はAIがとって変わることは原理的にありえない
・専門性を高めるという蓄積に価値を置く、スピードは思ったより重視されない
目次
はじめに
第1章 世界一流エンジニアは何が違うのだろう?―生産性の高さの秘密
第2章 アメリカで見つけたマインドセット―日本にいるときには気づかなかったこと
第3章 脳に余裕を生む情報整理・記憶術―ガチで才能のある同僚たちの極意
第4章 コミュニケーションの極意―伝え方・聞き方・ディスカッション
第5章 生産性を高めるチームビルディング―「サーバントリーダーシップ」「自己組織型チーム」へ
第6章 仕事と人生の質を高める生活習慣術―「タイムボックス」制から身体づくりまで
第7章 AI時代をどう生き残るか?―変化に即応する力と脱「批判文化」のすすめ
あとがき
ISBN:9784163917689
出版社:文藝春秋
判型:4-6
ページ数:272ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月30日第1刷
発売日:2023年12月10日第4刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソフト開発をしている著者が、一流のエンジニアから学んだ思考法を丁寧にわかりやすく読者に伝えてくれている。エンジニアでなくても、仕事をするビジネスマンには参考になることが多々書かれているので、一読をお勧めする。
印象に残ったところは、
仕事のできる人は皆さん頭の出来が違うのかと思いがちですが、理解をするにはどんな人でも時間がかかるのだと指摘しているところ。生産性の高い人でも基礎の基礎を時間をかけてしっかり習得をしているエピソードがとても印象に残った。
組織運営に関する記述は、マネジメントをしている自分にとても参考になった。 -
この本を通じて、思考と行動の変化が重要であること、個人がシンプルなタスク管理と集中を保ち、組織が基本的な生産性を高め、社会が持続可能な成長を目指すべきであることを学びました。成功への鍵は基本を理解し、マルチタスクを避け、フィードバックを速やかに取り入れ、失敗を恐れずに挑戦することです。現場での即時解決、効率的なコミュニケーション、そして感謝の文化の育成が、生産性と満足度を高める助けとなります。
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ITソフトエンジニアの著者は、日本での仕事を経て米マイクロソフトに移ったが、両国でのソフト開発や仕事に対するマインドの違いを挙げ、日本に足りないことを書き綴る。
確かに米国のITソフト会社は、日本と比べ、規模もスピードも発想も桁外れと言う感じを受ける。そして儲けがある分、生産性は高いと言うことになる。
著者が説明する日米の違いは、比較的他の書物等でも紹介されているので、私にとっては、ことさら新しい発見ではなかった。
日本では、やる内容を一旦決めたら、残業や休日出勤しまくってとことんやるが、米国では、やる内容を常に見直し、業務を行う人の負荷を増やさないようにするとか、上下関係があまりなく、フラットな組織で、チームとして課題を解決していくとか。
IT開発ではそうなのかも知れないけど、職種や業務形態にも拠るだろうし、大きなIT会社の中では、マインドの変革は難しいだろうな。 -
エンジニアではありませんが、仕事に役立つ情報が満載でした。
小手先のテクニックではなく、米国Microsoftの一流エンジニアのチームで生産性を上げる仕事の進め方が実体験ともに書かれていて、勉強になりました。
第2章、アメリカで見つけたマインドセットの「Fail Fast(早く失敗する)」「納期は絶対の神話を捨てよう」の内容は日本とは対極にありますが、柔軟性を持った企業が日本でも増えると働き方も変わってくるでしょうね。
仕事は楽しんでなんぼ!というカルチャーは、成果を出さないとクビになるという現実も知っておくべきです。ただ、日本よりも転職はしやすいようですね。
明日からのアクションプランとしては、「一番重要なひとつだけピックアップする」「タイムボックス」を
やってみます。 -
専門的な立場でない人でも平易でわかりやすい語り口で記述されていて読みやすかった。
単なる方法論に終始していない点も良い。 -
12/23 完了
海外のトップエンジニアの世界を覗ける本。良い面を多く紹介してくれていて、輝いて見えた。特に、批判しない風潮やbe lazyの考え方は働きやすさに繋がるし、チャレンジングな提案や行動をしやすく、エンゲージメントは高そうだなぁと思った。
ただ、この人たちは突出したITスキル(プログラミング)や英語力があるのは前提だとは思う。なので、鵜呑みにせず、まずは今の自分、会社に合うものからやってみようと思う。
また、OneNoteに手順を残す際には人に説明する前提で書くというのは1年間実践していて、確かに記憶に残るし人に説明するときも見てできるので、間違ってなかったのかなと思えて良かった。(今の会社の環境しか知らないとそれが正しいことなのかよくわからなくなる時がある)
率直に、この著者のような働きかたがしたいと思った。そのためにはスキルが絶対に必要。特に開発の経験はマスト。今はCOBOLしかできないので、登録法が終わったら転職しようと思う。登録法の経験は開発工程を学ぶにも良い経験になるし、法改正の対応はなかなか出来ないことだし責任感もある仕事だから。
あとは英語。これも絶対必要。外資系の会社でも働いてみたいから。
運動も続ける。心身の健康があっての仕事。モチベーションアップにもなるので水泳は続ける。気持ちよく泳ぐために筋トレも、好きではないけどやろう!(ここ伸び代)
食事制限はこれから!一気にはやらないで継続性を大事にしたいので、無理しない範囲で。
やること
・英語
・プログラミング(java,python,ruby,アプリ開発)
・運動(水泳、筋トレ) -
思考を節約するために、今、一番重要なテーマに、最適なタイミングでフォーカスできるように努めること、というのが一番の教訓。
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エンジニアとしての生産性向上のマインドセットが明確に言語化されている。俺はエンジニアではないし、何の専門性もない末端労働者だから関係ねーか、と思いつつ読んだが、まったくそんなことない。他の職種でも十分参考になる内容です。
最近、なにかと「生産性生産性」と念仏のように唱えられているが、じゃあ生産性とは一体何なんだろう。別の言葉に置き換えれば、つまり「少ない時間で価値を最大化する」ことである。方法はこうだ。
①すべてをやろうとしない
②やるべき事を減らす
③その場ですべて解決する
④失敗を認め受け入れる
⑤理解に時間をかける
⑥マルチタスクをやめる
まぁこんなところだろうか。
日本人の仕事観というと「耐えて我慢してやるもの」と修行要素が強いのが当たり前だ。でもアメリカでエンジニアとして長年働いている著者はいう。「仕事は楽しむものである」。積極的に休暇を取り、私生活も充実させている。それがまた仕事を楽しめる素地になり、生産性も上がる。この好循環が人生を豊かにするんだなーと、しみじみ感じました。