知事の真贋 (文春新書 1284)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612840

作品紹介・あらすじ

リーダーのなすべき仕事とは何か?
良い知事とダメな知事の見分け方とは?

新型コロナ対応では各都道府県の知事たちの言動が注目された。国の方針に唯々諾々と従うだけの知事もいれば、現場の実態に基づき臨機応変に対応した知事もいた。マスコミ露出の多寡ではわからない「知事の実力」とは何か。前鳥取県知事が自らの体験を元に解説する。

第一章 知事たちの虚を突いた感染症
第二章 法的根拠を欠いた知事の自粛要請
第三章 各都道府県知事の閻魔帳
第四章 問われる全国知事会の役割
第五章 東京都政と大阪府政を診る
第六章 ポストコロナ時代の首長と議会

感想・レビュー・書評

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  • 最終章の議会に関する記述は非常に参考になるとともに、とても考えさせられました。

  • https://ciel-myworld.hatenablog.com/entry/2023/10/27/200000
    1999年から2期8年鳥取県知事を務めた方の本。
    選挙権を持つ人も、自治体含む政治家や職員も学ぶことが多いだろうと感じます
    これ読んでると質問だけ議員の存在価値が薄く感じちゃう。普通に住民の声は住民から直接募って、議論を理解しているするほうが早い。と考えると結局ハッカソンとかそういう話になってくるのかもしれない。

    鳥取って和牛産地なんだ(気高けたか)

    条件ガン無視で解釈するのエグいな
    日本語読めない人、もしくは自我を出す人が法律の解説してるのも、査読がないのも、それを基に政治が行われてるのも怖すぎる

    2000年に鳥取で大きな地震あったの知らなかったな

    コロナ禍入ったとき、仁坂知事に注目していたので、自分よりもよく理解してる人から見ても良い対応だったんだなとなったし、何が優れていたのかというより一層の理解につながりました

    県をまたぐ移動ってなんだよってずっと思ってた
    ウイルスという自然を相手に人間が考えた取り決めに縛られる事案は多いと感じる
    責任とか管轄とかいろいろあるだろうけど、変な分断があちこちで起きてるなぁと

    西の地方の知事だったからこその意見もあってなるほどなという内容もありました

    さすがに人工知能うんぬんの答弁は意味不明すぎてやばいな
    手厳しい言い方は多いけど、何があったかや理由を聞けば納得
    お前のことだよ、逃さないからなって感じがいい

    委託司書が適当になるのはマジで残念でならないな。学生時代の司書さんの影響でかかった私からしても

  • 最近、感染症対策の関係で「知事」というモノに従前以上の脚光が当てられているように見受けられる。

    感染症対策のようなことは、都道府県がその仕事を担うことになっている。古くは現在の市町村よりもかなり面積も人口も少ない町村が多数連なっていた訳で、市町村単位で対応を行うことが困難であったというような事情による。加えて、古くはそういう事態が発生すれば、感染症発生の当該地域を管轄する県で指揮下の警察官を動員して、当該地域と他地域との往来を監視、制限するような対策も取らざるを得ず、そうなるとそういう人員を配置することも出来る「知事」が指揮を執るということにならざるを得なかったのかもしれない。

    経過は色々であろうが、現在その感染症対策の関係で「知事」というモノに光が当たっている中、「彼らの仕事ぶりは?」と執筆時点までの色々な様子を振り返って考えているのが本書である。

    どういうような分野であれ、様々な経験を積んでいて、広く深い知識を有しているということが明らかな方の言に耳を傾けるということは有益で、必要なことであろう。それは改めて申し上げるまでもない、至極当然なことなのかもしれないが、本書を素早く読了した中で改めてそう思った。

    少し驚くのは、広く伝えられている「感染拡大防止を目的とする店舗営業の中止や時間短縮を求める」というようなことや「営業の中止を拒む店舗の名称公表」というようなことに関して、法解釈、法の運用というような意味で「疑義?」が実は多々在という件である。正直、個人的に「何処か釈然としない…」を色々と感じていたので、その種の解説は有難かった。

    そして近年、政府等で「とりあえず何事かをやっているような感じ」が醸し出されようとすることが頻発していた他方、「実際、どうなのか?」が多かったのかもしれないが、「本当に危機が生じている?!」という中、政府や自治体の「真贋」が色々な意味で「問われるのではないか?」という問題提起が在った。

    一見すると「面倒なだけ…」ということかもしれない「衆議を尽くしながら進める」という、或いは“正統派”なモノへの向き合い方が、「より疑義が少なく、円滑に…」という危機対応に繋がるのかもしれない。そういうことも本書では説かれていたように思う。

    そして本書では「大阪の“都”構想?」という話題にも踏み込んでいる。あれは大阪市と大阪府との二重行政を解消して行くと主張されている。が、“東京市”と“東京府”とを合わせて登場した東京都は現在に至って「やり易い体制なのか?」ということが色々と在る。逆に「“東京市”を新設して“東京府”へ…」ということを考えるべきかもしれないとし、「“大阪都”なのか?一度、投票で否決されてもう一度投票か?」としている。(本書の出た頃には、再度否決されていたが…)

    何れにしても、なかなかに興味深く拝読した一冊で、広く御薦めしたい。

  • ふむ

  • コロナ対応の迷走が良くわかる。危機管理対応も、法令遵守しないと責任の所在が曖昧になつてしまう。

  • 新型コロナ対策について、国や各都道府県知事が新型インフルエンザ対策特措法をどのように解釈、理解し行動しているのか、それがどれほど誤謬に満ち、危ういものなのか、また、議会の取るべき立場など、とてもよく分かりました。

