うまいダッツ

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163918136

感想・レビュー・書評

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  • 高校の「喫茶部」に入ったアラタ(都市伝説好きのオカルト野郎)コウ(鉄オタ)タキタ(声優に夢中)セラ(家が空手道場)の4人が、それぞれ好みのおやつを持ち寄りおやつ部としてゆる〜く活動をしている。

    オタクなだけになんとも緩やかな雰囲気で、トゲトゲした攻撃がないのが心地よい。
    この4人が身近に起こる出来事をさらりと個々の持ち味を活かして、上手く解決していく。

    ゆるゆるしているのにそれぞれの個性をわかっていて対処していくのが驚きでもあり、行動の早さは高校生だなと感じさせられる。

    出てくるお菓子も知っているものばかりで、懐かしいとさえ思えて、食べたくなる。


    5つの短編

    ○うまいダッツ〜学校で噂の真相とは。

    ○チロル・ア・リトル〜おばあちゃんが失くしたブローチ。

    ○バカみたいにウケない〜お菓子当てクイズ参加。

    ○それは王朝の〜SNS上の友人と気まずくなった理由。

    ○百年の愛〜真面目な後輩。




  • 今回の主人公は高校の「喫茶部」の中のおやつ好き同級生4人組(おやつ部)。坂木司さんの『和菓子のアン』や『ホテルジューシー』などでは大学生が主人公だったので、高校生は新鮮だった。大学生に比べると行動範囲が狭い彼らの校外での集合場所は地元ショッピングモールやスタバなど。誰もが知る市販のお菓子や駄菓子を食べながら、小さな謎解きをしていく短編集。こんなほのぼのとした部活&仲間がいる高校生活はきっと最高ですね。あとがきによれば、コロナ禍で人が集まって一緒におやつを食べる状況が難しい時に執筆したとのこと。著者の、おやつでも食べながら本書を読んでほっと一息ついてほしいという思いが見事に伝わってきた。

  • 市販のものでも、手作りのものでもお菓子を食べると疲れも吹っ飛ぶし、嫌なことも忘れるし、イライラも消える。そんなお菓子をめぐる高校生4人の物語。

    ユルい部活の喫茶部。その中で、部員それぞれ好きな活動をしていて、この物語の中心となる男女4人組は喫茶部の中の通称おやつ部所属。

    汗水垂らして部活に打ち込んだり、爽やかな恋愛なんて全然出てこないけど、市販のお菓子がたくさん出てくる。スナック菓子にチョコレート、クッキー、駄菓子みんな食べたくなってくる。

    私なら喫茶店で読書をする活動をしたいな。

  • オール讀物2021年2月号うまいダッツ、7月号チロル・ア・リトル、11月号バカみたいにウケない、2022年11月号それは王朝の、2023年7月号百年の愛、の5つの連作短編を2024年3月文藝春秋刊。高校のおやつ部のメンバーたちの真摯で深い活躍。タイトルも全てお菓子やお菓子の別名で出来ていて、こんなにも求道的な活躍をする高校生なんて実在するのかなと心配になります。坂木さんの描く世界の優しさとおやつ愛が炸裂する展開が楽しいです。

  • 知っているおやつがたくさん出てくるワクワクと、ほっこりする同級生エピソード。

    でてくるおやつが食べたくなり買ってしまう。

    美味しくて楽しい一冊。

  • 【収録作品】うまいダッツ/チロル・ア・リトル/バカみたいにウケない/それは王朝の/百年の愛

    とある高校の喫茶部。その中の「おやつ部」のメンバーである、ライトオカルト系のオタク気質のアラタ、テツオタで発達障害の気があるコウ、推しの声優がいて介護系の知識もあるタキタ、実家が空手道場で体が大きいが武術は苦手なセラが、さまざまな謎にゆるく挑む。

