プラムアイランド 下 (文春文庫 テ 6-13)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167661076

感想・レビュー・書評

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  • (上巻の感想からの続き)
    このエマの造詣が素晴らしい。
    歴史協会の会長がスレンダー美人でしかも恋多き女だったという設定は正に意表を突かれた。このエマの登場で物語に活力が与えられ、彩りが加えられたように思う。
    だから中盤に凶漢の手によって殺害されるという展開は驚愕の出来事だったし、最後のジョンの残酷なまでの犯人であるトービンに対する仕打ちも納得が出来た。
    このトービンへの制裁は今までのデミル作品の中でももっとも凄惨なシーンで、主人公が相手の腹を掻っ捌いて内臓を取り出し、相手の顔に投げつけるという凄まじさだ。

    さて、筆致は申し分なく、物語の展開もスピーディーかつ起伏に富んでおり、しかもハリケーンの最中のボート・チェイスシーンもあり、アクションシーンも迫力があり、正に云うところなし、と云いたい所だが実は自分の中ではどうも納得しきれないものがある。

    細菌兵器を作り出しているのではないかと噂される研究所プラムアイランドというモチーフを設け、そこに勤める研究所員の殺害で大量殺害できる細菌の国外流出を示唆し、FBI、CIAの介入による妨害もありながら、それらが物語の前半で解決し、後半の早々で実はキャプテン・キッドの宝にあるのだという事件の真相を明かすあたり、デミルの小説作法に疑問がある。
    私ならば最後まで細菌の流出疑惑を持たせつつ、最後の犯人との対決で実は狙っていたのはキャプテン・キッドの宝なのだと明かすだろう。そっちの方が物語の緊張感も持続させ、最後のあっと驚く真相というインパクトも強いのだと思うのだ。
    しかしデミルはそうせず、隠れた真相を明かし、そこから犯人を追い詰める手法を取る。あくまでミステリ小説ではなくエンタテインメント小説の設定で物語を進めるのだ。
    これは好みの問題だといえばそれまでだが、やはり後者ではエマの犠牲が必要であることになり、これが不満である。エマの殺害は無くてもよい展開だったと強く思うのだ。

    とはいえ、読書中は至福の時間を過ごさせてくれた。上の不満はデミルだからこその高い要求をしてしまう結果なのだ。

  • “マドンナ”が二人出てきて、一体どうするのか?二作目を先に読んでいたので、どちらがコーリーと付き合う事になるかは知っていましたが、その選択の過程はちょっと悲しい過程でしたね。

    孤島にある、生化学に関する研究所と言うと、まぁ、やっぱり何やら怪しい事が行われていて、それが事件の原因では無いかと思うのですが、そうでは無いと言うオチ。

    ラストに描かれているチェイスシーンは、ハラハラドキドキ。

    二作目を先に読んでいると、コーリーの罵詈雑言に物足りなさを感じるのは、気のせいでしょうか?

  • 近すぎるよ!面白かったです。

  • デミル版ヒーロー小説。NY市警のジョン・コーリーを主人公とし、以後シリーズ化されている。渾身の力作「誓約」を書き上げて以降、肩の力を抜いた娯楽作品を発表し続けているデミルだが、本作では冒険小説の要素を取り入れ、緻密な構成よりも怪しげな人物らが織り成す先の読めない展開の妙で読者を翻弄する。物語は二転三転し、前半と後半ではプロットの核が異なる。

    舞台は、ニューヨーク州オリエント岬の沖合にある孤島「プラムアイランド」。そこに実在する動物疫病研究所に勤める科学者夫婦が何者かに殺され、ロングアイランドで静養中だったコーリーは地元警察からサポートを依頼される。エボラやコレラなどのウイルスを保管し研究するその施設は、政府特命による細菌兵器の開発が極秘裏に行われているという噂が絶えない。休職中の滞在先で殺された夫婦と友人関係になっていたコーリーは真相究明に乗り出すが、次第に事件の背後には見落とされた「穴」があることに気付く。やがて浮かび上がってきたのは、17世紀の或る歴史的人物が巻き起こした意想外のシナリオだった。

    読みどころは、軽口を叩きつつ軽快に関係者をあたり孤軍奮闘するコーリーのタフネスぶりだろう。本作では、ストイシズムよりも「ノリの良さ」を優先しており、物語のテンポは終盤に向かうほど増していく。筋立ては「ホラ話」に近いが、大人の娯楽小説として割り切れば、充分に楽しめる。

  • やはり後半で一気にもりあがる。エマ・白石はほんとにいい女。ジョン・コ-リ-とお似合いのカップルだったのに。犯人は個人的にも復習したい相手となった。嵐の海でのボ-トによる追撃戦は、あのアリステア・マクリ-ン張りの海洋活劇となっている。前半我慢して読んだご褒美となっている。実にうまい。

  • 下巻は、一気に読んでしまった。それほど、本作に惹きつけられたということだろう。とにかく、面白い。今回は、ジョン警部補が友人や恋人を殺されて全身から炎のような気を発し、犯人と対決していく。

  • ニューヨーク市警ジョン・コーリーシリーズの第1作目。そのキャラは毒舌
    でハチャメチャ。
    舞台はニューヨークロングアイランドにある小さな島プラムアイランド。
    細菌兵器絡みの内容で、どんどん進んでいく展開にかなりはまります。

  • コーリーシリーズ

  • 三人でも秘密は守られる。もし、そのうちふたりが死んでいれば。-ベンジャミン・フランクリンー
    小さな町での殺人事件。でも疑惑は多岐にわたる。細菌、ワクチン、ワイン、そして黄金。

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