- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166611515
作品紹介・あらすじ
東大をしのぐ高偏差値化の陰で進む「白い巨塔」の危機!モラル低下、大量留年、レイプ事件、しのびよる「医師余り」時代、医師に向かない学生の急増……受験生の医学部人気はすさまじい。「医師になれば食いっぱぐれがない」「地位安定、高収入」という幻想が流布し、地方国公立大医学部≧東大(理Ⅲ以外)、私立医学部底辺校≧早慶、が常態化している。だが、高偏差値の学生がこぞって医学部を目指すようになったことで、医学部には大きな質的変化が起きている。やみくもな偏差値競争の結果、明らかに医師に向いてない学生までもが医学部に来るようになっている。医学界には「東大医学部の学生の3分の1は医師に向いていない」と指摘する声もある。学力は高いが医師という職業へのモチベーションが低い学生が大量留年してしまう現象も目立っている。また、モラル低下も目につく。ここ数年、医学部の研究不正や患者多数死亡事故が相次いで発覚し、大問題になった。さらには医学生や若手医師が関与したレイプ事件や覚せい剤事件なども発覚している。こうした現象と医学部の超難関化が、まったく無関係とは言い切れない。受験エリートばかりの多様性のない環境の中で、他者の痛みを理解できない医師が育ったとしても、不思議ではない。そもそも医学部は「職業訓練校」である。学問の追究というよりは、「手に職をつける」場所だ。サイエンスやハイテクの最前線ではなく医学部に理数系の人材が向かうということは、日本の将来にとって深刻である。さらに深刻なのは、「医師余り」時代の到来だ。人口動態の変化と医学部定員急増、さらにはAIの台頭によって、近い将来、医師がワーキング・プアになってしまう可能性すらある。今現在は魅力的な職業に見えても、近視眼的な考えで学生が進路を決めてしまったら、大間違いをおかすかもしれないのだ。本書はそうした医学部受験熱の盲点をえぐるだけでなく、東大医学部の凋落、「医局」の弱体化とヒエラルキーの崩壊など、医学界で起きている変化も詳述。さらに医学部を目指す人々のために、医学部6年間のリアル、「医師に向く人、向かない人」、現役医師や医学部教授が求める人物像なども紹介する。
感想・レビュー・書評
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医学部についてよくわかる。
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「医学部 鳥集徹 文春新書 2018年」第1-3章の東京大学医学部の凋落、「医局」の弱体化、医学部ヒエラルキーの崩壊は示唆に富んでいて勉強になった。旧帝大医学部をトップに関連病院とのヒエラルキーがあったが、それが崩れて来ている点などわかりやすかった。
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医学部の現状を知り、我が子には自分に合った道を歩ませたいと切に考えた。
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買ってまで読む本ではない、とツイッターで酷評されてて、そっか、と図書館リクエストしたら、あっさり手元にやってきた(笑)。
確かに、第三者の取材をまとめた本でしかない。
ネットを見ていれば、知ってることばかり。新たな情報はなかった。ま、復習編、といったところか。 -
医学部の現状を概観する.10年前と状況ががらりと変わっているということは10年後もがらりと変わることは容易に想像できるので,あくまで現状を確認するための書物である.どちらかというと大学に問題があるのではなく,上位の医療行政組織に問題があるのだが,それについては特に触れていない.
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医学部の未来を見ることで日本に医療の未来を展望する書。この手の本は医師が記すものと医療ジャーナリストが記すものがあるが、後者なのでかなり辛口。
医学部を職業訓練校と断じたり、将来的には医師余りの時代が来ると断じたりとかなり乱暴だが、今の大学病院の現状など、勉強になることもあった。 -
【最難関のその先はバラ色か?】東大をしのぐ難関となった裏で、モチベーションの低い学生と不祥事が増加……「高収入、安定」の登竜門のリアルを赤裸々に描く!