新装版 鬼平犯科帳 (18) (文春文庫) (文春文庫 い 4-69)
- 文藝春秋 (2000年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167142704
作品紹介・あらすじ
大恩ある盗賊の娘が狙われていると知った密偵・仁三郎は、平蔵に内緒で非常手段をとる。盗賊上りの部下を思いやる長官の情と密偵の苦悩を描く「一寸の虫」。尾行中の鬼平の前で提灯が闇に飛んだ。辻斬りか? 「神妙にせよ!」、途端に逃げ失せた賊と共に傷ついた男も消える。謎が謎を呼ぶ「蛇苺」。盗賊改方の勘定方・細川峯太郎が初の調査にのりだす「草雲雀」。そのほか「俄か雨」「馴馬の三蔵」「おれの弟」と、円熟の短篇全六篇を収録!
感想・レビュー・書評
-
鬼平犯科帳 (18)
何ともやりきれない結末の「一寸の虫」。苦悩する密偵の仁三郎が“なあんだ、これでいいじゃねえか・・”と出した結論が哀しすぎて、彼がどれだけ精神的に追い詰められていたのかと思うと胸が痛みます。
「馴馬の三蔵」でも密偵・粂八が苦しんでいました。彼ら密偵の方々は“過去”があるだけに辛い部分がありますよね。
第一話「俄か雨」と第六話「草雲雀」はリンクしていて、どちらも細川同心が登場します。イマイチ頼りない彼が今後どのように成長するのか見守りたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編6編、いつになく薄い本であったが、忙しさの中でようやく読了。「一寸の虫」では、また一人密偵が非業の死を遂げてしまった。お盆に供養をせねばならない同心・密偵達に対する平蔵の気持ちは重いものだろう。それは「おれの弟」でも同じことになってしまった。
-
鬼平犯科帳 18巻目。
またも、密偵が死んでしまった。。。
情が深いからこそ、死んでしまったのだと思う。
悲しすぎる。。。
そして、「おれの弟」は、最後の展開に驚いた。
まさかの平蔵さん。。
平蔵さんの気持ちを考えるに、あれは当然だと思う。
読んでいた自分も、腹が立ったから。
今の世も同じことが繰り返されているのだろうと思いながら読んでいたので、あの展開には驚いたとともに、すっきり感もあった。
京極備前守は、わかってますね。
わかっているからこそ、盃を受ける。。。 -
”馴馬の三蔵”や”一寸の虫”を読んで、三蔵や粂八、仁三郎の生き様を知ると、ほんの些細なひょんなきっかけで、誰しもが盗人に身を窶すことになる可能性があるのだ、と思う。
-
「俄か雨」細川、嫁を貰う
「馴馬の三蔵」久々の粂八
「蛇苺」ねえ……ねえったら……
「一寸の虫」お疲れ様仁三郎
「おれの弟」敵討をやってみた
「草雲雀」細川、手柄を立てる -
※読了2回目と思われる
売却済み -
大恩ある盗賊の娘が狙われている。密偵の仁三郎は平蔵に内緒で非常手段をとった。しかし、待っていたのは死であった。盗賊上がりの部下を思いやる「一寸の虫」ほか佳篇五作。
個人的には、小房の粂八の葛藤と平蔵の優しさが滲み出る「馴馬の三蔵」がお気に入り。平蔵に命を預けた密偵たちだが、裏切れない人や絶対守らなければいけない人が存在して当然である。その時の選択する事の辛さ足るもの、読む側も胸が締め付けられる。夕闇のラストシーンは、シリーズ屈指の名場面のひとつである。 -
馴馬の三蔵
小房の粂八は盗賊だったとき恩のある馴馬の三蔵に逢う。世話になった三蔵を売ることは出来ぬ。迷う粂八。
平蔵に隠したまま、三蔵の一人ばたらきを見守る粂八。しかし、結局、三蔵は死んでしまう。一件落着となった際、粂八に対し平蔵は、
『お前と三蔵との間に何があったか、それは、知らぬ。なれど‥‥』
『口に出しては、味ない、味ない』
夕闇のなか、粂八は、男泣きに泣いている。
何も聞かぬ平蔵。
読んでいて、映像が浮かんでくるよう。グッとくるなぁ。 -
俄か雨
馴馬の三蔵
蛇苺
一寸の虫
おれの弟
草雲雀
「俄か雨」同心 細川峯太郎が登場。
「馴馬の三蔵」古株の密偵 粂八でも平蔵に後ろめたいことがあると平常では居られないものなんだな。
「一寸の虫」密偵 二三郎、亡くなった伊三次に代わって長く活躍するかと思っていただけに残念。
「おれの弟」終盤の平蔵の処置に驚き。今までも上に揉み消され苦い思いをした案件もあっただろう。こちらとしても救われる気持ちになった。
「草雲雀」同心 細川が勘定方から異動になり初手柄。