三国志 第一巻 (文春文庫 み 19-20)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259211

感想・レビュー・書評

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  • 黄巾の乱までの過程にこれほどのドラマがあるとは知らなかった。面白い。

  • ゲームの動画配信を見て正史三国志に興味がわいたので、なんかないかと探したら宮城谷版があるじゃない。宮城谷歴史小説は学生時代よく読んだ、楽毅、孟嘗君、重耳が好きだった。で、本書、衰退していく後漢王朝が舞台。蒼天航路でちょっとだ出ていた曹操のおじいさん曹騰は巻末でまだ30代。先が長いなー。

  • 想像していた三国志と全く違う。前半は難解で、なかなか進まなかった。後半一気に面白くなり、やっぱり宮城谷先生さすが!
    一巻では曹操のおじいさんが出てきます。それ以外の人物はほぼ知りませんでした笑。
    安帝の乳母は別の本で読んだことがある。

  • 初めての三国志。
    ゲームやドラマ、マンガでは見たことはあれど、読み物としてはこれが初。(うろ覚えの吉川三国志は不参入)
    まさかの曹騰から始まる物語と宮城谷さんの細やかな解説に、今まで軽くしか理解していなかった王朝事情が身近なものに感じられ瞬く間に読み終えられる。
    四知、から始まる書き出しも大変印象的。

  • 読む前はちょっと腰が引けていました。
    宮城谷昌光だからなー。
    史実に基づいたエピソードが、多少時系列を前後させながら淡々と書かれているんだろうなー。
    難しくなきゃいいけれど、ま、三国志だし、なんとかなるか。

    いや、もう、面白かったのなんのって、久しぶりに手を引っ張られる勢いで物語世界に引きずり込まれました。
    普通の三国志は、人心がすさみ食べる物にも事欠くような世の中で黄巾の乱が起こり、それを憂いた劉備と関羽と張飛が桃の木の下で兄弟の契りを結ぶところから始まるのですが、この本は違う。
    「四知」から始まります。

    「四知」とは「天知る。知知る、我知る、子(なんじ)知る」のことで、誰にもバレないだろうと思っても、悪事は露呈しないわけがないという意味です。
    この言葉を言った楊震(ようしん)は、後漢時代の儒者であり、請われて重臣となった人です。
    その清廉潔白の人が、陥れられ死なねばならなかったのが、後漢という時代。
    三国志と言いながら、物語はここから始まります。
    まるで、幕末を描こうと思って関ヶ原から始まった、みなもと太郎の「風雲児たち」みたいじゃありませんか。

    少し前の時代から始まることによって、時代の背景が明確になり、何年とか誰がとかの個別のことはさておき、流れがつかめるようになります。
    どういうわけか短命な帝が続いた後漢時代。(後半は毒殺じゃね?って思っているんですが、どうでしょう)
    帝が若くして亡くなるということは、皇太子が幼いということ。
    皇太子が幼いということは、後見人が力をもつということ。

    というわけで、帝の未亡人である皇太后と、その血族が力を持つ時代が続きます。
    善政を布くならそれで構わないのですが、そういう人ばかりではありません。
    自分達の好き勝手にふるまうことに歯止めが効かなくなる人が多いわけです。
    降ってわいた権力ですからね。

    そして、王朝が堕落すると、官僚も堕落します。
    自分たちだって好き勝手やっていいだろうと。

    もちろんたまには正しいことを言ったりやったりする人もいますが、そういう人はたいてい目の上のたん瘤扱いされて、最終的には追放されるか命を奪われます。
    ローマ帝国の末期みたいですね。

    そんな時、帝に子どもが生まれます。

    しかし生みの母は殺され、父に愛されることもなく、見かねた皇太后が手元に置き慈しんで育てたのが後の順帝です。
    いつ何時命を狙われるかわからない立場の皇太子ですが、大仰に警護すると却って敵を刺激することを畏れた皇太后は、幼い宦官たちで順帝の周りをガードします。
    なので、一度皇太子の座を追われた彼に帝の座を持ってきてくれた宦官たちを、順帝はとても信頼しています。
    しかしそれが、官僚対宦官、外戚対宦官の火種にもなってしまいます。

    いや、順帝の時代なんて、ほんのちょっぴりしか書かれてないんです。
    ほとんどは彼の父親安帝のころか、その前。
    で、順帝の死後の後継者争いでこの巻は幕を閉じます。

    固有名詞は難しいので、なんとなくで判断。
    時代は後漢の中盤なので、福岡県の志賀島で発見された金印のちょっと後の時代。卑弥呼より結構前。
    くらいの知識でも十分読み進めることができます。(よいこはもう少し勉強してね)

    書き忘れましたが、順帝が幼い頃から身近にいた宦官の一人が、曹操のおじいちゃんです。
    一般的な三国志ではあまり評判のよくない曹操ですが、私は曹操一押しなので、今後がめっちゃ楽しみです。
    よく考えたら、三国志って三国ができる前の話がメインなんですよね。
    なら、このアプローチもありだな。

  • 一般に三国志の小説や漫画は黄巾の乱からはじまる事が多いですが、この作品はそれより前の外戚や宦官などによる宮廷内の陰謀が中心に描かれている。
    これから本格的に三国志の群雄が登場してくると思うので楽しみ。
    長い作品なので一気に読むことはできないですが少しずつ読んでいきます。

  • 「三国志演義」には何かが隠蔽されている、という作者の言そのままを感じたが故に手を出してみたけれども後漢時代はやっぱり難しい。これから面白くなると思っている。

  • 四知を唱えた楊震。三國志という題名だが、第一巻は後漢覇権争いに纏わる物語に終始する。今まで親しみのあった吉川英治の小説や横山光輝コミックスの三國志が三国志演義ベースなのに対して、主に世の中が三国時代に向かうまでの後漢の政治の腐敗による混迷を史実に基づき書かれている。Bethesdaのfallout風に言わせると、歴史は繰り返すに終始している巻。馴染みのある人物は曹操の祖父(しかも宦官)が描かれているが、演義でまばゆい光を輝かせる劉備、曹操、孫堅などの登場はまだまだ先のようです。

  • いつもの三国志だと思い ったら、全然ちゃう。

  • ・「三国志」はまだ読んでいません。
    歴史小説は、時代背景を追っていくのが苦手であまり読みませんが、先日実家に帰った時にもらってきたのです。片づけをしていたら出てきたらしい文庫「三国志」は4巻まであります。
    亡父は読書が好きな人で、大沢在昌さんや北方健三さん、高村薫さん、西村京太郎さんなど、ハードボイルドやミステリー、サスペンスなどを多く読んでいましたが、歴史小説も好きな人でありました。
    映画のレッドクリフなら観ましたが、「三国志」については全く知識がない私です。
    とりあえず何巻まであるのだろうかとみてみたら、文庫は現時点(2013年6月)で少なくとも8巻まで発刊されているのですね。
    病床で父が読んだ本を私も読もうかと思いましたが、先が長すぎてどうしようかと迷います。少しずつでも挑戦してみようか・・と、そんな気持ちです。

    ・著者紹介
    昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれ。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめます。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成されます。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成5年度芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞されます。平成18年に紫綬褒章を受章されました。

    ・作品紹介
    「BOOK」データベースより
    建武元年(西暦25年)に始まる後漢王朝では、幼帝が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れていた。正義の声は圧殺され、異民族の侵入が頻発し、地震や天候不順が続く。六代目の帝に皇子が生まれた時、守り役に一人の幼い宦官がついた。その名は曹騰。後に八代目順帝の右腕となった彼こそ、曹操の祖父である。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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