日米同盟のリアリズム (文春新書 1135)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611355

作品紹介・あらすじ

中国・北朝鮮は怯えている。日本人だけが知らない 世界最強の「戦争力」の真実! 北朝鮮は核開発と弾道ミサイルの開発を続け、日本を標的にすると公言してはばからない。中国は海洋進出への野望をむき出しにし、東シナ海と尖閣諸島周辺での示威活動がニュースにならない日はないほどだ。そんな中、アメリカのトランプ大統領は在日米軍の撤退をチラつかせている。はたして私たち日本人は安全でいられるのか?結論からいえば、日米同盟は中国・北朝鮮に対して、きわめて有効に抑止力として機能している。たとえば中国・北朝鮮の潜水艦は、すべて日米に行動を捕捉され、ニックネームまでつけられている。隠密行動が最大の強みである潜水艦がこの有り様では、日米の手のひらの上で遊ばされているようなものだ。中国・北朝鮮は日米同盟の強力な軍事力に怯えているからこそ、表向きの粗暴さとは裏腹に、実際の行動はおとなしい。また、日米同盟はアメリカにとって死活的利益である。日本列島は地球の半分(西半球)でのアメリカの軍事力を支える「戦略的根拠地」として機能している。在日米軍基地は、出撃機能、インテリジェンス機能、ロジスティクス機能のどれをとっても米本土なみの戦略拠点であり、日本の基地負担は金額・割合とも世界ダントツである。もし日米同盟が解消されれば、アメリカは太平洋から中東に至る地域での覇権を喪失する。日本を失ったアメリカの言うことなど、ロシアや中国どころか北朝鮮も聞かなくなり、アメリカは世界のリーダーの座から即刻転落するだろう。そんなアメリカが、日米同盟をみずから手放すわけがない。本書は、日米同盟という世界最強の軍事力が、いかに中国・北朝鮮を抑え込んでいるかを具体的に解き明かす。また、中国が日米同盟に仕掛けている現代版「孫子の兵法」ともいえる「三戦」、「A2/AD」の思考も詳しく紹介。著者ならではの最新データも盛りだくさん。まさに本書1冊で丸わかり。防衛大臣より賢くなれる!

感想・レビュー・書評

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  • 日本の安全保障に大きな影響を与える、アメリカ・中国・北朝鮮の置かれた状況と思惑を、最近の各国の動きや歴史を振り返りながら読み解いている。そしてそれを踏まえた冷静な対応を日本の政府や国民に求めている。

  • 東2法経図・6F開架:319.1A/O24n//K

  • 日米同盟がどれほど米国にとって死活的に重要か?
    日本にとって、だけでなく米国にとっても死活的に重要であると?
    何でか?

    日米同盟を解消した場合、米国が太平洋の西側から中東まで、今の影響力を保つことは不可能になってしまう・・・
    つまりは世界のリーダーの座から陥落する・・・
    世界のリーダーとしての振る舞いができなくなる・・・
    在日米軍基地の出撃機能、ロジスティクス機能、インテリジェンス機能がなければ・・・
    地球の半分の範囲に及ぶ軍事力を支える能力の80%を喪失してしまう、と著者は言う・・・
    在日米軍基地は、それほどの価値を持っているんですね・・・
    上記の行動範囲で米軍を支えることができるのは日本のみである、と・・・
    在日米軍基地はただの支店ではなく、本社機能を備えている、と・・・
    日本列島は米軍の戦略的な根拠地ですよ、と・・・
    そして米国の戦略的根拠地でもある日本列島を守るのは、自国の防衛という点からも当然自衛隊・・・
    自国を守るのと米国の戦略的根拠地を守るのが重なるわけで・・・
    そうすると、あれだけ揉めたけど、そもそも実態として既に集団的自衛権を行使してますね、と・・・
    で、これほど重要な日米同盟を米国としては当然手放せない、というのもあるし・・・
    最近話題の敵基地攻撃能力を日本が持つことは、日本に戦争の引き金を持たせるということにつながり、米国が望まない戦争に巻き込まれるリスクを考えれば、米国は簡単には受け入れない・・・
    日本の核武装論にしても、米国からの警戒を招き、米国の核の傘から抜け出すことによる抑止力の低下や、国際的な孤立や、日米原子力協定の破棄等々、失うものの大きさを考えないで議論するのは妄想であり、やはり米国は簡単には受け入れない・・・
    自立するにはハードル高過ぎで、短期間ではどうこうできるもんじゃない・・・
    そういった点から現実的に考えるならば、日本としても、やはり今後も日米同盟維持でいくしかなく・・・
    ならばむしろトコトン日米同盟を活用するべく、調査研究を徹底するべきだ、とのこと・・・
    非武装中立も武装中立も厳しい・・・
    少なくとも今のところ全然現実的じゃないってのがよく分かる・・・

    その他・・・
    1994年の北朝鮮核危機時の日本政府のオロオロした内情や・・・
    北朝鮮に対する著者の見立てや・・・
    中国の約60隻とされる潜水艦のうち、稼動状態にある潜水艦は、米海軍と海自によって、すべて識別されて、出港してから帰港するまで、把握されてるっちゅーことや・・・
    日米同盟はやっぱり中国や北朝鮮にとってちゃんと効いてまっせ、ということが述べられております・・・

    半分くらいはいつもの話なので、著者の本を一度も読んだことがない方向けですね・・・

  • 日米同盟の是非を考えるうえで、主に費用負担の面からの考察が有用であり、どう活用すべきかを考えるきっかけとなった。

  • 日米同盟の価値について、戦略的な観点から説明。わかりやすいし、日米同盟の重要性を過小評価してたなと反省。まずはその価値を認識するところから日本の国防を考えねばだろう。

