擬態 (文春文庫 き 7-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167419073

感想・レビュー・書評

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  • 何かの雑誌で紹介されていて読んだのかな。

    果たしてそれはどんな紹介文だったろうか。

    この作品、体裁はハードボイルドだろう。

    だが書かれているのは只のサイコパスだ。

    北方謙三の歴史小説は好きだ。
    特に三国志には心酔していると言っても良い。

    憐憫が男を強くし、艶っぽくさせるのだろうか。

    この主人公に魅力はなく、
    いびつで真っ暗な器を、
    持て余していただけにしか見えてこなかった。

  • 北方節全開、似たような話しを何回も読んだ気がするがそれでも嵌る。夜なべして読了。ただ惜しいのは刑事の浜名の顔が良く見えなかったこと。途中から重要なポジションになるがその割りに最後までイメージが掴めず。

  • 北方謙三のハードボイルドをはじめて読む。あの人の風貌は嫌いではない。ハードボイルドを地でいっている雰囲気が好きだ。だが、こちら『擬態』については星三つ以下。破綻の仕方が中途半端であり、壊れ方にいたっては平凡なのである。読者はさらなる過激な世界を欲している。

  • 全体の3分の2は、檻よりもいいぐらいだ。どんどんそぎ落とされていく感覚がいい。終盤、刑事と対話させるよりもモノローグでよかったのではとも感じるが、この辺は好みだろうな。

  • 最初から静かに、しかし逸らすことを許さない力強さで惹きつける。それが主人公、立原という男であり、『擬態』という物語である。
     平凡な会社員である立原が、取引先のビルの立ち退きから生じた抗争の中で少しずつ毀れていく様は、恐ろしくもあり、そしてまた快感でもある。圧倒的なリアリティをもって立原と読者の仕切りを取り払ってしまうからだ。読者は日常という枠の中にいながら、本書を読むことによってその枠を飛び越え、自分が体験したことのない境地を覗くことができる。
     しかしどんなに追体験しても、読者は立原ではない。日常を忘れて熱中し、会社に遅れるなどということがないようにご注意を。

  • ラストのスピードが好き。
    立原と浜名。

  • エリートサラリーマンが、さりげなく奇妙な世界に嵌っていく様が見事。心理描写がするどく、純文学を読んだような感触が残ります。

  • 体の中でなにかが止まった…。
    男の心の闇を抉る衝動。毀れゆく男の美学。ノワールの傑作。

  • ハードボイルドの成立しにくい時代になったという。痩せ我慢が男の美学だった時代は終わったのか。改行毀れていく男の美学を様式美としてでなく1人の人間の切実な衝動と行動を通じて描いてみせてくれる北方氏の圧倒的な筆力が際だつ。<br>文庫本493p。長編ではあるが一気に読ませる展開と作品世界の魅力に脱帽。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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