- Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167419073
感想・レビュー・書評
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何かの雑誌で紹介されていて読んだのかな。
果たしてそれはどんな紹介文だったろうか。
この作品、体裁はハードボイルドだろう。
だが書かれているのは只のサイコパスだ。
北方謙三の歴史小説は好きだ。
特に三国志には心酔していると言っても良い。
憐憫が男を強くし、艶っぽくさせるのだろうか。
この主人公に魅力はなく、
いびつで真っ暗な器を、
持て余していただけにしか見えてこなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
北方謙三のハードボイルドをはじめて読む。あの人の風貌は嫌いではない。ハードボイルドを地でいっている雰囲気が好きだ。だが、こちら『擬態』については星三つ以下。破綻の仕方が中途半端であり、壊れ方にいたっては平凡なのである。読者はさらなる過激な世界を欲している。
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全体の3分の2は、檻よりもいいぐらいだ。どんどんそぎ落とされていく感覚がいい。終盤、刑事と対話させるよりもモノローグでよかったのではとも感じるが、この辺は好みだろうな。
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最初から静かに、しかし逸らすことを許さない力強さで惹きつける。それが主人公、立原という男であり、『擬態』という物語である。
平凡な会社員である立原が、取引先のビルの立ち退きから生じた抗争の中で少しずつ毀れていく様は、恐ろしくもあり、そしてまた快感でもある。圧倒的なリアリティをもって立原と読者の仕切りを取り払ってしまうからだ。読者は日常という枠の中にいながら、本書を読むことによってその枠を飛び越え、自分が体験したことのない境地を覗くことができる。
しかしどんなに追体験しても、読者は立原ではない。日常を忘れて熱中し、会社に遅れるなどということがないようにご注意を。 -
ラストのスピードが好き。
立原と浜名。 -
エリートサラリーマンが、さりげなく奇妙な世界に嵌っていく様が見事。心理描写がするどく、純文学を読んだような感触が残ります。
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体の中でなにかが止まった…。
男の心の闇を抉る衝動。毀れゆく男の美学。ノワールの傑作。 -
ハードボイルドの成立しにくい時代になったという。痩せ我慢が男の美学だった時代は終わったのか。改行毀れていく男の美学を様式美としてでなく1人の人間の切実な衝動と行動を通じて描いてみせてくれる北方氏の圧倒的な筆力が際だつ。<br>文庫本493p。長編ではあるが一気に読ませる展開と作品世界の魅力に脱帽。