謎につつまれた悲劇の皇女 昭和天皇の妹君 (文春文庫 か 9-4)

著者 :
  • 文藝春秋
2.95
  • (2)
  • (6)
  • (28)
  • (4)
  • (4)
本棚登録 : 149
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167416041

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 三笠宮と双子の男女として生を受けた、円照寺御門跡の山本静山糸子氏の話です。

    かって、人とは、独りで生まれてくるものとされ、双子以上複数で生まれてくるものは畜生腹として忌み嫌われていました。
    まして、男女の二卵性双生児については、夫婦子とよばれ、前世における情死者の生まれ変わりと伝えられてきた。

    昔は、双子であった場合は、一方の子を産婆がひそかに害するならわしもあったとのこと、

    大正天皇と貞明皇后節子との間にうまれたのは、昭和天皇となった裕仁の弟となった、三笠宮と糸子であった。

    宮内庁は、双子の事実を秘し、三笠宮のみを発表し、糸子については、山本伯爵家の子として1カ月後に生まれたこととして届けられた。

    双子であることはどうやら、生まれる前の健診でわかっていたようである。いかに皇室といえども、当時の世相には逆らいようもなかったようである。

    母である、貞明皇后は糸子が自立していきられるように、皇室ゆかりの尼寺である円照寺の門跡となるべく手を打っていく

    糸子は、生家とされる山本家で,当主より上席に座らされたりなど、当時の人々からは奇異に思われていて、知らない人からは不思議と映ったことがかかれている。

    貞明皇后や、三笠宮は、糸子に厚遇を与えたことが書かれていて、実母と実子、兄妹としての情が通っていて、そこに貴賤の別はない

    この事実に、門跡も静かに否定はされたが、反対することもなく、周囲も知るや知らずやの風を保っていることについては、日本の美徳であっただろう。

    尼僧として男女の営みはなかったのかもしれないが、皇室の一員として生きることだけが、幸せであったとはいえない。

    目次

    文庫版のためのまえがき
    大正天皇の皇女
    山村御殿・円照寺
    証言続々
    深まる謎
    門跡の半生
    貞明皇后
    証言アラカルト
    門跡身辺の話
    門跡との一時間
    里親は知っていた
    双子説の確信

    付記
    天皇家の系図

    ISBN:9784167416041
    出版社:文藝春秋
    判型:文庫
    ページ数:320ページ
    定価:590円(本体)
    発売日:2002年11月10日第1刷
    発売日:2004年08月05日第11刷

  • 『社会正義感』とか『取材のためやむを得ない』とか『公人への記者活動の範囲を逸脱していない』とは書いているけれど、その取材方法は興味本位というかゴシップネタを追いかけてるような感じしかなくて、読みながら気持ちよくないというか、えげつないなあとばかり思ってた。確かになかなか興味深い事柄ではあるのだけれど。

  • 明日、新しい時代である「令和」を迎えるにあたり、部屋の片隅に読みかけとして置かれていた本を一斉に整理することにしました。恐らく読み終えたら、面白いポイントが多く見つかると思いますが、現在読んでいる本も多くある中で、このような決断を致しました。

    星一つとしているのは、私が読了できなかったという目印であり、内容とは関係ないことをお断りしておきます。令和のどこかで再会できることを祈念しつつ、この本を登録させていただきます。

    平成31年4月30日(平成大晦日)作成

  • 「面白いんだか、面白くないんだか…」と父から回ってきた。これまたおっしゃるとおりで…。真実だったら面白いんだろうけれど、〝証言〟とされているものが全部「…と聞いております」だの「そういう話を聞いたことがあります」だのという伝聞ばかり。その〝証言〟から著者が導き出す〝結論〟も何だか独りよがりの決めつけっぽい。状況証拠ですらないし、ルポとしてもちょっと物足りない。結局は週刊誌ネタ止まりかな…という印象でした。

  • パパラッチの取材日記といったところ。
    皇室が、本人が、暴かれたくない秘密を無理に暴いていこうとする、週刊誌的な感じだった。
    皇室に関することなのでもっと品のある内容かと思った。
    最後に取材がどれだけ信憑性があるかを並べ立て、これでもかっ!と読者を信じ込ませ自分を正統化しようとする文章が醜く後味が悪い。取材に協力してくれた方々のことも、テレビの取材で、自分に言った事と違うことを言ったと暴いているのもとても感じが悪かった。

  • 三笠宮には双子の妹がいるという噂を聞いたことがなく、思わず手にとった一冊
    双子にまつわる不吉な話
    門跡寺、由緒寺の違いなども知らなかったので、初めて知ることばかりでした。
    ちょっと著者の取材姿勢に疑問があるところもありますが。。。

    秋篠宮家の悠仁親王の皇位継承や女性宮家の創設など、近年皇室に関する報道が増えてきたのでとても興味深い話でした。

  • 個人的に大正天皇に興味があって、その関係で購入した一冊。内容はそのまま、昭和天皇の妹君、つまりは大正天皇の隠された皇女の話です。実話です。あの時代の皇室でいったいなにがあったのか、知ることができます。そして、個人的にこれを踏まえて大正天皇の生涯を見た場合、考えるものがあって切なくなった…。 三島由紀夫がこの門跡寺院を訪ねたことがあるため、一瞬そのエピソードとともに登場。

  • 昭和天皇のは隠された妹がいた。三笠宮は実は双子で…という本。真贋はともかく、天皇家というのは戦前まではとかくやんちゃなので、まぁあってもおかしくないなと思えたし、ミステリーとしての先を読みたくなるような読み応えはあった。奈良にある円照寺の門跡と聞いて、ああ三島由紀夫の「豊饒の海」のラストだ。と思いそことの相関も激しく気になったのが、文中ではワンシーンとして触れただけ。三島は流布される噂を門跡に質問したのではないか?という謎が生まれてしまった。門跡と聡子の口跡は重なる。

  • 所々で著者の取材姿勢に「?」と思う部分もあった。「〜もそう思っているに違いない」みたいな思い込みで動いてる感じを受けたから余計にそう思ったのかな。
    とりあえず、触れてほしくない話題を探りたいがために、あんだけしつこく待ち伏せされたら嫌だろうなーとは思った。
    内容自体は、実際にそういうことがあったなら……と思うと、なんとも言いがたいというか、不条理だなあとは思う。著者の取材に基いた考察というか、彼女にまつわる物語は興味深く読んだ。
    後半は言い訳というか、各取材先から掌返しを喰らったことに対しての自己弁護状態。それが悪いというわけではない。ただ読み物としての後半はあまりおもしろくなかった。

    彼女のエピソードとして興味深かったのは味噌汁のエピソード。

  • 日本の上流社会(まあ昔の皇族やお公家さんですね)って実は今でも厳然と存在していて、三笠宮は双子の片割れだったのは、そういった世界では公然の秘密だったらしい。階級社会を全否定する必要は無くて、伝統として残しておいたほうが良い部分もあるのかな。あと、天皇制をもっとオープンな議論にするためにはまずこの辺を固める必要があるのかなと。

    天皇家が里子に出すための尼寺が今でもあるとか面白いですね。

全17件中 1 - 10件を表示

河原敏明の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×