うつは薬では治らない (文春新書 753)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607532

感想・レビュー・書評

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  • タイトルだけ見て、過激な内容を想像しましたが、読んでみると、それほどでもないと言う感じでした。
    まぁ、妥当な内容と言う感じです。
    ただ、人によって、かなり違う感想が出てきそうですから、ある意味、踏み絵のような本、あるいは、リトマス試験紙といった趣を感じました。
    知人に、この本を読ませて、反応を見てみると面白そうです。

    さて、この本では、抗うつ薬の問題に始まって、DSMの問題であるとか、うつ治療から、社会復帰への過程における問題であるとか、うつにまつわる問題が、いろいろと扱われており、それらが概観できますから、入門書としても面白いかもしれません。
    でも、自分自身がうつ病の方が、読む分にはどうかなと言う気もします。

  • うつと仲良くさせてもらってから、かれこれ4年が経ちます。休職⇔復職を繰り返して、会社に迷惑をかけまくりの僕です。早いところ、うつとはおさらばしたいのですが、なかなか、ネ…。腐れ縁みたくなっています。

    で、この本は、うつの症状が強い人、あるいは自責の念に追いやられていたり、良からぬことを考えていたりする人には薦められません。けっこう厳しいことが書かれているので。

    うつの症状が軽くなってきている(というか、うつの波とうまく付き合えている)人や、そういう人が周囲にいる人には、是非、読んでもらいたい本です。

    まず、タイトルにあるとおり、薬でうつは治りません。僕もそう実感しています。

    そもそも「うつ」とは何なのか。「うつが完治する」とはどういう状態になることなのか。それを読者に投げかけていますが、どちらの問いにも明確な答えを出していません。

    というか、答えなんて出せないんですね。答えがはっきりしているのなら、4年間も薬を飲み続けている僕は、しかるべき治療法によって、とっくに「うつが完治している」はずですから。

    大切なことは、①うつだからといって何でも許されるんだと甘えないこと、②社会性を失わないこと、そして、③うつは自分で治すこと、精神科医や薬剤師さんたちはあくまで治療の手助けをすることができるにすぎないということ。これらを忘れてはいけないのです。

    自分の人生ですから。自分でしっかり努力して、うつを治す覚悟を持つことが大切であると気付かせてくれる1冊です。

  • うつ病患者自身が書いた抗うつ薬批判本、な印象。
    少し症状が上向いてきたばかりの患者さんにはおすすめしにくい本。重い時はそもそも文字を追えないし。

    自分ビョーキなんで、っていう甘えた「患者化」は私も嫌いだから、社会の一員である以上うつを言い訳に使うな、っていう部分は分かる(もちろん調子が悪くて布団から出られない時は仕方ない)。
    治すのは自分、ってのは大切。薬を使うのも方法。睡眠、休息が可能ならそちらを優先するのも大事。
    でも服薬を通して良くなろう、としている時には不適切かもしれない。

  • #読書開始
    ・2016/9/7
    #読了日
    ・2016/9/8
    #経緯・目的
    ・うつ病を発症し、服薬のみでは改善の見込みが薄いと考えているため、興味がわき購入。
    #達成、感想
    ・元々薬だけでは治らないと考えていたので同意、勇気づけられた。
    ・だが筆者もいっているように少し刺激的か。
    ・香山リカ先生のファンのようだが、批判が多い。自分は嫌いなので、愉快だった。
    ・うつは自分で治すもの。完治は新しい自分になる、うつを内包して共存する、良い言葉。
    #オススメ
    ・うつ状態が軽度になっていればオススメ。
    ・文体は優しくないので、小心の方は注意。

