昭和天皇と戦後政治 陛下の御質問 (文春文庫 い 58-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167679408

作品紹介・あらすじ

「左派の入閣はどうか」「サッチャーは軍艦を出すか」と昭和天皇は聞かれた。「高見山は残念だったろうな」とも言われた。断片的に伝えられるだけだった天皇の肉声を、歴代首相経験者や官僚に取材し、魅力的な素顔を浮かび上らせた労作。戦後政治と天皇の関り、また現在の皇室のあり方について考える上で必読の書である。

感想・レビュー・書評

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  • エリザベス女王の崩御で昭和天皇崩御時の動画を見ることがありこの本を知った。
    高見山についてのお言葉は好角家の昭和天皇らしいやり取りで人間味あふれる天皇に触れた気がした。その場にいた政治家の証言がリアルで一気に読んだ。
    この本は政治思想として右か左かに偏っておらず読みやすかった。

  • 六十年以上にも渡って在位した昭和天皇の、戦後の首相や大臣などとのやり取りを几帳面に取材した資料。高見山についてのお言葉は、人間味あふれる天皇像を思わせた。

  • 昭和天皇に関する政治的な関わり方と、実際にその場にいた政治家たちの証言がリアル。全く知られていない昭和史の裏側を見るようで一気に読み切れた。

  • 昭和天皇と大臣との内奏時のやり取りや、皇室外交での陛下の発言を解説した本。昭和が終わって20年もたったことだし歴史資料として興味深い。政治家の皆さんが皇室に対して私が思っている以上に特別視していたことが伺える

  • 人柄がわかる。ご飯を食べる速さの話が好き。

  • 本物の帝王学を学び、それを実践され、20年間を立憲君主制の君主「大元帥陛下」として、44年間を日本国民と日本国民統合の象徴として職務を全うされた昭和天皇のお人柄が感じられる本です。

  • 断片的に伝えられるだけだった天皇の肉声を、
    歴代首相経験者や官僚に取材し、魅力的な素顔を
    浮かび上がらせた労作。

    震災以降の国会をみると、与野党ともにこの国の
    事を真剣に考えている政治家はいないのではない
    かと思わされてしまう。

    この国の事を真剣に考えているのは、国家元首で
    ある天皇陛下ではないか。ニュースで被災地を訪
    問する姿をみると、そう思わずにはいられない。
    (本書でも触れられているが、立憲君主制の極限
    の姿が、象徴天皇制であるという意見もある)
    本書を読むと、戦後も昭和天皇が国家元首として
    国政に関心を持ち続けてきたことがわかる。

    戦後、国家の主権は、国民へと移った。政治不信
    が叫ばれ、なんでも政治の責任にすることが正当
    化されつつあるが、政治的権限の有無にかかわら
    ず、関心を持ち、よりマシな選択をすることが、
    国民の義務であろうと改めて考えさせられた。

  • 「帝王学」ってなんなんだろう。気になる。

  • 『ご病気が重くなられ、鏡で月を見ておられたころである。中曽根元首相が、藤森宮内庁長官を通じて、お見舞いに野草を届けた。普通の花では陳腐だと思い、野草を吟味して集めたのである。天皇はそれを見て、
    「ヒカゲノカズラ(日蔭蔓・常緑シダ植物)がそこにあるね。どこから採ってきたものだろう」
     と言われた。侍従は分からない。しかし、中曽根からのお見舞いだから選挙区に育った野草にちがいないと早合点して、
    「北関東あたりではないかと思います」
     と答えた。昭和天皇は黙っておられた。多分、生育地を知っておられたのだろう。あとから調べたら、東北地方の野草だった。』
    わざわざ野草を取り寄せて贈った元首相、遠方から取り寄せられたものと知りながら、近習を困らせぬよう黙して愛でた死の床の天皇。いい話だと思います。

  • 昭和47年生まれの私にとって、天皇陛下というと「昭和天皇」になる。しかし、どんな人なのかとか全然知らない。生きてられる時から歴史上の人物という感じでテレビで見てても同じ時代に生きてる感じがしなかった。
    この本は昭和天皇がどんな人だったのかと言うのが一部ではあるが理解できる本だった。
    立憲君主としての立場にいつも気を使ってられたんだな、また、周りの人も大変だったんだろうなと思う。
    象徴として発言も制限される中での「あ、そう」には重い物を感じました。

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著者プロフィール

1935年、旧満州大連生まれ。1947年、山口県防府市に引き揚げ、中学、高校を卒業。1958年、京都大学法学部を卒業。毎日新聞社に入社。政治部副部長、サンデー毎日編集長、編集委員室長、編集局次長、編集局顧問、特別顧問などを経て、2007年3月に退社。現在、政治ジャーナリスト。TBSテレビ「みのもんたの朝ズバッ!」の出演、そのほか、新聞、雑誌の執筆、講演などで活躍。

「2013年 『敗戦 満州追想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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