- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167148034
作品紹介・あらすじ
都会の競争社会を嫌ってメイン州の美しく小さな町に越してきた、若い夫婦と二人の子どもの一家。だが、家の前の道路は大型トラックがわがもの顔に走り抜け、輪禍にあう犬や猫のためにがあった。しかも、その奥の山中にはおぞましくも…。「あまりの恐ろしさに発表が見あわせられた」とも言われた話題作。
感想・レビュー・書評
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ホラー系のお話は苦手なので、この作品も私の心には全く引っ掛かることのない類いのものだったけど、海外ホラー好きの妹に映画へ誘われて観に行きなかなか興味深い内容だったので原作を購入。翻訳が頭に入ってこないため海外文学には苦手意識があり、これも最初は思うように読み進めることができなくてもどかしかったけど、いつしか物語にどんどん引き込まれていって、気付いたら下巻まで一気読み。
上巻は穏やかな日常の描写が多いけど、一方で未来に確実に起きるであろう何か不吉な予感を漂わせながら進んでいく。下巻まで読み終えた今、凧揚げのシーンがひどく懐かしく、鮮やかな美しい思い出として甦り胸が締め付けられる。
ルイスは一体どこで道を誤ってしまったのか。どこかのタイミングで引き返す手段はなかったのか。愛が故の悲しい結末を知ったからこそ、この上巻全体に散りばめられた家族の思い出の数々がより一層輝いて目に映る。辛い。 -
スティーブンキングの代表作の一冊。
死んだペットを埋めると生き返る墓地の話。
墓地の近所に引っ越してきた主人公一家。ある日、事故で死んだ飼い猫を生き返らせたことが成功体験になり、事故で死亡した幼い息子をペット墓地に埋める主人公。しかし、生き返った生き物は生前とは違う行動を取るようになる。
死んだ家族を生き返らせる、というモチーフから「猿の手」を連想させるが、小説内で主人公も「猿の手」のことを思い浮かべている。「猿の手」では、死体が家のドアをノックするところまでで追い返すが、もし受け入れたらどうなるか、というアイデアが本書のスタートのような気がする。
ホラーのスタイルを取ってはいるが、本質は家族愛の話だと思った。姿形が変わっても死んだ家族と会いたいのか?大きなリスクを取ってでも行動を起こす姿に家族愛を感じる。
キング作品にしては翻訳は読みやすい。
一方で登場人物の独白や心理描写が大量であり、かつ、情景描写も多い。アメリカ文化に馴染みがないと文章から想像しづらい場面も多く、読み進めるのにエネルギーが必要だった。
旧作のキング脚本の映画の方が物語のテーマが分かりやすいかもしれない。 -
まず、本作を評して「あまりの恐ろしさに発表を見合わせたと言われる」と書かれることがあるが、これは巻末の訳者あとがきにあるように誤解であり、著者によって明確に否定されている。まったくとはいわないが大して恐ろしくないので安心して読んでほしい。これはホラー小説というよりは哀しい家族愛の物語だ。ルイス、レイチェルの若夫婦にエリー、ゲージの子供たち、愛猫チャーチ。それに近所の気のいいジャド、ノーマ老夫婦。そんな幸せな家族生活が愛息ゲージの事故死を境に暗転する。狂気と正気のはざまに懊悩するルイスは、土地に棲みついた悪霊にそそのかされるように禁断の道へと足を踏み出す。しかしとてもハッピーエンドに終わるとは思えない。そうなるんだろうなという読み手の予測通りに物語は進む。わずかな希望も絶たれて壊れてしまったルイスはさらに...。本作が恐いとすればここからだ。ラスト1行、これはほんとに恐い。
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引っ越してきた家の庭から通じる、ペットの埋葬所。
更にそこを先へ進むと先住民族が作ったと言われる墓地があり、そこに亡くなったペットを埋めると生き返り戻ってくると言われていた。
初めに可愛がっていた猫が、次に息子が亡くなり、その「場所」に魅入られた主人公はだんだんと狂気に走り、遺体を抱いて埋めにゆく。
幸せだった家族との時間が、その後襲う不幸を際立たせ読んでいて辛かった。
遂に「その場所」に支配され次々と死者を埋めにゆき、自分を見失ってゆく主人公。
独り、正気のまま残された娘はどうなるのか・・・それが気になった。 -
所々、脱線があり読みづらい部分もあるが、キングの世界観にあっという間に引き込まれる。
ホラーではあるがキングらしい人間の悲哀、愛の物語。
これを読むと、毎日を大切に生きようと思える。 -
2020年に公開された映画は内容がだいぶ違うね!!!!!!
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内容
都会の競争社会を嫌ってメイン州の美しく小さな町に越してきた、若い夫婦と二人の子どもの一家。だが、家の前の道路は大型トラックがわがもの顔に走り抜け、輪禍にあう犬や猫のためにがあった。しかも、その奥の山中にはおぞましくも…。 -
一昨日突然思い出した。最初のキング、全然救いがなくて切なくて美しくておぞましい結末(と言えるのかすら微妙な)は喉にひっかかる魚の小骨どころではないうっとおしさで私の脳裏にひっかかり以後キングは「読むのに莫大なエネルギーを払わされるのに読んじゃう作家」となる。なんという救いようのない話。しかし、キングの作品を評して後味の悪さを売りにしてると言う人には何を読んでるんだ貴方(何も読んでないでしょ)と、私は言う。