  • 早速、内容ですが、
    はじめに 日本を守る最善の選択はなにか?
    第Ⅰ部 世界最強の日米同盟
     ◆米国は日米同盟を手放せない
     ◆自主防衛は幻想である
    第Ⅱ部 北朝鮮vs日米同盟
     ◆1994年北朝鮮核危機の真相
     ◆北朝鮮の軍事力の実像
     ◆日・米・韓の「戦争力」と金正恩斬首作戦
     ◆米朝チキンゲーム
     ◆北朝鮮はインド、中国型経済成長を目指す
    第Ⅲ部 中国vs日米同盟
     ◆東シナ海で中国を抑え込む日米同盟
     ◆南シナ海での米中衝突はあるか?
     ◆中国の戦略は「三戦」と「A2/AD」
    ということです。
    政府・そのお抱え報道機関からでは絶対得られない貴重な「情報」が列記されている。
    核保有するということの本源的な意味、そして、現実に核戦略を実行に移すには莫大なコストと、また超高度な技術力を保持しなければならない。
    アメリカは北朝鮮の現段階での実力を知悉しているし、かの中国とて、まだまだアメリカの軍事力の域まで達していないことを理解している。
    そのようななかで、北朝鮮、中国にしても統率困難な国内情勢を抱えている。
    国内的には国民に弱腰外交だと侮られないよう、軍事的衝突を演じなければならない。
    しかしながら、絶対戦争できないことは百も承知していて、最前線における偶発的な衝突が戦争に至らないような仕組みの構築を進めている。
    いっとき言われた「インティジェンス」を思い出した。
    敵対国のとる行動、情報発信から、本心を読み取るインテリジェンスが肝要です。極力、マスゴミが垂れ流す一発もののつまらない情報に惑わされないように(笑)。
    最後に、日米同盟の重要性は認識しながらも、屈辱的な日米地位協定の改定に向けては、真の保守政治家、真の保守官僚の台頭を望むものである(たのんまっせ)。

  • 北朝鮮って実際どうなんでしょ…

    あの刈り上げデブが平成ミサイル合戦ぽんぽこをおっぱじめるたびに、ニュースやワイドショーでやれ大変だの心配だの言ってますよねェ。
    コメンテーターとかいう不思議な役割の人たちが…
    うーん、どうもピンと来ないんです。
    もともと安保や軍事なんてことに関する知識なんて1ミリも持ち合わせがありませんので。
    そんなこと言ったってしょうがないじゃないか!(©︎えなりかずき)ってなことを思ってしまうのスムニダ。

    で、この本を読んでみました。
    北朝鮮はもちろんのこと中国もガチでやったらアメリカにぜんぜん勝てっこないみたいです。よかったね。
    アメリカの大統領がどんなにバカでも仲良くしておいたほうが良さそうね。

  • 日米同盟の解消、日本の核武装は現実的に無理。
    安全保障は現実のもの。
    憲法9条、安保法制、集団的自衛権、言葉だけで議論しても現実を見ないといけない。
    名著「在日米軍」「新防衛白書」以来、著者の主張はぶれていない。

  • 日米同盟が日本だけではなく、アメリカにとっても戦略的にいかに重要であるかという点を、対北朝鮮、対中国という観点で述べた本。
    「アメリカに守ってもらっている」という意識が大勢を占める現状の日本ですが、著者は日本の存在こそがアメリカがアジアで主導権を握る上で欠かすことのできない要件で、アメリカにとっても非常にメリットのある関係であることを解説しています。
    軍の近代化や空母の保有など装備面で目を引く中国人民解放軍ですが、実は有事の際の運用面では米軍に遠く及ばない事、自衛隊は米軍と協力することを前提に装備計画が立案されており、米軍なしでは日本の防衛が成り立たない事、日本の核保有はコスト面や外交面で全く割の合わない選択肢である事など、安全保障に関する興味深い事実をデータやニュース記事をもとに判りやすく解説しています。
    北朝鮮のミサイル試射の報道などマスコミがちょっと扇動的に扱うケースが多いので、それに振り回されないために読んで損はしないのではと感じました。

  • 【中国、北朝鮮を封じ込める世界最強の抑止力】日米両国はいかにして中国・北朝鮮を封じ込めているのか? もし日米安保が破棄されたら? 安全保障の第一人者がズバリ解説。

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著者プロフィール

軍事アナリスト。1945年12月、熊本県生まれ。陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校修了。同志社大学神学部中退。地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。外交・安全保障・危機管理(防災、テロ対策、重要インフラ防護など)の分野で政府の政策立案に関わり、国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、日本紛争予防センター理事、総務省消防庁消防審議会委員、内閣官房危機管理研究会主査、隊友会本部理事などを歴任。小渕内閣では情報収集衛星とドクター・ヘリ実現に中心的役割を果たした。2012年4月から、静岡県立大学特任教授として静岡県の危機管理体制の改善に取り組んでいる。著書に『「アマゾンおケイ」の肖像』(集英社インターナショナル)、『フテンマ戦記』(文藝春秋)、『アメリカ式 銃撃テロ対策ハンドブック』(近代消防社)、『日米同盟のリアリズム』(文春新書)、『危機管理の死角 狙われる企業、安全な企業』(東洋経済新報社)、『日本人が知らない集団的自衛権』(文春新書)、『中国の戦争力』(中央公論新社)ほか多数。

「2022年 『メディアが報じない戦争のリアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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