戦争を始めるのは誰か 歴史修正主義の真実 (文春新書)

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著者 : 渡辺惣樹
  • 文藝春秋 (2017年1月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611133

戦争を始めるのは誰か 歴史修正主義の真実 (文春新書)の感想・レビュー・書評

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  • 馴染みの無い事実に驚かされる一方で、論理性が見えない記述もちらほらあり、いろんな意味で興味深い書。

    ヒトラーをめぐる評価の基本スタンスには共感できる。すなわち「ヒトラーは悪魔だった。しかし1938年までの段階では、彼はドイツを立て直した強力なリーダーとして世界的に評価されていた。われわれはその当時の視点に立脚して彼とドイツを見なければ、正しい歴史評価は行えない。」というもの。当然な話だが難しい。

    ヒトラーが英国と戦争中にソビエトとの戦争(つまり二正面戦争)に突入したのは英国に戦う理由を喪失させるため、との一部歴史家の説明にまったく腹落ちできないでいたが、この書を見るとなんとなく理解できた。

    しかし、当初ヒトラーにポーランド侵略の意図は無かったという主張はどうだろう?確かにヒトラーは、ポーランドに対し当初一貫して対話姿勢をとったという事実は重要だろう。しかし、「我が闘争」でうたっている「共産ソ連とその衛星国の支配」を実行するためにはポーランドを支配下に置かねばならず、矛盾しているように聞こえる。
    またチャーチルがいなければ欧州戦争は独ソの局地戦に終始したはず、という主張と、ダンツィヒ回廊をめぐるポーランドの頑固と英国の(無謀な)対ポーランド安全保障が日本における300万人の犠牲をもたらした、という主張は論理がわからず首肯もできない。

  • 第二次大戦は極悪国である日本やドイツ、イタリアなど軍国主義、全体主義の国が引き起こし、自由と民主主義の国であるアメリカやイギリスなど正義の連合国が、悪である枢軸国を倒した戦いである・・・
    これに異議を唱えたり、疑問を持ったりする人々は歴史修正主義者とされる・・・
    歴史修正主義で歴史を語る学者は、歴史学界で主流から排斥されるそうな・・・
    歴史修正主義・・・
    南京大虐殺はなかったとかホロコーストはなかったとか、そういうのも含まれてしまうのでややこしいけれども、本書によると・・・
    英米両国の外交に過ちはなかったのか?あったとすれば何が問題だったのか?と探究しようとする歴史観に過ぎない、ということだそうな・・・
    そして、別に戦前の日本やドイツは素晴らしいとか、そういった主張をするものではない、と・・・
    歴史は勝者によって作られる・・・
    と言うけれど、勝者のプロパガンダに依らず、実態はどうであったのか、を探究するのが本来の歴史修正主義であるっちゅーことですね・・・
    で、その歴史修正主義からすると、世界大戦は必要のない戦争だったという・・・
    中にはチャーチルやローズベルト(FDR)がいない方が世界は平和だったろう、とする方もいるそう・・・
    防共という点ではドイツと日本が壊滅した結果、第二次戦後の世界に共産主義が拡散したことを考えると、隠れた勝者はソ連や中共といった共産主義陣営と考えられる・・・
    チャーチルとFDRの外交は間違っていたのではないか?と疑問を持たざるをえないっちゅーわけです・・・
    チャーチルもFDRもソ連に対して親和的で共産主義に対する警戒も薄かった・・・
    第二次大戦勃発前ってのはヒトラーの犠牲者はまだ数百人程度だった一方で、既にスターリンによる100万単位の犠牲者数が伝わっていたにも関わらず、ですよ・・・
    うーむ・・・
    結果的に第二次大戦後すぐに東西冷戦の緊張をもたらしたし、世界史上でとんでもない犠牲者を出すのは2つの共産主義国でしたし、ってことを考えると・・・
    間違っていたと言えなくもないですね・・・
    結果論ちゃあ結果論ですが・・・

    で、ドイツと英仏がもし、ポーランドを巡る問題で対立せずにそのままドイツの東進を許容していれば・・・
    欧州はドイツ対ソ連の壮絶な死闘となっていただろう、と著者は言います・・・
    で、そうならずに、欧州で世界大戦が勃発してしまったのは・・・
    戦渦が拡大してしまったのは・・・
    1つには、まず根本的にベルサイユ体制があまりにも不正義で不条理だったのであり・・・
    1つには、チェンバレン英首相がポーランドの独立保障という愚策を採ったからであり・・・
    1つには、ポーランドの外交が当時の情勢からするとあまりに頑なだったからである・・・
    と・・・