  •  コロナ対策は、ほぼ初めての経験だから、政府も地方自治体も苦労が多いんだろうなぁ、と感じてきた。でも、この本を読んで、政府も地方自治体も重要な法律を守らず、後で問題になりそうなことを実施していることがあるんだと、よくわかった。必要な法律や条例の改正は、急ぎの場面であっても議会を開いて行うべきだ。パフォーマンス知事は本質を見抜かれ、一方で、いい知事(いろんな場面を想定して準備がなされ住民が平穏に暮らせるような)がきちんと評価されて再選されるようにするには、どうしたらいいんだろう。
     いろいろ考えさせられる、いい本でした。

  • 筆者は、鳥取県知事時代、議会とガチンコの議論、予算査定の透明化、県西部地震時の住宅再建への補助導入など、改革派知事として名を馳せた。
    新型コロナ対応では、各都道府県知事の言動が注目されたが、筆者はそこに焦点をあて、自らの体験を元に、露出度だけではわからない知事の真贋について解説する。
    東京都の小池知事は、キャッチフレーズや話題づくりに熱心なパフォーマンス知事だとこけ下ろし、「大阪都構想」に関しては、二重行政はどこにでもあり、問題があれば協議すればいいとして否定する。一方で、国の方針を鵜呑みにせずPCR検査を積極的に行った和歌山県の仁坂知事を現場に即した判断ができたと称賛する。 
    本書で勉強になったのは、新型インフルエンザ等対策特別措置法の解釈。政府の基本的対処方針に緊急事態宣言が出ていなくても知事が自粛要請ができるという解釈が盛り込まれたが、その根拠となったのは特措法第24条9項。だが、筆者によると、これは都道府県対策本部への派遣協力要請であり、自粛まで想定しているものではないようだ。
    本来、緊急事態宣言が出されないと、外出や営業の自粛要請はできず、営業自粛要請ができる対象について、第45条にうたわれている。
    これらの条項に関して、誤った解釈がなされたのではと筆者は分析している。
    このほか、岡山県の検温実施や東京都の「虹のマーク」を例に出し、条例審議の重要性を訴え、専決処分の乱用を指摘するなど、議会に対する真摯な態度を貫いてきた筆者の考え方に誠実さと潔さを覚えた。

  • 地方自治の専門家による「日本政治の本」秀逸 
    コロナは日本の政治のレベルを露わにした
    国も、地方自治体も、マスコミも、アカデミズムも、国民も
    コロナという非常時に対応する「実力」を求められ、
    厳しい評価に晒されることになった、それもグローバル評価である
    日頃些末な事象に振り回されて事足りていた我々は
    コロナという戦争レベルの非常時に対応力を試されている
    2020/12/10 知事の真贋 片山善博 ☆☆☆
    知事経験を踏まえ、コロナ問題を事例として、日本の政治・地方政治の問題をえぐる。政府にも知事にも忖度はないのが気持ちよい。
    しかしこれが日本の現実と思うと、少し暗澹たる気持ちになる。
    「令和維新」につなげられるか!
    1.対コロナ体制 国-知事 生活圏の問題 首都圏 関西圏
    実務は市町村=保健所の所管だが、権限は国と知事 ✖政令指定都市
    法律の建付けは不十分 根拠なき権限行使もどき 学校の休校 営業自粛
    知事の役割=総司令官 ①ロジスティックス-人・設備・財源②法令根拠
    「指定感染症」2020/2/1
    2.全国知事会 国にもの申す「闘う知事会」2003年梶原知事・浅野知事
    全国一律の弊害→総務省との軋轢
    科学的知見の不可欠
    国の緊急事態宣言→知事の営業自粛要請 逆も真
    財源の法的根拠
    3.安倍首相の嘘 平気(154) オリンピック福島原発のアンターコントロール
    定額給付金の支給 マイナンバーは使えない オンライン申請
    ⇒国家破綻への道
    4.東京都 1943年東京府と東京市が合併 17万人職員 巨大な政令都市
    現場を抱えており、組織の巨大化 戦略は苦手⇒都・市分離へ
    ⇒大阪都構想と逆 「戦略とオペレーションの分離」
    小池知事は思いつきの人 東京版CDC疾病対策センター 嘘ばかり
    ①コロナ②税収ダウン③東京五輪
    5.大阪府 理解に苦しむ「都構想」 同感! 関西州=道州制が筋
    市と府の役割分担 ①基礎的自治体②広域自治体[地方自治法]
    維新はインサイダー選挙
    6.議会が決める 小池知事は専決処分を乱用
    「調査」「議論」⇒「決める」 民主主義の価値 多数派の強行ではない

  • 2020/11/22廣文館

    ●大阪都のはなし
    ・東京市を戦時体制から、23区に分割して東京府を東京都にした結果の弊害を指摘した話がわかりやすく述べられている。
    ・一見、大阪市を解体したほうが良さそうに誘導されかけたが、歴史を学ぶのは(東京市の前例)大切。
    ・行政官であり地方自治のプロである片山先生の見識はすばらしいと思う。
    ・今回のコロナ対応でも、鳥取の平井知事の行政官としての手腕が評価されている。
    ・地方行政のプロの見識が、もっと広まれば、地方も面白くなるようなきがする。

    東京市、東京府の過去のいきさつは、こんな感じ。

    https://www.jacar.go.jp/glossary/tochikiko-henten/qa/qa29.html

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著者プロフィール

日本福祉大学社会福祉学部教授
一橋大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。博士(社会学)一橋大学社会学部助手、東京農工大学非常勤講師等を経て現職。『差異と承認――共生理念の構築を目指して』(創風社、2007)

「2019年 『B型肝炎被害とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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