未知の剣: 陸軍テストパイロットの戦場 (文春文庫 わ 8-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167249120

感想・レビュー・書評

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  • 陸軍の審査部飛行実験部の活動と戦歴をオムニバス形式でテンポ良く読みやすく書かれた作品でした。 色々な試作機の話や雪橇や代用燃料等の話や防空戦の様子等読み応えありました。
    満足に稼働する飛燕Ⅱ型改が活躍してるのは個人的に痛快であった。

  • 旧日本陸軍航空審査部のオムニバス。作者もあとがきで書いている通り、短編のつなぎ合わせであり、大河的な物語は望めないが、日々悪化する戦況と新型航空機の実用化を通して対峙していく人々の戦いは興味をそそられ、時に胸に迫るものがあった。
    一般にはマイナーな機種・装備への言及もあり、そちらのほうの興味にもこたえるものと思う。

  • 現在の横田基地にあった、陸軍航空審査部の成り立ちから終焉までの一冊。
    航空審査部とは、三菱、中島など沢山の航空メーカーの試作機へ実際に乗り、陸軍省として採用するか審査、あるいは改良のアドバイスをする部署のこと。
    難しい技術論ではなく、操縦者の人柄やエピソードに多くを割きながら、時系列に綴られているので読み易い。
    とはいえ、時折、出てくる日米の工業力の差の記述は、試作機を審査する部隊ならで、読み進めるうちに「そりゃあ、日本は勝てないよな」と思ってしまう。

    〝日本の飛行機は、試作機。。。最も丁寧に造られ、状態もよい。。。でさえ飛行後のエンジンルームは油漏れでベタベタなのに、中国戦線で捕獲された量産品のP-51のエンジンルームは一滴も漏れてなくて、工業力の差に愕然とした。〟

    後半は、新世代の米軍機に対抗する様々な試作機、新技術の実験の連続だ。
    B-29の本土空襲、艦載機襲来、硫黄島からのP-51の直接攻撃。
    福生飛行場も攻撃を受け、ベテランパイロットも散ってゆく。
    そんな中でも新型機の開発は進められてゆく。
    そして終戦。


    政治的に、あるいは戦略、戦術的に日本が敗北した理由を説いた本は多いけれど、技術的な側面からそれを書いたものは少ないと思う。
    パイロットや研修生、さらには働いていた女性たちのエピソードをふんだんに盛り込んだ読み易い本なので、一読をオススメします。

  • 新兵器、試作機のテストを繰り返し、時には新鋭機を駆って本土防衛に飛んだ陸軍審査部戦闘隊。本当のエキスパートだけが集まったこの集団の奮闘振りは鮮烈で、痛快で、時に物悲しい。

    詳しくはこちらで。
    http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2009-08-24

  • 旧日本陸軍の航空機の実用審査を一手に担った陸軍飛行審査部の活躍を描いた作品。戦闘機・爆撃機を問わず一切の機種の技術面・戦術面を研究して戦局に貢献した異色の部隊の全容を明かした労作。

  • 旧日本陸軍航空審査部を舞台に,様々な試作機とそれに関わる人間模様を描いたノンフィクション.「秋水」の開発に於いてエンジンの燃焼状態改善に功のあった女性科学者:加藤千世氏の記述あり.

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著者プロフィール

昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる。主著に「回想の横空夜戦隊」(編者)「首都防衛三〇二空」「彗星夜襲隊」「空の技術」「異なる爆音」「戦雲の果てで」「航空戦士のこころ」「銀翼、南へ北へ」「太平洋戦争 日本の海軍機」「非情の操縦席」「敵機に照準」「倒す空、傷つく空」「兵器たる翼」「必死攻撃の残像」「海鷲戦闘機」「陸鷲戦闘機」「急降下!」「審査部戦闘隊」(潮書房光人新社)、「決戦の蒼空へ」「液冷戦闘機『飛燕』」(文藝春秋)、「日本海軍夜間邀撃戦」(大日本絵画)、「零戦戦史 進撃篇」(グリーンアロー出版)、「写真史三〇二空」(文林堂)、「写真集本土防空戦」(徳間書店)など。訳書に「ドイツ夜間防空戦」(潮書房光人新社)、「第二次大戦のドイツ夜間戦闘機エース」(大日本絵画)、「超・空の要塞B-29」(朝日ソノラマ)など。

「2020年 『局地戦闘機「雷電」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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