- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163918020
感想・レビュー・書評
-
オール讀物2021年9,10月号漱石と月、2022年6月号清張と手おくれ、2023年1月号「白波看板」と語り、3,4月号煙草入れと万葉集、9,10月号芥川と最初の本、の5つの謎話。いつもながらの本のマニアックな謎解きに圧倒されてしまいます。更に今回は演芸ものへの謎解きも加わり探索と知識に感動!。十二煙草入れの謎なんかはひれ伏すほどのエレガントな解決で、脱帽です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
北村薫先生の著書は、物によっては文学に精通していないと全く理解できないものもあり、注意が必要ですが、このシリーズは私の様な文学にそこまで深い知識のないものでも比較的楽しく読めるシリーズです。
巻末、ビックリした!!
自宅近くの美術館所蔵!
ぜひ行ってみたい。 -
中野のお父さんシリーズ、今回はコロナ禍がようやく収まりつつある頃の設定。お父さんの蘊蓄にひたすら感動する。編集者の娘・美希と担当作家や同僚などなど、毎回安心のシリーズだ。
-
書痴というと本に夢中で世の中に疎い人との意味もある。ところがどうして、世事に精通していればこそ愉しみは広がると証明しているのが中野のお父さんだ。
今回は作家先生からのお題もある。おじさまたちの蘊蓄合戦も、好敵手が見つかって楽しんでいるように見えるので嫌味はない。
それにしても、これほど多方面から作品を味わえればさぞ面白いに違いない。読んだ片っ端から忘れてしまう私には、夢のまた夢の話である。 -
北村薫ワールド全開!
半分も理解できなかったが、満喫。
それにしても、早稲田大学の体育会バスケ部を卒業し、老舗の出版社へ編集者として就職し、人間関係に何ら問題もなく仕事をこなし、実家には愛情溢れた両親がいて、手作りの料理と温かいもてなし、そして日本文学に造詣の深い優しい父と語り合う″才媛″、この世にいるのだろうか…羨ましすぎる! -
老舗出版社「文宝出版(ぶんぽうしゅっぱん)」で編集者を務める、田川美希(たがわ みき)と、中野の実家に住む、高校教師のお父さんのシリーズ、第4弾。
前作あたりから、軽やかな謎解きではなく、本の名前や作者の名前、落語の話や落語家の名前が芋蔓式に出てくるうんちく語りが長くなって、頭が追いつかない。
美希もだいぶベテラン編集者の部類に入ってきたようで、後輩の新人・柴田李花(しばた りか)が新しく登場。
今回、うんちくの語り手は増えて、大作家の村山富美男(むらやま ふみお)先生と、『小説文宝』に登場する作家中最年長の原島博(はらしま ひろし)先生も加わり、お父さんと三つ巴のうんちく合戦となった。
美希や李花たち編集者は、先生たちの「講義」に真剣に耳を傾け、落語の会や文学館にお付き合いし、と毎日が勉強の日々。大変だなあ・・・でも、本人たちは意欲に燃えているのであろう。
今回は、世代の違いによる、常識や認識のズレが全体のテーマになっている気がする。
消えていく文化を惜しむ気持ちは自分にもあるが、次々と新しいものが出てくるから、世の中の情報は溢れっぱなしである。
残念ではあるが、断捨離・・・いや、自然淘汰されていくのだろう。
面白いと思ったのが、正岡容(まさおか いるる)という人が書いた『江戸再来記(黄表紙)』という作品。
大正12年の発表だが、世の中全てが江戸趣味になり、現代的な物が「古くさい」と言われてしまう、SFみたいな設定。原島先生の例え話は、今で言えば、スマホを使う人がいなくなって、巻き紙の手紙でやり取りすることが流行するようなもの、という。この作品は、芥川龍之介も面白がったようだ。
読んでみたいけれど、青空文庫に正岡容の作品はたくさん収録されているものの『江戸再来記』は載っていない。
『漱石と月』
I love youを「月が綺麗ですね」と訳したのは漱石なのか?
『清張と手おくれ』
「点と線」、マニアに叩かれる
『「白波看板」と語り』
その時代になかった単語を使うこと
『煙草入れと万葉集』
名前が載っているが実態が分からない故の誤解
『芥川と最初の本』
夏目先生をリスペクトした芥川龍之介が、最初の本であやかったこととは・・・ -
大好きな北村薫さんの「中野のお父さん」第4段。
今回も大変興味深く、愉しく読ませていただきました。
名だたる文豪にまつわる謎を当時の近しい方々の記述や落語などから読み解いていく過程も愉しく、くすりと楽しいやりとりもあったりで、何度も読み返しながらまた古書の深みにハマりたいです。
文中の耳納連山の天然玉露茶もいただいてみたいですね〜 -
夏目漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳してはいない?
松本清張の代表作「点と線」のトリックにまつわる後悔とは?
お父さん(つまり著者の北村薫氏)の博識ぶりに毎度驚かされます。
様々な史料が最後にまとまるのが気持ちいい!