  • うつ病を患っていた著者が、文字通りうつ病は薬だけでは治らないことを説いた一冊。

    自身の経験から書いてるだけあって、さすがに説得力があった。
    特に向精神薬などは、製薬業界の影響などがあることがよくわかった。

  • チェック項目13箇所。さて、うつとはいったい、どんなものなのでしょう、その答えを私も知りたい、私は書き手であると同時に、患者として、その答えを考える旅に出るつもりです。よく誤解されているのですが、うつの人はずっと暗い表情をしているとは限りません、逆に、他者がいると、雰囲気を暗くしてはいけないと気を遣い、明るく振る舞う、哀しい「演技性」を持っています。抗うつ薬を飲むより、十分な休養が取れたほうが、症状の軽快には効果的かもしれません、そのためには、周囲にカミングアウトして理解してもらうことができる環境作りや、生活費の心配をしなくて済むような社会福祉政策の実現など、高いハードルがいくつもあります。最近の研究では、特殊な機械を使い、脳の萎縮が可視化されたりして、脳内に異常が起きていることは突き止められてきましたが、それがどうして起きるのか、そうした脳の萎縮を改善するためにはどうしたらいいか、は結論を棚上げにしたままです。結局、うつに関して医学はなんら科学的論証がないまま、推論だけで語られている、これが真実です。「患者化」というのは、私や親しい精神科医が考え出した造語で、「生活者としての主体性を欠き、患者であることに依存して、社会性を失った者」を意味しています、実は、「患者化」は医師によって作られている面があります。現代社会は誰がうつになってもおかしくないくらい、緊張度が高く、達成感の低い社会です、その渦中にあって、どうして「自分だけうつにならない」と言い切れるのでしょうか、うつは決して他人事ではないのです、誰しもがなりうる因子を持っています。うつの基本心理は、億劫感とイライラ感と不安感、そして、様々な自分を責める気持ちに悩まされるのです。うつの兆しはまず睡眠から現れます、睡眠の安定は健康を保つ上で、もっとも大切な要素の一つ、それが不調になるというのは、やはり何かしら身体的な異変が起きているシグナルなのです。一番のNG医師は、パソコンに症状を打ち込むだけで、薬だけはたくさん出すパターン、うつの治療は生活習慣から生育歴、考え方、価値観など、多種多様な心の動きを察知しなければできないはずですから、まず人として扱うことが大前提、基本は目を見て話せること。うつは心が疲れた状態です、そんな時、やはり優しい言葉をかけてもらうと嬉しく感じます、では、どんな言葉をかけてあげたらいいのでしょうか、私が一番、ホッとするのが、この言葉です「頑張ったね。では少し休みましょう」。うつになると、曖昧で優しい言葉をかけてもらいたいと思いがちです、しかし、それは一時の気休めにしかなりません、本当に必要なのは、時に厳しい言葉だったりします、やっぱり自分の足で立つ、そのためには、気休めはいらない。すべては「ちょっと努力する」ことから始まります、何もしないで「患者化」しているだけでは、事態は好転しません。

  • 最近、うつ病になる人が急増しているのには、
    抗うつ薬が原因ではないのかと密かに思っている。

    日本で本格的に抗うつ剤が販売され始めてのは1998年。
    この年を境にうつ病患者や自殺者が急増しているのは偶然ではないと思う。

    私自身、軽度ではあるがうつ病の症状がみられる為、
    3年前から薬の服用をしているが、
    本当に体調が悪くなっていったのは薬を飲みだしてからだと思う。

    最初に調子が悪くなった時に、
    心療内科などには行かずに、休暇をとって旅行でも行っていれば、
    こんな事にはならなかったのかもしれない。

    今は、体調もだいぶ回復していて、
    薬もピークにくらべて4分の1程に減らす事が出来た。

    日常生活に支障があるわけではないが、
    やはり、常備薬があるというのは気持ちの良いものではない。

    今年中には全部飲まなくて良い方向に持っていきたい。

    こういった経験をしている為に、この手の本はついつい読んでしまうのだが、
    他の反抗うつ剤的な本よりは説得力がある。

    それは、著者自身がうつ病を抱えているからである。

    彼は精神医学に関する仕事ではなく、ジャーナリストしているのだが、
    だからこそ真実に近いものを語ってくれているのだ。

    もし、自分はうつ病ではないかと疑い、心療内科などに行こうとしている方、
    または、そういう人が周りにいたら、この本を進めたいと思う。

    抗うつ剤に頼らずにうつ病を治していく、
    生活のヒントなども色々書かれているので、
    まずは、その方法や考え方を実践してほしい。

    それでも駄目なら医療機関に頼るといい。

    私も抗うつ剤全部を否定しているわけではないし、
    色々調べたり、実際に服用してきた身なので、
    良い部分も悪い部分も多少なりとも分かっているつもりだ。

    人間の身体において、薬というものは基本的には異物である。
    そして、人間の身体というのは素晴らしい、
    自然治癒力などが備えられている事を理解して、
    身体で感じて、それを信じて欲しいと思う。

    しかしながら、お上の方々はお金の為にとんでもない仕組みを考える。
    何を信じていいのやら・・・。

    本の中の一文
    「『楽観は意思であり、悲観は感情である。』
     うつになった。
     誰しも悲観することでしょう。死にたいという思いが頭から離れない。
      それでも、生き続けることがうつを乗り越える一番の秘訣なのです。」

  • うつについて、本人や周りの人の心。
    当人、周りの人の、いま、ここからの構えについて。
    従来のうつと最近話題の新型うつについての話。
    抗うつ薬についての話、そして副作用についての話。

    うつという内容について紹介する本は多くても、ここまで突っ込んだ話を書いた本を読むのは久しぶり。読んで損のない本。

    事実というのは現実の一面を示しているにすぎない。
    反面を示してくれないとそれを主体的に選択することはできない。
    テーゼとアンチテーゼの両方を示しています。

  • うつは自分で主体性をもって直すべき。 医者の言うことにただただ従うだけの「患者化」した人は、いつまでたっても治らないかむしろ悪化するだけ。

    そもそも「うつが治る」というのは「うつになる以前に戻る」のではなく、ある意味「うつと共存する」ことができるようになると言ってもいいもの。 気分の浮き沈みなんて誰にでもある(ないならむしろ問題)なんだから。

    うつに対する治療薬についても一章を割いて、疑問を投じてます。

    まぁ、全体を通してうつ患者には厳しい調子ではありますが、うつを12年煩っている(共生している)著者ならではの話。

  • 職場の先輩に薦められて。
    病気は誰かに依存するものではなく自分が主体であるということですね。

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