- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167900878
作品紹介・あらすじ
文春文庫40周年記念・海外ミステリ名作復刊第一弾美青年の殺し屋ジョニーと彼を守る相棒マック。裏社会でひっそり生きる二人を復讐に燃える刑事が追う。美しく悲しいノワールの傑作。
感想・レビュー・書評
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解説を読むまでこの話が「ボーイズラブ」の話だと全く気付かなかった。純粋な愛の物語として目を潤ませていたし、それに対して違和感は無い。
昔の職場ではLGBTの方々との接触は少なくなく、そしてそれは私の日常だった。性別がどうであれ人に愛され求められるのは幸せな事だ。
私は、身近で見てきた「LGBT」の彼 彼女等や、
本書の三人の様に「孤独」を知らないのだろう。
美しい外見を持つも、孤独を極端に恐れる殺し屋ジョニー。決して彼を利用したくてそばに置いている訳では無いのに結果的にそうなる事に苦悩するマック。ジョニーによって相棒を失い修羅となり孤独に堕ちたサイモン。彼等は「孤独」に抗う為、常に求め 無くし 探し 求めるを繰り返して這いつくばりながら生きていた。
決してスムーズでは無い彼らの歩みと、決して器用ではない彼らの繋がりが過去の友人達と重なった。
彼らの、孤独から逃れる為に最後まで「人」に依存した行動を否定する理由が見付からない。依存って悪じゃないんだなぁ。愛の美しさを見た。
...ちょっと恥ずかしくなってきた。 -
ゲイ・ミステリというジャンルがあるらしい。
三十年前に初めてこの本が出版された時には同性愛を扱った作品はまれで、海外ミステリ史的にはその先鞭をつけた作品だそうだ。
たしかに男性同士のそれを匂わせる描写はある。
しかしこの『真夜中の相棒』は曇りなき眼で読んでほしい。
これは孤独な魂を抱える者たちの話。
できそこないの父と子の悲しい物語だ。
淡いブルーのBMWからすべり降りる金髪の若く美しい殺し屋、ジョニー。
そして運転席で見守る相棒。
裏社会の顔役パパガロスともう一人を消音機つきの銃で始末した後、きびきびと車へとって返す。
「僕が何を欲しがっているかわかりますか?」
ジョニーの殺しの報酬は、ストロベリーアイスクリームのダブルを一つ。それだけで充分なのだ。
この物語にハッピーエンドはありえない。
本を開いた最初の作者の献辞には、
本書を世の”母親”と
そのすべての信者にささげる。
とある。
しかしこの本には母や母性といったものはほとんど出てこない。あるのはあらゆる父と子の関係や男同士の友情、信頼といったものばかりだ。
いやあるいは、このカッコつきの”母親”とは、父や父性のなかに母性までも見ざるを得ない者たちへ向けられた言葉なのかもしれない。
犯罪小説、警察小説として素晴らしい出来。
そして読了後、それを越えた言い知れぬ切ない余韻が残る。
書店で見かけたら手に取ってほしい。
帯に書かれた桜庭一樹氏の推薦文に心掴まれるはずだ。
★★★★★でも良かった。
星一つ分の欠落は、自分自身の欠落や孤独を認めたくなかった気持ちの表れかもしれない。
著者テリー・ホワイトが女性であると知り驚く。
加えて本作の原題が「Triangle」と聞き、物語を読み終えた今では、ただ嗚呼と溜息を漏らすばかりだ。 -
堪らなく切なかった。物語は殺し屋2人のエピソードから始まる。ベトナム戦争を通じて近寄った2人。庇護者と被庇護者。片やバディを組んでいた相棒を殺された警官が異常な執念追う犯人。それぞれが自分に都合良く相手を見てるのが歯痒い。BLと言う人もいるけど私には2人の孤独感が哀しかった。
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1984年に刊行された作品の30年振りとなる復刊だそうだ。84年といえば翻訳物のハードボイルドやエスピオナージ、SFにどっぷり浸かっていた頃だが、なぜか本作の記憶がない。
これは殺し屋ジョニーと相棒のマックの物語だ。ゲイかと思ってしまうが、2人の関係は性的なものではなく共依存だ。
ベトナム戦争に従軍していた時に出会い、その時には既に壊れていたジョニーと、彼の庇護者として立ち回ったマック。除隊後も離れ難く、紆余曲折を経て殺し屋となるまでの過程が読ませる。
もう1組、こちらは刑事のペアが登場するものの、相棒を失ったサイモンが彼らを追うことになる。
ジャンルとしてはミステリーだが、運命に翻弄された男たちの物語として出色だった。 -
『依存』『執着』『偏愛』『殺伐』
このワードにピンと来た方、あなたにおすすめしたい。読んでいくうちにじわじわと心に滲んでくる切ない想いと焦燥感。幸せになってほしいと願えば願うほど、物語はより深い闇へと落ちていく。最後の頁を捲った時、不思議と涙が零れ落ちた。男たちの哀愁漂う物語。高村薫氏の著書が好きな女性にはぜひ読んで頂きたい一冊。
彼らの関係は、私もいわゆるボーイズラブというのとは違う気がしました。
人というのは、ペットでもなんでも何か...
彼らの関係は、私もいわゆるボーイズラブというのとは違う気がしました。
人というのは、ペットでもなんでも何かを愛さないといられない、あるいは、何かに愛を求めずにはいられない。
大人になればなるほど、年をとればとるほど、日々重なる疲れからそれを希求してしまう。
それが、彼らの場合はお互いだった、という気がするんですよねー。
とか言って、昔読んだ時は私もそこまでは思わなかったりもするんですけど(^^ゞ
コメントありがとうございます...♪*゚
人間の根本なんですね。ー生活の上で必要な「衣食住」ーだとどこぞの三...
コメントありがとうございます...♪*゚
人間の根本なんですね。ー生活の上で必要な「衣食住」ーだとどこぞの三流自己啓発本みたいですが、そこに「愛」を足すと途端に深みが増したような気分になる私は重度のロマンチストの様です...
しかし上記おふざけ無しで(←)この作品は読む時期で捉え方が変わるだろう不思議な本だと感じました。
私は初読みでしたがその違いを身をもって体験出来た本ぶらさんが少し羨ましいです( ˘ᵕ˘ )⋆。˚✩
この歳になって年月もくそもありませんが(コトバワルクテゴメンナサイ)また数年後に機会があれば読み直してみたいと思えました^ ^
素敵なレビューとこちらへのコメント、重ねてありがとうございました...♪*゚
ブログで知り合った方も、やっぱり「若い時に読んだ時とは印象が変わった。ある程度年を取ったからこそわかる部分がある」みたいなこ...
ブログで知り合った方も、やっぱり「若い時に読んだ時とは印象が変わった。ある程度年を取ったからこそわかる部分がある」みたいなことを言ってましたね。