- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167749019
感想・レビュー・書評
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藤原さんはいつも痛快!
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ベストセラー『国家の品格』の骨格ともなった痛快な時事評論から意表を衝く教育論、爆笑を誘う愛妻や友人との身辺随想まで、ユーモア溢れる藤原節で暗い気分も吹っ飛ぶこと間違いなし。文庫化にあたって、2007年に掲載された『文藝春秋』の論文2篇も追加収録。
大変勉強になりました。 -
現代が過去の時代よりも劣るということはないと思い込んでいた。科学技術しか見ていないからだ。人間性や本当の意味での心の豊かさはむしろ過去よりも劣っている。自分自身におきかえても 情けないと感じる面が多い。物事にしろ、ニュースにししろ、表面的にしか捉えられていない、いや表面的にしか捉えることができない... 教養が絶対的に不足し、大局観が育っていないからだ。
この気づきを貰ったことは貴重だった。
その他にも名著「失敗の本質」に迫るような内容もあり、思わず噴き出してしまうエッセイもあり、藤原正彦氏の人間性や歴史に触れ どこかしら親しみもおぼえるというある種 不思議な著書だった。とても面白かった。「国家の品格」よりも私は好きだ。 -
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何度も繰り返し読みたいほど深く感銘を受けた本。
流れるような心地よい文章と、時々利かせるユーモア溢れるジョークには思わず微笑んでしまいます。この両親(新田次郎、藤原てい)にしてこの子あり。日本人にとって今必要なことは何か?鋭い歴史的洞察と、藤原さんご自身の満州引き揚げという生い立ち、そして数学者、国際人としての豊かな教養がにじみ出ています。再読間違いなし! -
インテリ右派の人がどういうロジックを持っているのかが少し分かった。
ただ、パラダイムシフトの重要性と必要性を理解していない。
意義ありだ。 -
藤原正彦さんは数学者であり、「国家の品格」の著者として有名ですが、藤原さんは新田次郎さんと藤原ていさんの子どもです。
新田次郎さんは山岳小説をたくさん書いておられます。
「孤高の人」「栄光の岩壁」「銀嶺の人」を登山を始めた20年前に読みました。
藤原ていさんの「流れる星は生きている」はベストセラーになっています。
藤原正彦さんの講演を聴く機会があり、その予習として読みました。
現代社会を生きる上で示唆に富む記述がたくさんありました。
「愚かなり、市場原理信奉者」
藤原さんは小泉改革には反対しているようです。
2005年の郵政選挙での党内の反対派に刺客を立てるような「そくいん」の情がないようなやり方に異を唱えています。
日本では長い間、会社は従業員のものであり、従業員の忠誠と終身雇用という人間関係が軸でした。
リストラは禁じ手であり、成果主義や実力主義を取らず、普通の人を大切にするというやり方で経済成長を遂げたということです。
市場原理でうまくいっていないアメリカをまねずに、日本型資本主義をこそ世界に広めていくべきだと藤原さんは説いています。
市場原理経済では論理が情緒の上に立ち、経営者と社員の間には情緒はなく、雇用関係という論理だけだから、リストラが容易に行われることになるわけです。
非正社員の増加もここから生まれます。
「世界に誇りうる日本人の規範意識」
日本人の規範意識は世界の中では高い方だと藤原さんは言います。
日本では阪神大震災の際も略奪が見られませんでした。
「火事場泥棒」という言葉に示されるように、混乱に乗じて物品を奪うような所行を卑劣と考える国民性はまだまだ生きていると言えます。
詐欺でも、年寄りや弱者をだまして金を取ることは特に卑劣とされます、
「おれおれ詐欺」が特に卑劣と見られるのは日本人の規範意識からなのでしょう。
「役に立たない学問」軽んじることなかれ」
2004年に国立大学が独立行政法人になりました。
公務員削減という財政的理由から進められていることですが、以前よりも予算が減らされています。
大学は今、人員削減と産学連携を進めているそうです。
そうすると、外部資金を獲得しやすい部門は人員増を図り、獲得しそうもない部門は人員減ということになります。
哲学、歴史、文学、数学、理論物理などは日陰に追いやられるわけです。
数学の天才は特定の地域から頻出しているそうです。
美しい自然も芸術もないような土地から天才は生まれない、何かにひざまずく心が人々にあること、役に立たないことを大事にする心があることです。
物質や金銭より精神を上位におくという心の形が大切ということです。
大学で、自由な発想でじっくり雄大な研究をする、という本来のあり方が成果主義に駆逐されつつあることを藤原さんは憂いています。
有用性ばかりを問う世の中の風潮からか、子どもたちも「本なんか読んで何の役に立つの」「数学なんか勉強して何の役に立つの」と質問するということです。
嘆かわしいことです。
「数学と文学の結婚−小川洋子−」
小川洋子さんの「博士の愛した数式」新潮文庫版の解説文を藤原さんが書かれています。
小川さんは「数学者を主人公にした小説をかくための取材」ということで、藤原さんの研究室を訪ねます。
化粧気のない、清楚な、生真面目な、大学院生のような熱心な印象を受けたそうです。
取材の1年半後に送られてきた作品を読んで、藤原さんはびっくりします。
「私の心に芽生えた博士へのほのかな慕情」「上品で奥ゆかしい文学的暗示」「小説家としての本能」「小川さんの数学への憧憬」などと、讃辞が羅列されています。
藤原さんは「小川さんはこの作品で、数学と文学を結婚させた。この結婚は幸せなものだった」と言っています。
「文学には、よい文学とそうでない文学しかないことわ、無言のうちに証明している」ことがこの作品の意義だと藤原さんは絶賛しています。
数学者である藤原さんがこんなに見事な書評を書かれていることにも舌を巻きます。
「役に立たない学問」としての文学と数学との共通項が見えるようです。
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藤原先生ステキ
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「国家の品格」同様、響く内容。
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現代の日本についての藤原さんの考えが書かれている。