北極圏一万二千キロ (文春文庫 178-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167178031

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  • 「植村直己」の探検記『北極圏一万二千キロ』を読みました。

    『青春を山に賭けて』、『エベレストを越えて』に続き「植村直己」作品です。

    -----story-------------
    グリーンランドからカナダを越えてアラスカまで、北極圏をたったひとり犬ゾリで走り抜けた男の記録。
    極限に挑む人間離れした探検に、人間らしいやさしさがみなぎるドキュメント。
    -----------------------

    一日中、太陽が出ない真っ暗闇の季節(逆に、一日中、太陽が沈まない白夜の季節もあります)、汗も凍るような寒さ(氷点下50℃!?)に身体が順応せず、寒さに凍えながら、

    雪のない峠を犬橇で無理矢理越えたり、

    薄氷を割り冷たい海に浸り、

    犬に逃げられたり、

    食料を野犬に食べられたり、

    白熊に襲われそうになったり、

    と、様々な苦難を体験し、挫けそうになりながらも、強い精神力で、北極圏の一万二千キロを犬橇を使って単独で走破した、1年半にも及ぶ冒険の記録です。

    本当に「植村直己」の精神力には、驚かされるし、自分も強くなりたいと感じますね。


    精神面だけじゃなく、食に関する逞しさも、「植村直己」の強みなんでしょうねぇ。

    カリブーを銃で仕留めて、その場で食べたり、アザラシやセイウチ、クジラの凍肉を生で食べたり… その他にも、じゃこう牛、兎、犬、白熊、雷鳥、カラス等々、極地に住む生き物はなんでも食べる。

    なかなかできないです。

    食に関しては、実際に食べたモノも衝撃的でしたが、1910年に南極点を目指した「アムンゼン」(ノルウェー)と「スコット」(イギリス)に関する文章も印象的でしたね。

    「植村直己」の価値観がわかります。

    「二人は南極点を目指して同時に出発するのだが、アムンゼン隊が、犬橇の名手を集めてこれを十分に使いこなし、最後にはその犬を共食いさせながら極点に到達したのに対し、犬橇の使い方を知らない(あるいは知ろうともしなかった)スコット隊はスキーと徒歩で極点を目指し、サポート隊が雪上車とシベリア産の馬を用意してこれを支援した。しかし、雪上車は寒さに動かなくなり、馬も使いものにならず、人力によって極点には達したものの、帰路、全員死亡してしまうのだ。
    アムンゼンとスコットのやり方を比較してどちらが良い、どちらが悪いというのではない。しかし私にとって冒険といい、探検、調査といっても生きて還らねば何の意味もない。特攻隊ではないのだから。
    一番強く思うことは、フランクリンはなぜ近くにいたエスキモーに助けを求めなかったのか、スコットはどうして馬を食わなかったのか、ということなのだ。(後略)」


    本当に、この逞しさが羨ましいですね。

  • 迫力

  • 28年ぶりに読み直しました。やたら感動的に描かれる日本のドラマや映画の犬ぞりと犬と違い、リアルなエスキモーにとっての「犬」やその他動物のありかたなど、興味深い内容が盛りだくさんです。
    なにより、1976年頃の出来事とは思えない新鮮さが今でも感じられて驚きました。

    • backyard46さん
      植村直己さんの本、小中学生でも読める内容ではありますが、エスキモーの性風俗とかに関する記述も出てくるので、その辺を気になさる親御さんはご注意...
      植村直己さんの本、小中学生でも読める内容ではありますが、エスキモーの性風俗とかに関する記述も出てくるので、その辺を気になさる親御さんはご注意を。一度読んでから子供に読ませるかどうか判断願います。
      2012/09/19
  • 極地の生活、犬橇、狩猟の技術を学び、グリーンランド北西海岸三千キロの犬橇旅を単独で終えたものの、南極横断にはまだまだ技術不足、次の目標をグリーンランドからアラスカまで一万二千キロの犬橇単独行。
    この計画を立てている間に、運命の人公子さんと出会い結婚、北極圏一万二千キロの旅に出発。
    そしてこの旅を終えた頃にはメディアが殺到し、冒険家植村の名は世界に広く知られるようになる。

  • (メモ:中等部3年のときに読了。)

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