日米同盟vs.中国・北朝鮮 (文春新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607884

作品紹介・あらすじ

尖閣事件をはじめ、膨張し続ける中国、金正恩新体制を打ち出したものの依然として不穏な北朝鮮、核武装した二つの隣国にどう対峙するか。米共和党・民主党を代表する知日派二大巨頭が岐路に立つ日米同盟の実力と限界を論じ合う。

感想・レビュー・書評

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  • 春原氏と親日派のアーミテージ氏とナイ氏との対談をまとめたもので、 日米同盟を中心にそれに中国や北朝鮮との関係まで言及されている
    具体的にはいろいろ問題はあるのだろうが、在日米軍の必要性や日米同盟の重要性を考えさせられる内容であった
    政権交代(民主党→自民党)により今後どのようになっていくのか一国民としてきちんと見て、考えて行かなければならないだろうと思った

    【なるほどな点】
    ・在日米軍は「人質」である。
    ・日本の3つの選択肢:日米同盟の堅持強化、自主独立、中国の属国化
    ・日米関係は「対等」である。
    ・日本が自ら尖閣を守らなければ(施政下になくなれば)、米国も尖閣を守ることはできなくなる。
    ・在韓米軍は対北朝鮮のため、在日米軍はアジア全域を守るため、役割が元々違う。
    ・日本の再軍備を恐れているのは米国ではなく中国である(日米同盟は瓶の蓋ではない)
    ・核有事の際に米国が日本を守ることを担保してくれるのは核兵器そのものではなく、(人質として)日本に駐留する米軍の存在である。
    ・拡大抑止力とは「信用と能力」から成り立っている。
    ・日本が核武装すれば、韓国も核武装するだろう。
    ・核兵器は通常兵器よりコストがかかる。
    ・集団的自衛権については、憲法改正をしなくても憲法解釈の変更で十分である。
    ・小沢一郎は日本の将来を(まったく信用ができない)「中国の善意」に預けようとしている。
    ・中国と協力する方法を学び、中国の意見を聞き取るフォーマットを作ることが有益。(G20よりは小さなものとして)
    ・中国は核の先制不使用を言うが、単に先制攻撃をしかけるだけの核戦力を持っていないから。(先制攻撃をしても相手を壊滅させることができない)
    ・中国国民は、8%前後の経済成長を政府が維持しつづけるかぎり、政府の非合法的な統治を基本的には黙認する。
    ・中国は、日本がたどった道を歩んでいるような気がしてならない。
    ・小沢一郎が提唱する国連中心主義は幻想である。国連は、日本の必要とする安全保障を提供することはなし、中国や北朝鮮が日本を脅しても直ちに助けてくれはしない。
    ・ロシアは衰退国家である。
    ・日米双方において、政治家より一般の人たちのほうがよほど賢い。
    ・経済の転換:重厚長大から情報産業へ(アメリカ80年台)
    ・防衛費については額ではなく、きちんとした防衛能力を購入することが大事。
    ・日本は海洋国家であり、海軍力を増強するのが重要。
    ・民主主義に基づく政治においては、官僚機構の英知と新しい政治の知恵との正しいバランスが鍵になる。

  • 知日派の代表であるアミテージ氏とジョセフ・ナイ氏とのインタビューをまとめたもの。アミテージ氏がレーガン政権にいた頃の話やナイ氏が活躍していた1990年代の話が興味深かった。日米関係を強固に支えてきた両氏の功績に改めて感謝したい。ただし本書に関しては、インタビューアーが一部知識不足なためか、せっかく両巨匠を迎えていながら十分に議論を掘り下げられていない箇所があり残念であった。特に、日米中関係の考え方について、在日米軍の位置づけについて、日朝間の賠償について等のインタビューアー発言(質問)はお粗末だった。
    印象的な記述を記す。
    「日本の多くの政治家は安全保障のことを全く理解していない」
    「多くの人が最近、中国の「ソフトパワー」が増していることを指摘しています。中国の「微笑み攻撃(The Charm Offensive)」によって、ソフトパワーが増進していると見ています」
    「日本はただ黙って座っていれば、米国からすべてのシグナルをもらえ、方向を指示され、命令すら与えられるわけなどないのです」
    「沖縄に駐留する米海兵隊が日本にとっては実質的な「人質」となっていて、それをもって「核の傘」の信頼性を担保している」

  • 日米同盟vs.中国・北朝鮮

  • 編著者(春原氏)の曰く「アーミテージ・ナイ報告書」の第三弾、あるいは番外編とのことだが、番外編というか、日本向け解説編といった所か。アーミテージとナイの両巨頭の話は極めて極めて興味深い。

  • 知日派の人たちが日本向けにした発言であること、彼らはあくまで米国の国益を志向していることに注意しながら読む必要はあると思うが、日米関係とそれを取り巻く国際環境などについての理解には役立つ本だった。
    本筋ではないけど、原子爆弾を使用した当時、核兵器に対するタブー感が希薄だったという指摘は、確かにそうだったのかもと思った。そういえば、実際に核兵器を用いた演習に自国兵士を動員してたくらいだからなー。
    タイトルにvsとか付けちゃったり、帯に「俺たちをなめるんじゃないぞ!」とか書いちゃったりするのは、挑発的な印象で好きじゃないし読者を限定しかねないと思うけど、日米同盟の在り方について考えるうえでは今読んでも結構参考になるんじゃないかな。

  • かなり内容がつまった一冊。

    日米同盟の中心的人物であるアーミテージとナイ。
    その2人に日米同盟や東アジアの情勢から
    今後の予測まで網羅されている。

    内容は安全保障や外交に疎い
    僕には難しい部分もあった。

    日本で伝えられてる日米同盟や
    アメリカ政府の見解といったものがかなり表面的であるなと感じた。
    あと、アーミテージもナイも日本人よりも深く日本について知っており、もっと日本について勉強しようと思った。

  • 以下、印象に残つた点

    1) 日本の安全保障の道は3つあり①米国との同盟、②独自に核武装
    ③中国との同盟 
      日本という国は結局①をえらんでいる。

    2)安全保障にはハードパワー(軍事力により相手に自分のして欲しいことを押し付ける) + ソフトパワー(自分の望む方向に説得する)とスマート・パワー(二つの概念を組み合わせたもの)という概念がある。

    3)沖縄海兵隊が核兵器による抑止力の人質となつている。他国から日本が攻撃された場合、米国が逃げずに他国と戦うための保証が沖縄の米軍である。よって地理的に台湾・東南アジアに展開するためにもアメリカ基地は沖縄をでることはできない。(鳩山はこの点を首相になった後に気づいた。)

  • 4〜5

  • そんな単純な(+_+)
    コメの人達って、けっこう単細ね。

  • 2010年末に刊行された本。読むタイミングは逸してしまったけれど、安全保障の現実をまざまざと突きつけられている今の日本の状況を再考するにはうってつけの、なかなかの良書でした。

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