- Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167559045
作品紹介・あらすじ
五十三歳の男が親友の妻と恋に落ちた時、彼らの地獄は始まった。詩神と酒神に愛された男・田村隆一。感受性の強いその妻・明子。そして、北村太郎は明子に出会って家庭も職場も捨て、「言葉」を得る-。宿命で結ばれた「荒地派」の詩人たちの軌跡を直木賞作家が描く傑作長篇小説。第三回中央公論文芸賞受賞。
感想・レビュー・書評
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ねじめさん、こんなこと書いちゃっていいんですか?そんな感想が最初に浮かびましたが、それを読みたかったのはおまえだろという声も聞こえてきます。
それにしても、書かれている人たちは、もう、みなさん、この世の人ではないのかもしれないですね。
懐かしい昭和の話でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公北村の言動にいきなり面食らう。「なんなんだ、こいつは」しかし周囲も相当に強力・したたかな人物揃いで、途中から「なんなんだ、この人たちは」となった...。人の心は鎖にはつなげない。しかしたとえ心が離れても、その相手を傷つけない言動を心がけるのが、大人の優しさではないだろうか。そういった思いやりを踏みにじったところから詩が次々と生まれたのは。なんとも皮肉。そして阿子。彼女は実在したのだろうか。
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私の好きな詩人2人にこのような三角関係の確執があるとは知らなかった。知らないで詩だけ読んでいた方が良かったかもしれない。でも知っていた方が深く詩を理解できるかもしれない。太郎さんの詩の日常の情景、その苦しみや悲しみには背景が存在する。だからこそ心に強く響いてくる。舞台裏を覗き見たような今は複雑な心境だけど、踏まえた上でもう一度北村太郎の詩を読み返していきたい。
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面白かったー。大変恥ずかしながら登場人物をほとんど知らないし、ねじめ正一作品も初めてでしたが引き込まれました。実話を元に書いている小説のようですが、登場人物たちと著者の距離感が絶妙でなんとも言えない。あんな勝手な男どものそばに居るどの女性にも共感できないけど、詩人なんて、男なんて勝手なものなんだろうし身近でなければ勝手な人間の人生は面白いのだ。解説で西川美和が「夫を生かしているのは自分の支える<生活>であるという自負が妻達を生かしている。毒々しいまでのその自負が蔑ろにされることで、妻たちは壊れた」「生活を舐めたことで男は生活に復讐されたが代わりに生きた言葉の湧き出す人生を手にした」というようなことが書かれていて、その鋭さにまたまたうなってしまいました。
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作家さんの世界かなぁ
不倫でもなんか違うような
昭和のにおい -
詩人てそんなにモテるのか。
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よかった、不倫の話だけどどろどろしてない。彼らの詩集とあわせて読むのがおすすめ。