シリウスの道 下 (文春文庫 ふ 16-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167614041

作品紹介・あらすじ

新規クライアントの広告コンペに向け、辰村や戸塚らは全力を傾注する。そんな中、3通目の脅迫状が明子の夫の許に届いた。そして勝哉らしき人物が上野近辺にいることを突き止めた辰村は、ついに行動を起こす!広告業界の熾烈な競争と、男たちの矜持を描くビジネス・ハードボイルドの結末は。

感想・レビュー・書評

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  • 15年ぐらいの年月を経て、再読。
    平成19年に逝去した作者。
    まだまだ面白い小説を書けると思っていたので、突然の逝去に絶句しかなかった。
    そんな作者の作品を久しぶりに読んでみたが、何だか話が散らばっていて、「こんなんだったっけ?」って言うのが正直な感想。
    ほとんど覚えていないのか・・・
    過去の過ちを抱えた三人の登場人物。
    大人になってから、忍び寄る悪の手。
    この作品が発行されたころは、こんな感じの作品が流行っていた気がする。
    主人公である辰村は単なる広告マンの域を超えているし、守ろうとした三人の過去の秘密も今読むと弱いような。
    全てが辰村の都合の良い方に進んでいき、出来過ぎな感も否めない。
    当時は大好きだった作者だっただけに、こんな感想しか出て来ないのが、何だか情けない。

  • 今更ながら藤原伊織の作品をもっと読みたかった。

  • 一気に読めた。
    ただ、バタバタといろいろと起こり、バタバタと解決という印象が。。。
    エピソードが一つ無くてもいいから、もう少し一つ一つの問題をジックリ解決して欲しかった。
    明子の魅力も今一つ伝わって来なかったし。立花さんはすご過ぎ。
    でも、すべては主人公の魅力を引き立てるためかなー。
    戸塚くんも良い上司あってこその成長って感じだし。

    この人の本は始めて読んだので、話題でこの本にも関わりがありそうな「テロリストのパラソル?」を読もうかと思う。

  •  広告代理店を舞台にした、ハードボイルド。

     主人公は、アルコール依存症っぽい38歳、広告代理店の副部長。
     うーん、若い。
     結構、やってることはオジさんなのだけど…。もうちょっと年齢上げたほうが、違和感なかったように思います。藤原伊織の中の38歳って、こんな感じなのかもしれないけど、大多数はもっと子供だと思うんですけど。特に主人公のように、独身で根無し草のような性格だとね。
     にしても、やっぱ、上手いよ、藤原伊織。
     主人公の子供の頃の話が、微妙にからんできてて「永遠の仔」か「白夜行」と思わせながら、そのあたりをばさっと斬ってるのが藤原伊織らしい潔さといえると思います。
     で、出てくるキャラが、皆いいんだよ。
     政治家のコネで入社した若造が、泣けるぐらいいい。
     派遣会社からくる女の子が、またいい。そして、主人公の上司がこりゃまた、いい女なのだ。
     も、このキャラだけで、各三本ぐらい小説かけるよ、ってぐらいの濃密さ。
     キャラを堪能するだけでも、贅沢です。はい。

     でも、話はあんまりハードボイルドじゃありません。キャラはハードボイルドですが。
     「テロリストのパラソル」的なものを期待すると、ちょっとがっくりかも。
     が、面白いのはテロリスト以上です。最高のエンターテイメントになってます。
     結末がね、もっとなんとか、ってジレンマがあるんだけど、これはこれで藤原伊織のテクニックで納得させられるのでありました。

     …なんか、癌宣告されてるそうです、藤原伊織。
     (読んだ週刊誌の記事は、「余命を宣告されて、国民年金の支払いをやめたら、差し押さえるといってきた。もうもらえるあてがないのになんで納付しなきゃいけない」って怒ってた。ホント、これで納付を納得させるのは無理だろ。私だって同じになったら、絶対払わないな)
     落ち着いて、少しでも多くのいいものを書いて欲しいです。
     できたら「ダックスフントのワープ」っぽいのを。ええ、私は「ダックスフントのワープ」のファンでしたから。

  • 急に甲府へ出張することになり、家に寄って支度をして、本も2冊放り込んで出発。時間が遅くなって身延線廻りの電車は無く、久しぶりに新横から八王子と横浜線を乗り継ぐ。概ねその行程の間に読了。

    ちょっと切ない。
    幼なじみとの邂逅でも、漸く会えた人からの告白にも、魅力的な上司との束の間の逢瀬でも、そこで渡っても良い溝を、しかし渡らぬ、渡れぬ男。辰村って僕の周りにいる38歳からすると、とても老成している。
    無理解な客のトップにより敗北の憂き目に会うプロのプロたる所以の集大成。悔しくない負け方、…そうかも知れんが、そんなこと滅多にない。
    戸塚、会社を辞めなくてもよかったと思うよ。それがお前の矜持だとしても、会社勤めってそういうもんだ。
    一気に読めて、それはいいんだけど、上巻での謎の余韻が、下巻はパタパタと終結に向かって進んだ印象も。

  • 面白い。登場人物が多めだが、どの人も設定が豊かで良い。
    組織の中でもがいている人間には刺さると思う。
    以前読んだ『蚊トンボ白髭の冒険』に比べると業界や背景知識もわかりやすいのでスピード感があると思った。
    テロリストのパラソルのカメオ出演もガッツリあるので好きな方はぜひ。

    匿名の方の後書きも良かった

  • ひと昔まえの広告代理店、という感じがする。藤原さんの本が、もっと読みたかった。

  • いおりん最高!
    テロパラのお店もでてきます。

  • 2023年9月8日購入。

  • 久しぶりに、目頭が熱くなりました!

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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