羊の目 (文春文庫 い 26-15)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167546151

感想・レビュー・書評

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  • 小説はあまりこのジャンルは読まないが、装丁が目に焼き付くような感じで著者追悼ということも目にし、読んでみたというところだが、結果、面白かった。よく俳句の添削で映像が思い浮かぶような、ということを言われるが、本作品も読んでいて映像がありありと浮かぶ、そんな感じであった。

  • 主人公の信仰をもっと深堀して欲しかった。信仰とは異なる神との対話があったのかな?

  • 「おすすめ文庫王国2010」の国内ミステリーで格別と書かれてたもの。全然ミステリーじゃないよ!けどすごくいいよ!
    ヤクザの世界で生きる男の人生をつづった一代記的作品。
    なんかこう…義理がたさがたまらんのよね…(この小説では人情はさして存在しない)読んでてグッとくるものがあるのよ。
    「親父のために」自分の人生全てを投げうって尽くした男…くぅ!

  • 新たな世界を見せていただきました。本物のヤクザとは強靭な精神力と親への忠義を持った人たちなのだと。また刺青の本来の意味等勉強になりました。

  • 読後、深いため息を吐いた。なんとすごい本を読んだのか。やくざ界の絶対の掟の中でそれを貫く主人公。
    短編のようでもあるが、伏線を忍ばせて読み進めると明らかになる人間関係。なんと言っても主人公が魅力的。
    彼と息子のその後が知りたい。想像が膨らむ。

  • 初めて伊集院静読んだんだけど、伊集院静っていい人なんだなと思った。
    ストーリーがすごく面白い。
    坊主がキショイ。

  • 昔気質の一人のヤクザの人生。侠客と言うべきか。真っ直ぐで静謐で。もちろん彼がやってることは犯罪(殺人・暴力)だけど守りたいものを命をかけて守る。純真で控えめで。タイトルの羊の目とは最後のエピソードの中で。

  • 戦前・戦中・戦後、激動の昭和を苛烈に駆け抜けた男の数奇な人生。
    主人公・武美はどこまでもひたむきに辰三を親と仰ぎ献身を捧げる。 
    辰三に仇なすものは容赦なく葬り去り、辰三が死ねといえば過たず死ぬほどの忠誠を誓う武美の姿は切ない。
    しかし武美の目はどれだけ人を殺しても汚れない。決して濁らない。
    辰三の命により背中に彫った獅子とは裏腹に、どれだけ手を血に染めても、その目だけは生まれ持った純粋さを失わず澄み続ける。

    「私は神を信じません。 
    私が信じるのは親だけです」

    侠客の物語である。
    おそるべき暗殺者の物語である。
    あまりに哀しい男の物語である。

    羊の目をしながら群れからはぐれ、羊として生きられず、一匹の獅子として修羅に身を投じた武美。
    売られ裏切られ遠い異郷の地に身をひそめても一途に辰三を信じ、辰三の為にできることを模索し続ける生き様に胸が苦しくなる。

    沈黙者ーサイレントマン、神崎武美。
    静かなる暗殺者。
    神を信じず、唯一の親だけを信じ仰ぐ無垢で孤独な羊。 
    神とは、救いとは。
    昭和の闇の永きを彷徨する孤独な魂は救われたのか。  

    武美が最後に回想する情景の美しさには涙が出る。

  • 静かな世界。
    もう少し狂気があっても。。
    話的には

  • 捨て子としてヤクザに育てられた男の物語。
    親分をひたすらに信じ、親分に害なす者をことごとく排除し、時代が義を尊重しなくなったとしても自分だけは信念を貫き通す。
    昨今では裏切り裏切られが当たり前の風潮だが、このような生き方が完全に過去のものとなってしまうのは寂しい気がする。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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