にんげん蚤の市 (文春文庫 た 37-4)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167587048

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな女優・高峰秀子さまのエッセイ。
    スクリーンのイメージとは、少々異なり、気風のいい、粋な口調でぽんぽんぽーん! と、納得できないことなどを鋭く切り込む。
    さすがに、幼少のみぎりから一流のものにふれ、一流を目指し、努力してきた人だけあって、ものを見る目温かく、審美眼も鋭い。
    人との心の交流を大切にされていたことがしのばれる章は、読んでいて心温かく、スクリーンの中の笑顔はそのままこの人のお人柄だったのだとわかり、ますますファンになった。

  • 私は良く知らないのだけれど、母が高峰さんの本を絶賛していたので、読んでみました。ちょっとセレブ感が出過ぎている感もありつつも本物のセレブなのでしょうと流しつつ、楽しく読了。面白かったです。特に一番最後に出てきた司馬遼太郎さんとの邂逅のくだりはとても良かったです。高峰さんもすでに彼岸へ渡られたので、今頃司馬さんと再開して楽しく過ごしていらっしゃればいいなぁと思いました。

  • 日本が誇る名女優、高峰秀子の最後の著作(エッセイ)である。
    女優業を引退して七十歳、夫・松山善三との日々の中に見えてくる彼女の一本びいっと真っ直ぐに通った筋が見えてくる。
    慎ましく、柔らかく、しかし真っ直ぐな彼女の背筋は、日本に於ける不甲斐なさを叱責し、同時に温かく投げかけている。

    女優花ざかり、銀ブラをしようものならばわあっと人が寄ってくるほどの大人気(戦時中は彼女のブロマイドを持って出兵した人も多かったようで)、そんな彼女の周りにあった様々な人々とのエピソードが思い出とともに描かれている。
    三船敏郎、乙羽信子、中島誠之助、梅原龍三郎、土門拳、木村伊兵衛、そして司馬遼太郎。

    若かりし頃の高峰秀子も然ることながら、御年七十数歳の彼女はきりりと、とても美しく思える。

    この本を出版してから約10年後の2010年に亡くなられたそうで、今になって知り得たことが大変口惜しい。

  • 古美術の世界に惹かれた彼女は美術骨董店まで開いてしまう。そしてだんだん興じてきて、人間を物に見立てるのだが、志賀直哉(青磁)に始まって、 司馬遼太郎(李朝白磁)、笠智衆氏(埴輪)などなど、そしてご本人は(むぎわら手)としている。とても興味深く、なるほどと合点がいきました。 また、文化庁からの紺綬褒章の授与を断ろうとするところが、夏目漱石の博士号辞退に似て気持ちが良い。でも、彼女の魅力は最後の章「菜の花」によく表れている。

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著者プロフィール

高峰 秀子(たかみね・ひでこ):女優、随筆家。1924年北海道生れ。5歳のとき映画『母』で子役デビュー。以後、『二十四の瞳』『浮雲』『名もなく貧しく美しく』など300本を超える作品に出演。キネマ旬報主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞ほか、受賞数は日本映画界最多。55歳で引退。名随筆家としても知られ、『わたしの渡世日記』(上・下、新潮文庫)で第24回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。2010年12月28日死去。享年86歳。

「2024年 『高峰秀子 夫婦の流儀 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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