お茶と権力 信長・利休・秀吉 (文春新書 1330)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166613304

作品紹介・あらすじ

「茶」を軸として、織田信長・豊臣秀吉、二人の天下人の戦略を読み解いた、新しい戦国史!

室町から戦国にかけて、武士の文化として発展した「茶」。しかし、それは一方で政治のツールとしても活用されました。
なかでも信長は「名物」とされた茶道具を家臣たちに分け与えることで、自らの信頼の証とし、家臣統制に活用します。またそれは外交のツールでもあり、茶の文化をリードした堺の商人たちと深く交わる手段でもありました。
そのなかで、信長に重用された一人が、千利休であり、信長の戦略を継承したのが秀吉だった、と著者は説きます。
では、なぜ堺の商人のなかでも後発だった利休が重用されたのか? そして秀吉の側近として盤石の地位を築いたかに思われていた利休が突然失脚したのか? 
著者の田中氏は大日本茶道学会会長、公益財団法人三徳庵理事長として茶道文化普及に努めるかたわら、徳川林政史研究所や徳川美術館で歴史・美術を研究。茶の道に精通した著者ならではの視点が光ります。

感想・レビュー・書評

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  • 千利休切腹の歴史ミステリーを茶道宗匠が解く――『お茶と権力』 『お茶と権力』 | BOOKウォッチ
    https://books.j-cast.com/topics/2022/02/24017329.html

    文春新書『お茶と権力 信長・利休・秀吉』田中仙堂 | 新書 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166613304

  • おもしろーー!!

    お茶は、文化ってよりもはや政治。笑
    この時代のお茶=メディア、もしなかったらどんな上下関係、どんな世の中になっていたか。

    保有しているものを自慢したい、見せびらかして上に立ちたい、って意味だと今でいうインスタと使い方は同じ?笑 (人間、満たしたい欲求はどの時代も変わらないのかもしれないなw)

  • 武家が公家にいちゃもんをつけられないようなオリジナル文化として能があり、茶が生まれたと。公家に負けまいと頑張った室町時代の武家文化が日本の伝統文化になったのは面白い。
    信長の名物召置や朝倉氏を滅ぼしたアピールのためのメディアとしての茶会、御茶湯御政道と利休を用いて自己の信長後継者ぶりをアピールし、朝廷を利用できるようになってからは公的な官位による序列とは別に私的に心服を勝ち取るためのツールとし、利休を切腹させた秀吉。

  • 美味しいお茶を飲むためだと思っていた茶会に、政治的な意味合いもあるとは驚きでした。

  • 利休の死について、そもそも利休の時代に、政治から独立し芸術のために命を懸けるような近代西洋的な意味での芸術家は存在しえないとし、「お茶と権力」の文脈で解読しているところが興味深い。

    秀吉が天下をとり間もなく、利休ももはや茶の世話をするだけの存在ではなく、秀吉の意向を非公式に外に伝達するという政治的な存在になってしまっていた。

    そうなると天下人秀吉にとって、利休を同席させない方が良いという判断を下すことにつながった可能性が高い、というのが本書の説。

    利休の茶はいやおうなく政治性を帯びることになってしまったため、利休が政治的には引退して茶席に引き籠るという選択肢は残されていなった、

    よって「追放」され生命を断たれるほかなかった、とのこと。

    鎌倉時代ほどではないにせよ、桃山時代においても権力者の転落の後は死しかありえないわけで、十分説得力があると思った。

    また、文化的に武家を馬鹿にする公家に対応し、足利義満は能楽という、信長・秀吉は茶道という新しい文化で対抗という説明文脈は非常にわかりやすい。

    最終的にそれらは朝廷・公家に認められたわけであり、権力者の眼力とともに、選ばれた新文化にそうなる魅力と高尚さがあったことも指摘せざるを得ない。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00621542

    「茶」を軸として、織田信長・豊臣秀吉、二人の天下人の戦略を読み解いた、新しい戦国史!

    室町から戦国にかけて、武士の文化として発展した「茶」。しかし、それは一方で政治のツールとしても活用されました。
    なかでも信長は「名物」とされた茶道具を家臣たちに分け与えることで、自らの信頼の証とし、家臣統制に活用します。またそれは外交のツールでもあり、茶の文化をリードした堺の商人たちと深く交わる手段でもありました。
    そのなかで、信長に重用された一人が、千利休であり、信長の戦略を継承したのが秀吉だった、と著者は説きます。
    では、なぜ堺の商人のなかでも後発だった利休が重用されたのか? そして秀吉の側近として盤石の地位を築いたかに思われていた利休が突然失脚したのか? 
    著者の田中氏は大日本茶道学会会長、公益財団法人三徳庵理事長として茶道文化普及に努めるかたわら、徳川林政史研究所や徳川美術館で歴史・美術を研究。茶の道に精通した著者ならではの視点が光ります。(出版社HPより)

  • 名物茶道具を権力で収集土地の代わりの恩賞に使い人事掌握信長だったが家康もてなす茶会の前に光秀の謀叛により貴重な唐物を集めた安土城とともに焼失。朝廷に認めて貰いたい一心で金の茶室、北野大茶会開催し野望達成秀吉は目的を果たしたので邪魔になった策略家利休に切腹命令し茶道が完成。侘び寂びの裏はドロドロ権力闘争でした。

  • 「お茶と権力」という非常にカジュアルというかポップなタイトルですが、非常に奥行きがあり、面白い書籍でした!

    お茶 = 茶道というと、 お茶の点て方、頂き方というお作法いう側面だけが、クローズアップされやすいように思います。

    が、この書籍の切り口は、全く違う視点からであり、
    「茶道」という【価値】をどのように「形成」して、どのように「活用」してきた(されてきたか)ということが、非常に分かりやすくまとめられています。

    朝廷・公家と武士の立ち位置の違いと、違いを超えていくために、「茶道」という新しい文化(市場)を作り、その市場を価値あるものに見せて行き、活性化させて、(他も含めての)市場制覇に活用したのか?ということが、分かりやすく書かれています。ビジネスパーソン、必読の一冊だと思います。

    個人的には、「千利休が追放された理由」として、「急成長を遂げる会社組織にとって、個人商店時代から影響力を持つ秘書が受け入れられなくなる」という説明が為されていた点です。

    ただ、著者は、この説明だけでは、織豊期の茶会の意味の説明が不足しているので。と但し書きも書いておられることも付記しておきます。

    詳細は、是非とも本書をご覧くださいませ!重ね重ねになりますが、市場づくりをしていく(意識している)ビジネスパーソンには、非常に参考になる著書と思います!

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著者プロフィール

1958年、東京都生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得。本名秀隆。大日本茶道学会会長。公益財団法人三徳庵理事長。著書に『岡倉天心「茶の本」をよむ』(講談社学術文庫)、『茶の湯名言集』(角川ソフィア文庫)、『近代茶道の歴史社会学』(思文閣出版)、共編書に『講座日本茶の湯全史 第三巻 近代』(思文閣出版)、『秀吉の智略「北野大茶湯」大検証』(淡交社)、『茶道文化論 茶道学大系 第一巻』(淡交社)ほか。

「2019年 『千利休―「天下一」の茶人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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