    「うまいダッツ」 うまい棒一本で世界の秘密を教えてくれるらしいという予言者を探しに、4人はショッピングモールへ行く。
    「チロル・ア・リトル」 4人は、コウの祖母がなくしたブローチを探しに行く。探しているとヘルパーが掃除のために現れた。
    「バカみたいにウケない」 4人は、喫茶部の先輩で純喫茶が好きなシマダ先輩らに頼まれ、インスタライブのクイズに協力することになる。
    「それは王朝の」 同担で仲が良かったSNSでできた友達サノイと気まずくなってしまったタキタ。その理由がわからず、困っていた。
    「百年の愛」 4人は進級し、後輩が入部してくる。彼らはみな真面目で、4人は接し方に戸惑っていた。

    謎は軽いし、お菓子は簡単に手に入るもので、さくさく読める。でも、ゆるさを謳歌する4人だけに、偏見や決めつけからの自由を守るスタンスは譲らず、その守り方は毅然としつつ優しい感じで好もしい。
    「概念のおっさん」や「検知器」の話にうなずきながら読む。

  • あー、面白かった。
    おやつ部に元気をもらいました。

    いいねぇ、じわじわくる良さ。
    キャベツ太郎、、餅太郎、ビッグカツ、うまい棒、アポロチョコ…。
    懐かしのお菓子が出るわ出るわ。
    昔、駄菓子屋さんでどれにしようかとワクワクした記憶が呼び起こされます。

    絶妙にツボにハマるフレーズにちょいちょい出会えるのも楽しいし、個性派揃いなおやつ部メンバーも魅力的でした。
    私も一緒にお菓子食べて、ただおしゃべりしたい!
    個人的にはセラが推し。
    最終話の「百年の愛」が特に好きでした。

    思わずクスッとなる言葉のセレクトや場面、心が弾む描写は著者ならではだと思う。
    これからもおやつ部の4人を見守っていきたい!
    これはシリーズ化して欲しいなぁ。

  •  うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい

     この1文から始まる、本作品は、高校の喫茶部の中でもゆるくお菓子を食べながら駄弁る通称「おやつ部」というグループに属する高校1年生の4人組(男女比1:1)。

     物語は、休日にうまい棒一本で世界の秘密を教えてくれると噂されるショッピングモールに出現するという謎のおじさんを探してみよう!というところから始まります。

     何もかも緩めですが提示される答えはなかなか手強い。そんな日常系ミステリーです。

     出てくるお菓子は市販のお菓子で、どこでも置いている有名お菓子。

     それをつまみながらワイワイ楽しそうにする登場人物の高校生4人組。

     ただ、駄弁っているだけかと思ったら、ちょっとした謎が提示されて、その解決編はなかなかハードなことになるのがギャップ萌っていうやつですかね?読みやすいこともあいまって、やめられないとめられない、かっぱえびせんみたいなお話だなぁと思いました。(あれ?バカみたいにウケない…)

     本作の注目すべきは、お菓子が美味しそう!というよりもみんなでおしゃべりしながらお菓子を食べたいなと思えるところだとおもいます。

     お菓子などの食べ物が美味しそうだなぁと思う作品は数あれど、みんなで話しながら(例えば恋人とか、友達とか家族とか)気軽に食べたいなと思う作品は初めて読んだなと思います。

     忙しくて時間が取れないとか時間が合わないという理由で遠ざかってしまっている大切な人と自分の好きなお菓子を持ち寄ってそういえば最近どうよ?的な他愛もない話をしながら過ごすことを読みながら想像してしまう。

     私もルマンドやポテトチップス(コンソメ)を大切な人と食べながらただ駄弁る時間を作ろうと思える、そんな作品だと思いました。

     ルマンド食べたい。

  • のんびりとした雰囲気の物語で、肩の力を抜きながら読みました。
    あとがきにあった、コロナ禍でダラダラとお菓子を食べる時間の共有って、確かに減ったなと感じたし、そういう当たり前に感じてたものが、無くなって、また当たり前になって…
    日々の小さな喜びや楽しみを改めて見直してみようと思いました。

  • ミステリーかと思いきや、
    人間関係の話なんだな。
    世の中にはいろんな人がいて、
    どう付き合うべきなのか、
    高校生の行動を介してちょっと考えさせられる。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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