丸山眞男 人生の対話 (文春新書 763)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607631

作品紹介・あらすじ

死後十余年を経ても、いまだに熱烈な支持層を誇る政治思想史の巨人・丸山眞男。半世紀にわたって師事した著者ならではの視点で、一代の碩学の真の姿や意外な側面を浮き彫りに。また折に触れ示された言葉の数々を初めて明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    死後十余年を経ても、いまだに熱烈な支持層を誇る政治思想史の巨人・丸山眞男。
    半世紀にわたって師事した著者ならではの視点で、一代の碩学の真の姿や意外な側面を浮き彫りに。
    また折に触れ示された言葉の数々を初めて明らかにする。

    [ 目次 ]
    プロローグ 丸山眞男伝説と二つの対話
    第1章 志と地位と―「であること」と「すること」余談
    第2章 独学と原点思考の効用―フルトヴェングラー『音と言葉』に寄せて
    間奏曲1 丸山眞男異聞
    第3章 人間と時代を観る眼―“時代の才能”と“精神的エネルギー”
    第4章 造語の名人・丸山眞男―その意味するもの
    第5章 「卒業現象」と日本のエリート層―「タコツボ」と「ササラ」のこと
    間奏曲2 丸山塾と丸山道場
    第6章 一九六〇年の丸山眞男と下村治―日米安保と高度成長
    第7章 一九六〇年以後の二人の“教祖”―ゼロ成長、労働組合、アメリカ
    エピローグ 世を去る作法

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    [ 参考となる書評 ]

  • 【読書】死後十数年後の今日においても圧倒的な存在感を放つ政治思想家である丸山真男。その丸山に半世紀に渡り師事した著者が記す丸山の極めて人間的な一面。
    丸山真男は高校時代に「日本の思想」を読んで非常に衝撃を受けた人物。十数年を経た今も読むと新たな発見がある。また読み直そうかと思う。
    「勉強とは本を読むことではない。実社会の経験と何より他人と出会い、相手から何かを吸収すること。組織の中に埋没することなく、広くヨコに付き合うことが大切」(213ページ。丸山のコメント。一部抜粋)

  • 丸山眞男の半生について、著者の視点を通して語る一種の回顧録。各時代における丸山眞男のダイナミックな心の動きや、表には出さなかった彼の意外な側面などが、具体的なエピソードとともに語られています。丸山眞男は永遠に不滅ですね。

  • 丸山眞男の解説書として非常に読みやすく、導入書としての役割を果たしているような作品。
    やっぱり丸山眞男は面白い。
    久しぶりに彼の本を読み返そうと思わされた。

    著者の丸山の思想に対する高い理解力を存分に感じ、
    丸山の思想に対するこちらの理解を助けられる作品。
    一方で、彼自身の自由な発想は覗かれず、
    丸山の著作部分、対話部分を除くと少々退屈。

    面白かったこと(備忘録)
    ■丸山の洒脱な人柄
    ・「後から批判をするのはじゃんけんの後だしのようで嫌い」
    ■タコツボ(彼発信の言葉だったとは知らなかった)が日本の節々に与える影響
    ・日本がインテグレートする能力で他に遅れをとる理由のひとつなのだろうと思う
    ■日本と大陸の距離感
    ・「日本と大陸の距離は文化は渡ってこられても武力は渡ってこられない距離」

  • この本に関わる詳細をさっき書いて、公開する前に「丸山真男」というカテゴリを追加しようとしたら、詳細文章がどこかに消えてしまった。再度同じことを書く元気がないので、端折ります。

    中野雄氏の丸山本は同じ文春新書で「丸山真男 音楽の対話」というのを読んでいて、その暖かく精密に師を描き出す筆致に感動しました。今回読んだこの本はまさに「人生の対話」。

    中野雄氏ご自身が東大法学部丸山真男ゼミで多大な影響を受け、その後40年間も丸山真男と交流されてきた方だからこそ、もの凄い知性をもった方だし、そして何よりwarm heartをもった人なので、この方の紡ぎ出す文章はどこまでも明哲で且つ暖かい。

    この本は僕にとっていとおしみ、慈しみ続ける本になった。座右に置いておくだけで幸せを感じる本。

    かつてはこんな美しくも潔い日本人がいたものだ。でも現代も、そういう師匠の衣鉢を継ぐ中野雄氏のような人が語ってくださるので、僕等はその言葉をシャワーの如く心に浴びることができる。日本人に生まれてよかったと思う瞬間だ。

  • 知の巨人、日本のインテリの代表ともいっていい丸山真男を扱った本を初めてよみました。直属の弟子とも言っていい著者の目からみた”人間丸山”が垣間みることができる本でした。

    問題作成能力(自分で課題をみつける能力)=好奇心 学校教育を離れても生きていくうえで必須な力。与えられた課題を処理する能力とは対極にある。

    丸山教育哲学→思考方法の肉体化
    ①具体的な事柄を抽象的思考に置き換える訓練を施し、それを習慣として脳内の志向回路に定着させる。
    ②”独学で学び続ける癖”を頭の中に叩き込む事。

    横の付き合いを大切に!・・そうすることによって、多角的・多面的に観察する癖をつける

    表現(アウトプット)という義務を前提にしているか否かで身のつき方は天地の差がでる。

    創造力は使える材料に制限を課されるところに生まれる

    人生の60%を決めるのは遺伝子かもしれないけど、残りの40%は人との出逢いで決まる。

  • 丸山眞男を「音楽」がときほぐす《赤松正雄の読書録ブログ》

     安仁さんこと、故安東仁兵衛さんが随所に登場するからということで、中野雄『丸山眞男 人生の対話』を市川雄一党常任顧問から薦められた。安仁さんはかつて公明党機関紙局編『日本共産党批判』を絶賛してやまず、市川さんとは親交があったと聞く。「時代と周りに人を得ていたら『昭和の坂本竜馬』の役割を果たしたかもしれない一代の快人物」だとの中野評は衆目の一致するところ。

     あまたいる丸山眞男の門下生のなかで、安仁さんと中野さんは共に異色。「東大学生運動の輝ける元闘士」と日本開発銀行の幹部を経ての音楽プロデューサー。中野さんは前作『丸山眞男 音楽の対話』を通じて、丸山と音楽の関係を世に知らしめた。恥ずかしながら、殆どそれを知らなかった私としては、この二作は、難解な丸山眞男の思想と人物を身近に感じるこよなき手引き書となった。

     丸山眞男が常日頃どんなことを話していたかが興味深く語られる。「これからは個人が自分の存在理由を自分の力で発見して、自分の力で身に着けなければ生きていけない時代になると思う。組織も大切だけれど組織を離れても他人から頼られ必要とされる“個人”を目指すことである」「教師の最も重要な仕事のひとつは『学校を出てからも、独学でいろんなことを学ぶ習慣を、教え子に身に付けさせることだ』」など彼の考え方が次々と披露される。

     また、半世紀にわたって師事した人らしく、知的生産の技術の盗み方も克明に書かれていて参考になる。情報過多のため、自分を失ってどうしていいか分からなくなったある若者のケースには、身につまされる思いなきにしもあらずだった。

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