にっぽん虫の眼紀行 (文春文庫 ま 16-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656195

感想・レビュー・書評

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  • これは本当に日本語を母国語としない人が書いたものだろうか。
    彼の日本語の表現力はとても素晴らしい。
    彼の観察のするどさ、向き合う人や命への真摯な姿勢、
    そして深く豊かな感性。幾度も心が幸せに満たされ、何度も涙した。
    私達はこんなにも素晴らしい言語と文化を持っていることを改めて想う。
    彼が感じた日本、その素晴らしさをどれほどの日本人が理解していることだろう。
    彼の感性を育んだ中国という国への畏敬さえも感じたほど。
    凛としていて、温かで深奥…そんな彼に対していると、生きることへの
    希望と喜びが身体の奥底から湧き上がってくる。


  • わたしには珍しいことだけれど、読み始めていくらもたたないうちに涙がこぼれた。奥さまとのエピソードの数々は本当に素敵。
    これを日本語を母国語としない人が書いたのだという二重の驚き。遠くて近い国、中国。

  • 泣かされてしまった。
    随筆・エッセイということなんだけど、まるで艶やかな短編小説。
    どれも心に残るエピソードばかり。
    それに加えて、綺麗な日本語での描写。

    おじいちゃんと絵の話、明石のカモメ、桜の開花前線などなど。
    フィクション?と思うくらい不思議な話もあるんだけど、でもきっと本当のお話。

    読んだ人は皆、ほろりと泣かされたり、心温まるエピソードに優しい気分になれるはず。
    すごいですよ〜〜。

  • 最初のエッセイ「イワナ」は秀逸。瑞々しさが溢れる文章。生身で今を生きる中国人の心情に触れることがこれほど新鮮なものとは。矢張り、我々は中国をどこかで「わかったつもり」になっているのかしらと反省させられる。唐朝楽団を知ったこともよかった。

  • 正確に言えば私が持っているのは華東理工大学出版から出た日中バイリンガル版の『感悟日本―にっぽん虫の眼紀行』。
    桜や猫、少年のきれいな写真がたくさんあしらわれていて、とても美しい本に仕上がっている。
    あまりのきれいさに、著者が女性だと思ってしまった・・・

    中国人による日本文化の見聞録ということで手に取ったが、誰もがイメージするような「日本文化」っぽいものが扱われるわけではない。
    リストラされた長谷川さんの、狂気じみた猫への執念とか、スズメバチの巣をつついた健少年の、スズメバチに対する興奮と思いいれなどが描かれている。
    彼の出会った(日本人以外の人も含む)人々の、ある瞬間に見せる情念やゆらぎのようなものを掬い取ることが主眼になっているような・・・。

    私にとってはこの本で始めて知った著者だけれど、彼は日本で長年暮らして日本語で執筆活動をしてきた人だそうだ。
    そういう人に対しては失礼な言い草であるが、使われている日本語の質が大変すばらしい。
    語彙が豊富でありながら、要を得た表現がなされている。
    それでも、時折「清爽」などという言葉がさらりと出てきたりするところを見ると、異なる文化の人なのだなあ、と思わされる。

    まだ中国語の方は充分目を通していない。
    でも、全く同じ内容なのに、ページ数が大きく違う。
    日本語2に対し、中国語が1くらいの割合。
    こんなところに、簡潔な中国語の表現を見る気がする。

  • 日本語を母語としない人が書いていると意識しないぐらい、自然に読めました。内容も、日本人に馴染みやすい、自然や人を柔らかく描写したエッセイです。私自身が関西出身なので、神戸や大阪など知っている地名が多く親しみを感じました。阪神大震災について書かれた数編と、亡くなった中国のロッカーに捧げた一編には、読んでいて胸を掴まれました。

  • 中国を旅行してた時に広州の日本書店で購入。
    その後広州から上海へ向かう列車の中で読んだ。

    日本人が中国で中国人が書いた日本語の本を読むというシチュエーションが気持ちよかった。

    そういう時に読むと気持ちがいい本です。

  • 129 6/23-7/5

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著者プロフィール

作家。北京大学卒業後、中国社会科学院を経て、1987年三重大学に留学。2009年から神戸国際大学教授。著書に『にっぽん虫の眼紀行』(法蔵館/文春文庫)、『孤島集』(中信出版社)など。又吉直樹の『火花』などの中国語訳を手がけ翻訳家として活躍。2011年日本文化専門誌『知日』を創刊、2016年上海で『在日本』雑誌を立ち上げる。

「2019年 『長文読解の“秘訣”(新装改訂版) マオ老師の中国語エッセイで楽しく学ぼう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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