皇国史観 (文春新書 1259)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612598

作品紹介・あらすじ

幕末維新から令和の代替わりまで歴史と天皇をめぐる「思想の戦い」が始まる!なぜ徳川御三家から尊皇思想が生れたのか?「衆」と「番」の論理で幕末維新を読み解くタテの儒学、ヨコの国学大日本帝国憲法 伊藤博文と井上毅の〝暗闘〟南北朝正閏問題・天皇機関説事件は「大衆の反逆」だった?昭和天皇への御進講・平泉澄の挫折柳田国男VS.折口信夫 相克する天皇像「網野史観」が天皇像をリニューアルした?近代天皇制の枠組みが壊れた日 ほか迫り来る外からの危機「国のかたち」はどうなる?

感想・レビュー・書評

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  • 南北朝時代、どちらが正統だったかという議論は興味がわく。

  • h10-図書館ー2/28 期限延長3/21  読了3/18 返却19/

  • 江戸幕府成立後も伊達政宗など東北には曲者が揃っていた。この防波堤が水戸徳川家である。藩主は江戸在住が義務とされるが、格式は尾張、紀伊より低く、土地も痩せており財政は苦しかった。そこで徳川光圀は将軍に対する天皇の優位性を強調した。水戸学の創始である。後期水戸学会沢正志斎は攘夷を説き、吉田松陰に影響を与えた。この頃ロシアとの接触があったことが背景にある。
    明治憲法において国務大臣は天皇を輔弼するとされている。輔弼とは責任と判断を行う意味であるから、天皇は政治的責任を取らなくて良いという構造である。これに抵抗した井上毅は天皇主権説を主張。のちの天皇機関説事件等に続く対立構図は、憲法制定当初からあった。
    日清日露戦争により国民が創出し国家意識が醸造された。
    天皇中心の史観ゆえ南北朝正閏問題が起きる。それまで北朝正統とされていたが、水戸史観の影響から南朝が正統とされる。
    通説であった機関説が議会で謀反などと批判され、主権説が通説化する。ナショナリズムが背景にある。
    歴史家平泉澄は天皇新政を主張し皇国史観に大きな影響を与えた。天皇への講義も担当、その思想は、特攻、人間魚雷などの作戦につながった。平泉にとっての歴史とは英雄のものであった。

  • 持続可能な(皇族に優しい)天皇制と、それを支える新たな「皇国史観」、ね。
    まぁ、人権を剥奪された上で「立派な日本人」の象徴たることを強要されている方々をどう救済していくか、は大問題ではありますわな。
    壊れちゃったら、換えが効かないんだから。

    恥知らずな長州人に都合良く利用されないようにもしないとね。

  • 後期水戸学から明治維新、南北朝正閏論争、天皇機関説問題と、背景や流れが非常に分かりやすく説明されている。譲位の大きな意義もクリアになった。ただ柳田・折口の見解や網野説の意義付けについては、やや疑問に感じたところ。

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著者プロフィール

1963年生まれ。政治思想史研究者、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』(いずれもアルテスパブリッシング、吉田秀和賞およびサントリー学芸賞)、『未完のファシズム』(新潮選書、司馬遼太郎賞)、『鬼子の歌』(講談社)、『尊皇攘夷』(新潮選書)ほかがある。

「2023年 『日本の作曲2010-2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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