時の国際バトル (文春新書 252)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166602520

作品紹介・あらすじ

現代の先端技術は高精度な時計が不可欠だ。いまや二千万年に一秒の誤差という原子時計までできている。その一方で、世界標準時をめぐる戦いも激化している。グリニッジ標準時で君臨してきた"本家"イギリス。最高水準の原子時計の技術で攻勢をかけるフランス。GPSシステムで宇宙から参戦してきたアメリカ。インターネット・タイムにかけるスイス…。「原始」時計から「原子」時計まで、「時」から見た面白文明論。

感想・レビュー・書評

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  • 新書文庫

  • 「時」にまつわる四方山話をあつめた本。脇道の無駄話や軽薄な引用が多くて、あまり評価できない。
    タイトルの「国際バトル」とは、イギリス対フランスの世界標準時を巡る熾烈な争いのことで、面白いのはこの話題が書かれた第5章のみ。様々の経緯の末、標準子午線はイギリスに、標準時の運用はフランスにという決着をみるが、アメリカはその技術力で実効支配を目論んでいるのが、今世「時」の国際バトルである。
    本書によると、誇り高きフランス人は、本初子午線を称するにグリニッジの地名を口にせず、「パリ天文台の2度西」と表現するそうだ(笑)

  • 毎日、毎日、時間を見ているが、よく考えてみると不思議だ。
    時間は12進法、分・秒は60進法、(普通の生活では、まず使うことはないだろうが)秒以下は10進法が使われているのに、特に難しさや不便を感じていない。

    月は12種類だけなので、日は30、31、28の3種類だが、4年に一度の「うるう年」などというものまである。
    しかも、うるう年になるパターンやならないパターンもあり、パソコンで計算させようとすると、少々、面倒くさい。
    個人では意識することはないだろうが「うるう秒」もあり、時々、挿入のタイミングがニュースで流れたりする。


    この本のタイトルには「バトル」の文字があるが、タイトルと内容が一致するのは最後の5章のみ。
    それまでは「時」をどう定義してきたかや時計の進化論、世界各国の時間間隔の比較などの話が続く。

    第3章では「文明の進展が時間の細分化を要求する」と言っているのが印象に残った。
    第1次産業だけならば、それほど時間の精度は要求されないが、鉄道や飛行機などが発達してくると当然、精密な時間が必要になってくる。
    金融の世界では大量の取引注文を素早く捌くため、コンピュータによるミリ秒・マイクロ秒の世界の勝負となっている。

    某地域の通貨危機では金融市場からの政府への素早い対応要求が民主主義の手続きをスキップさせようとしている所まで行っているらしい。
    (ここまでくると、もはや「暴走」でしかない、と思うが・・・)

    ところで、前に読んだ別の本の影響なのだが、「時間」というものは本当に存在するのだろうか。

    「距離」や「速度」なら目にも見えるが、「時間」は?
    時計の針や建物の影が動くのは「時間」そのものを見ているわけではない。

    社会生活をする上で不便だから、時計の針が進むのを「時間」として使うことにしようと決めているだけでは?
    だとしたら、自分達が発明した「時間」を正確に計ろうと一生懸命、努力している姿は一体・・・?

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著者プロフィール

時の研究家。日本時間学会理事。1947 年生まれ。1971 年慶應義塾大学卒後、(株)服部時計店(現セイコー)に入社し時計の営業・販売企画・宣伝・広報などを担当。著書に『時計の針はなぜ右回りなのか?』(草思社文庫)、『あなたの人生の残り時間は?』(草思社)、『日本人はいつから<せっかち>になったか』(PHP新書)、『「時」の国際バトル』(文春新書)、『歴史の陰に 時計あり』(グリーンアロー出版社)、『時と時計の雑学事典』(ワールドフォトプレス)など。

「2013年 『「世界最速の男」をとらえろ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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