草すべり その他の短篇 (文春文庫 な 26-18)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167545185

作品紹介・あらすじ

高校の同級生だった女性から手紙が届き、四十年ぶりに再会して登った浅間山での一日。青春の輝きに満ちていた彼女だったが…。人生の復路に始めた山歩きだからこそ知るかけがえのないものとは。過ぎゆく時のいとおしさが稜線を渡る風とともに身の内を吹きぬける山歩き短篇集。各賞で絶賛された珠玉の四篇収録。

感想・レビュー・書評

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  • 南木佳士著 「草すべり」
    生と死を見つめてきた医者である南木佳士の山岳小説。四編からなる短編の本ですが、それぞれが違った生を静かに語っている味わい深い本です。読んで良かったと思わせる本です。
     重松清の解説も良かったです。

  • ふむ

  • 戦場ほどあからさまではなく、世間の常識の厚い壁の内に巧みに隠蔽されているが、生き残る、あるいは生き延びるとは、必ずだれかしらの犠牲を伴うものなのだ。

  • 重松清が寄せた巻末の解説がとてもよい。すべてを言い尽くしている。

  • 浅間山ゆっくり行ってみたい。

  • 浅間山へは車坂峠よりトーミの頭、草すべりを経て、前掛山に登頂。釜山へのロープは越えなかったけども、Jバンドを登り返し黒斑山への外輪山縦走と、日帰りで浅間山の全貌を知るおよそ15キロの山行でした。
    読みながら鮮やかにその光景を思い浮かべながら、またあそこに立ちたいと強く思う。
    加えて、涸沢を経て穂高岳にも行ってるし、八ヶ岳も、妙義は中間道なら経験がある。
    山のことを全く知らない人は面白さ半減だろうが、知ってる私もストーリーはあまり面白いとはおもわなかった。

  • 以前におなじ著者が書いた『エチオピアからの手紙』を読んで感動した記憶があるが、医療小説であったそちらとは異なり、本作は著者の勤務先にほど近い浅間山などを舞台にした山岳小説である。とはいいつつ、著者が現役の医師であるという軸はブレていないので、ヒューマニズムなどにかんして思索を巡らせる場面もあり、実態としてはむしろ旧来どおりの医療小説に近い部分も多い。山岳小説というと、とかくガチガチのスポーツ系で、熱い登山の物語を聯想してしまいがちではあるが、屹立する勇壮な山山に挑む物語を、ここまで静謐な筆致で描き出せることには、感動を禁じ得ない。やはり、この著者の作品が個人的な好みとみごとに合致しているということを再確認する。著者はかつて鬱病を患い、爾来趣味として山に登るようになったというエピソードでも知られるが、そういった背景も、巧みに料理されており、けっして精神的に不健康な感じはしない。だからといって健康そのものとか、明朗快活とか、そういったイメイジとも明確に懸け離れており、やっぱりそういうひとことでは書き表されない微妙な感覚を描き出すことがじつに上手な作家である。『エチオピアからの手紙』においても、生と死のあわいを絶妙な筆致で描き出していた。わたし自身は登山とはあまり縁がなく、今後も始めるかどうかはわからないが、つねに生命の危険と隣り合わせな難易度の高い登山さえ、本作を読めばけっして否定的な感情では捉えることはできないであろう。

  • ひたすらに浅間山を登る本。

    一番最初に言えるのは、浅間山の付近に詳しくないとちょっと楽しめないということ。それでも山のぼりの爽快感や、山の風景の描き方は秀逸でなんとも言えない安心感は“山”ならではだなと思う。

    紀伊国屋のほんのまくらのイベントで購入。なんと本の書き出しと値段以外は情報が全くない中で本を買わせるという大胆なもの。相変わらずいい本屋だ。今日行ったら答え合わせをやっていた。

  • 山に行きたいなぁと思っていた時に出会った本。
    南木佳士さんの静かな文体が好き。

  • 山の楽しみ方は様々である。
    南木佳士の山岳短編も
    そのひとつとなった。

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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