サーチエンジン・システムクラッシュ (文春文庫 み 28-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167695019

感想・レビュー・書評

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  • 宮沢章夫の【サーチエンジン・システムクラッシュ】を読んだ。

    次から次ぎへとページをめくりたくなる衝撃だった。

    機転の利いた展開、あっと驚くような結末・・・という作品ではないのだが、ジワジワと面白い。

    ところで、宮沢章夫をご存知だろうか?

    軽く紹介すると、1956年、静岡県生まれ。多摩美術大学中退。竹中直人、いとうせいこう、シティ・

    ボーイズらと組んだ「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」で作・演出を担当。演劇製作ユニット「遊

    園地再生事業団」を主宰。エッセイ集【牛への道】【わからなくなってきました】など多数。本作品【サ

    ーチエンジン・システムクラッシュ】は初の小説で芥川賞候補に。

    僕は宮沢章夫を知ったのは前出の【牛への道】【わからなくなってきました】を、やはり行きつけの「ビ

    レッジ・バンガード」で発見し、購入・読破したからである。これを読んで笑わない人を僕は見てみた

    い。そのくらい面白いエッセイ集であった。

    本作の【サーチエンジン〜】はこのエッセイ集の流れを汲んでいるといっても過言ではないと思う。

    所々に出てくる事柄について、エッセイ集の中で宮沢氏は語っているからだ。

    それがこういった小説のネタになるなんて、さすが、その才能には唸るばかりである。

    さて、冒頭でこの小説は「機転の利いた展開、あっと驚くような結末・・・という作品ではないのだが」

    と述べたが、なぜならば、小説の導入の部分で、主人公の大学時代の友人が殺人事件を起こす。

    だが、その殺人事件は本題とは、あまり関係がない。

    むしろ、その友人の足跡を追っているような、でも、きっかけは違うことを追っていくのであって、どこ

    となく捉えどころがないように思えるのだが、読むというより感じていけばわかるのだが、もっと内面的

    な事柄の追求によって物語は進んでいくのである。進んでいってるのかどうかも定かではないが・・・。

    ありきたりな日常の物語とは言いがたいが、主人公の足取りの動機は日常的な疑問を追求していくのであ

    て、宮沢的観点が非常に面白い。

    これは、この小説を単体で読むよりも、やはりエッセイ集を読んでからのほうが数倍面白いのである。

    そういった意味で、僕は正しい順番で宮沢章夫を読み、大正解であり、運が良かったのだ。

    まずはエッセイ集をお薦めしたい。そうすればこの小説の面白さが際立ってくるはずだ。

    本書のあとがきで、宮沢氏本人も語っている。

    「僕は歩き出す。ほんとうの声を聞こうとして。この町の<いま>という<場所>のほんとうの声がきっ

    とどこかにあるはずだ。〜中略〜だから歩く。ただ歩く。曖昧な道。表通りから、一本か二本、向こう側

    にはずれた道だ・・・」

    この言葉の意味がわかるようになれば、あなたもきっと宮沢ワールドの虜になる。竹中直人とも同じワー

    ルドだ。実に奥が深い世界なのだから、歩いてみては損はないはずだ。

  • 宮沢先生のやつ。

  •  状況描写のセンスが年取ってるなぁと思ったけど、この彷徨感はいいな。

  • 独特の空気感と場面の回り方。奇妙で面白い

  • …なんでこんなタイトルつけちゃったんだろ。「草の上のキューブ」の方はタイトル成功してると思うけど、これはなあ。内容も「サーチ〜」の方はやや力みすぎの感。

  • ふーむ、難しい・・・。

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著者プロフィール

1956年静岡県生まれ。劇作家・演出家・作家・早稲田大学文学学術院教授。90年、演劇ユニット「遊園地再生事業団」を結成し、1993年戯曲『ヒネミ』(白水社)で岸田國士戯曲賞を受賞、2010年『時間のかかる読書』(河出文庫)で伊藤整文学賞(評論部門)を受賞。著書に『牛への道』『わからなくなってきました』(新潮文庫)、『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』(新潮社)、『長くなるのでまたにする。 』(幻冬舎)、『東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版』(河出書房新社)など多数。

「2017年 『笛を吹く人がいる 素晴らしきテクの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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