王朝懶夢譚 (文春文庫 た 3-39)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167153397

作品紹介・あらすじ

内大臣の姫君・月冴に恋と冒険の季節が訪れた。小天狗の外道丸の助けを借り、医師の麻刈と語らい、東国男の晴季を誘惑し、美貌の弾正宮にときめき……遂に姫が手にした恋は?

感想・レビュー・書評

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  • 古典文学についてのエッセイや現代語訳を書かせたら、田辺聖子の右に出るものはいない。
    長い月日、彼女の作品には沢山の美しい夢を見させてもらった。

    その田辺聖子の王朝時代を舞台にしたオリジナルの小説が本書である。様々な古典のエッセンスを散りばめたファンタスティックな恋愛小説だ。

    内大臣の愛娘、月冴は恋に恋してばかりの美しい姫君である。その月冴姫が平安朝に浮遊する魑魅魍魎達に出逢い、数々の恋愛騒動を巻き起こす。果たして、姫は運命の恋に出逢えるのだろうか?

    この物語は田辺聖子の古典へのオマージュである。彼女の愛してやまない世界を再構築しているかのようだ。
    一つ一つの言葉の鮮烈な美しさと、恋する切なさと甘さに幻惑される。

    本書の中で月冴の美しさを「虹のようだ」と形容しているが、この物語自体が玲瓏な虹のように輝きを放っていおり、この馥郁とした香気は、古臭いと敬遠されがちな古典文学に新たな生命力を与えているのだ。

  • 敬愛する田辺聖子さんが「ぜひ古典になじんで」と
    著書の中で何度も云っておられるものの、どうも
    難解そうで手を出しにくかった古典もの。
    この作品は題名こそいかめしいものの、読んでみると
    いつもの聖子さんワールド。
    ちっとも難解などではない、親しみやすい物語。
    主人公月冴姫もチャーミング。
    さすがは田辺聖子さん!
    今度は聖子さん訳の「源氏物語」を読んでみたい。

  • 時は平安時代。内大臣の娘、月冴姫は恋に恋するお年頃。そんな彼女がある日出会ったのは三百歳の天狗、外道丸であった。お坊さんの清範律師、医者の麻刈、東国からやってきた晴季、盗人の悪来丸、姫が出会う様々な男たち。外道丸とその愉快な仲間たちと協力しながら彼女は本当の愛を探し求める――

    一国の姫が身分違いの男と恋に落ちるラブストーリー。一方で、天狗やら狐やら魑魅魍魎やら狼狽やら人魚やらそんなケモノたちが登場する純和風ファンタジー。最近ではよく見かける組み合わせだけど、古風な言い回しが醸しだす平安の世界観に酔いしれる。こういう趣のある作品もまた良き哉。

  • 話の面白さ云々の前に、時代にそぐわない言葉がたびたび出てくるのがどうにもなじめなかった。

  • 平安時代のお姫様が主人公。子天狗と巻き起こす恋愛ファンタジー

  • 出てくるキャラがみんなかわいい。

  • なんと田辺聖子氏の『平安幻想恋愛物語』優しく美しく愉快なファンタジー。

  • 深窓の姫君らしからぬ月冴姫と、神通力を持つ天狗が巻き起こす不思議なお話が面白いです。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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