    で、恥ずかしながら知らなかったんですが、ドイツは最初から英米と対決姿勢だったわけではなかったんですね・・・
    第一次大戦で敗戦したドイツは戦後の非道なベルサイユ条約で英仏を中心に徹底的に追い詰められた・・・
    海外領土や利権を全て失い、ヨーロッパ大陸の領土も容赦なく切り刻まれ、無茶な賠償金額支払わされ・・・
    英仏の強欲っぷりやそれを容認したアメリカの裏切りでドイツは身ぐるみ剥がされボロボロになった・・・
    けれども・・・
    アメリカは自らの利益のためにドイツの再建を助けたし(その結果ウォール街も産業界もボロ儲け)、イギリスも自らの利益のために次第にドイツに宥和政策をとっていった、と・・・
    ドイツが弱体化したままでは、共産主義の餌食になるし、イギリス経済にとってもマイナスであると考えたと・・・
    英米ともにドイツを利用していたわけですね・・・
    また一方でヒトラーもイギリスを恨まなかったみたいです・・・
    というかむしろ、イギリスの後ろ盾を得て、ベルサイユ条約でバラバラになったドイツを再統一し、東方に領土を拡げて、ドイツ民族の生存圏を拡大しようとしたんだそうな・・・
    イギリスの保守派にさすがにベルサイユ体制が非道過ぎると見る向きがあったし、防共という観点からも、ドイツのある程度の東方への進出(ベルサイユ体制の解消)は許容していた・・・
    オーストリア、チェコスロバキア(ズデーテンラント)、ポーランド(ダンツィヒ)の線引きの変更は、平和的手段で行うならOKということだったよう・・・
    で、オーストリア、ズデーテンラントと容認してきたところで・・・
    ポーランドで揉めてしまった・・・
    これまた知らなかったけど、当初はヒトラーはチェンバレンとの約束があったのでポーランドに好条件(イギリスの歴史家も驚くほどの)を提示して、外交による決着を強く望んでいた・・・
    でもポーランドが強硬だった・・・
    でも外交で結構粘り強く決着させようとしていたところチェンバレンが突然、ポーランドに対して独立保障を宣言してしまった・・・
    ヒトラーはこれにかなり動揺してショックを受けたそうな・・・
    チェンバレンとしてはチェコスロバキアの解体を受けてヒトラーに裏切られた!!!となり・・・
    ヒトラーからすれば、チェンバレンに裏切られた!!!このイギリスめ!!!ということになってしまった・・・
    そしてこれが大きな転換点になった、と・・・
    一般的に言われているミュンヘン協定(対独宥和外交)ではなく、こっちが大問題だった、と・・・
    ちなみにポーランドの独立保障宣言はイギリス国内の政治家やアメリカのフーバー元大統領なんかも驚き、ありえないわ!チェンバレン何やってんの?!と批判している・・・

    チャーチルに関しては、第一次大戦の頃から好戦的だったし・・・
    第一次大戦後、政治家としては不遇で・・・
    しかも大恐慌で大損して、借金で追い詰められていたところ、ユダヤ人のお金持ちに肩代わりしてもらい・・・
    その代わりに&自身が政治家として再度日の目を見るべくヒトラーそしてチェンバレン批判を強めていった・・・

    FDRに関しては、親ソ連であり、親中国であったし・・・
    火種が燻る欧州やアジアで仲介できる巨大な国力を持ちながら仲介せず、というよりむしろ火種を煽ったフシがあった・・・
    若者を海外の戦場に送らないとして大統領に異例の3選を果たしたのに、特に欧州戦線へ参戦したがった・・・
    ニューディール政策の失敗(統計で見るとよく分かる)を隠すためという説が有力とのこと・・・

    第一次大戦からドイツのポーランド侵攻までの経緯を追ってみたのが本書ですが・・・
    第二次大戦は一次大戦後の国際秩序を乱した、全体主義で軍国主義の悪の枢軸国による他国への侵略が原因である・・・
    とは・・・
    一概には言えないもんですね・・・
    原因にも原因がありますし、戦争って相手があってのものだから、一方的なものではないことの方がほとんどでしょう・・・
    本書で言う歴史修正主義ってのは語られてない歴史というものに目を向けるオハラみたいなもんですね・・・
    ワンピースの世界なんかもそうですが、勝者は当然自分たちの正当性を主張するもんなんだから、語られている歴史ってのは注意しないといけませんね・・・
    参考文献も興味深いものが多く、フーバー大統領の本とかちょっと読んでみたい・・・
    とても参考になり面白かった!オススメ!

  • 【世界的スタンダードとしての「歴史修正主義」】二つの世界大戦は必要も理由もない戦争だった。戦後の「公式」の歴史観は、その「必要」や「理由」をいかにでっち上げたか。

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戦争を始めるのは誰か 歴史修正主義の真実 (文春新書)の作品紹介

二つの世界大戦は必要のない戦争だった。とくに第二次大戦は、チャーチルとルーズベルトがいなければ起らなかった――。 本来の「歴史修正主義」とは、戦前の日独を全面肯定する歴史観のことではありません。米英の外交に過ちはなかったのか、あったとすれば何が問題だったのか、それを真摯に探る歴史観のことです。 「公式の歴史」では、ベルサイユ体制と国際連盟体制を破壊した枢軸国(日独伊)の他国への侵略が第二次大戦の原因と説明されますが、実は英米参戦の「必要」や「理由」は後からでっち上げられました。「ヒトラーはどん底のドイツ経済を立て直した」「オーストリア国民はドイツへの併合を熱烈に歓迎した」「借金に追われていたチャーチルにとって、ナチス台頭は絶好のチャンスとなった」などと、本当のことを言ってしまうと、連合国が作り上げた戦後体制の正当性が崩れてしまうのです。 戦争を始めるのは誰か?――本書は、二つの世界大戦の真実に迫ります。キーワード:第一次世界大戦、第二次世界大戦、歴史修正主義、歴史解釈、戦勝国、連合国、ヒトラー、スターリン、チェンバレン、フーバー、東京裁判、ナチス、モンロー主義、孤立主義、真珠湾攻撃、ユダヤ人、ホロコースト、スペイン内戦、満州事変、東西冷戦

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